12月1日私立中コラボフェスタ 新タイプ入試=ソフトパワー化へシフト<了>
★今回の私立中コラボフェスタは実に深い局面にも到達しました。それは「思考力型入試」のパネルディスカッションでした。聖学院の思考力入試について、21教育企画部長・国際部長・広報部長の児浦良裕先生が登壇しました。清泉女学院のアカデミックポテンシャル(AP)入試については、中学入試・広報部長の 瀧康秀先生が登壇しました。
★瀧先生は、パネルディスカッションぎりぎりまで、アカデミックポテンシャル入試の体験授業を行っていました。
★瀧先生はAP入試で、これからの社会でミッションをしっかり抱きながら社会貢献していけるポテンシャルを持っている自らに気づくためにも挑戦して欲しいテストですと。合格するためとか、大学受験に役に立つとか、そういうことは第一義的な目的ではありません。自らの中に社会貢献できる潜在的才能を生み出すことが最も重要な目的なのですと、中学入試は合否のための競争ではなく、自分の潜在的な才能の豊かさを自分のために社会のために試す機会なのだと語りました。
★その潜在的な才能を見出すために、多様な資料やデータ、文献から、たとえば「共生」という社会にとって最重要かつ根源的な問題について、多角的に考察し、自分がどうかかわっていけるのか使命感を深めていけるAP入試を準備しているわけです。
★瀧先生の語りをうけて、聖学院の児浦先生も、入試問題のネイミングは違いますが、コンピテンシーとして重要な能力を自分自身の中にあることを探っていく思考をしていく問題としては全く共通ですと。おそらく瀧先生のおっしゃるポテンシャルと私共が大切にしている賜物=タラント=タレント=才能は同じ意味なのではないでしょうか。瀧先生は二つ返事でそうですと。
(児浦先生は、聖学院を超えて他校の≪Z世代≫の生徒のジェネレータでもある)
★考えてみれば、聖学院と清泉女学院は、プロテスタントとカトリックの違いこそあれ、クリスチャンスクールとしては同じ精神を共有しているのです。ですから、この思考力入試やAP入試が接続する学校の教育活動もかなり似ています。東南アジアでのボランティアや起業による社会貢献活動を行っていく国内外の多様で豊かな教育活動が行われているのもそうです。
★清泉では論文作成という思考と表現と使命を貫徹する学びも行っています。聖学院も自由研究という思考と表現と新しい発見を求める学びを行っています。
★そして、何より、合格するための勉強をするのではなく、大学に入学してから、社会に進んでから、自らの使命を全うする探究活動を深め、社会貢献ができる自分を自ら育てていく才能やポテンシャルを大切にしていくという点で、完全に一致を見ました。もちろん、そうはいっても大学合格実績の成果はでていますし、必要とあれば海外大学への道も開かれています。
★ただし、聖学院は男子校で清泉は女子校です。書くという行為に対しては、男子は女子に比べ抵抗があるというのは、児浦先生も瀧先生も感じているようでした。
★ですから、児浦先生は聖学院の思考力入試では、いきなり200字で書きなさいということはなく、グラフや図、資料、文献から気づいたことをいったんレゴを介して思考するというプロセスが挿入されるというのです。
★なぜレゴ®シリアスプレイ®なのか、今までは<新しい学びの経験>として当然だと思っていましたが、入試のあり方や目的が共通しているにもかかわらず、男女の特性の違いで、手法が違うというのは目からウロコでした。多様性とは口で言うは易いですが、大事なことは多様性とは違いがあると同時に壁にもなるということです。共生とは、その壁をどのように払しょくできるのかということです。
★レゴ®シリアスプレイ®も共生のための多様な壁を払拭する機能も持っているのだと。実に深いですね。
★2科4科入試で、そこまで意識して入試問題が作成されてきたでしょうか。私立中学校の新タイプ入試の意味は、大学入試改革と直結しますが、大学入試改革が大切にしなければならない本来的なものへ開かれゆく導きの光でもあったのです。
★考えてみれば、私立中学が一堂に会し、入試問題について互いに手の内を公開しシェアするコラボフェスタのようなイベントは、今までなかったわけです。なんて画期的な企画なのでしょう。首都圏模試センターの未来を映し出すパースペクティブは確かなものです。そう改めて感じ入りました。
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