12月1日私立中コラボフェスタ 新タイプ入試=ソフトパワー化へシフト②
★パネルディスカッションは、多様な新タイプ入試のうち英語入試から始まりました。関東学院六浦の校長黒畑先生、共立第二の入試広報部主任 戸口先生、工学院大学附属の広報部長水川先生とのディスカッションは、短い時間なのに、世界の情勢の中の日本の危うさを共有し、今の≪Z世代≫の生徒が、2040年に日本を立て直し、世界のリーダーシップを発揮できる環境を創るミッションと実現力と創造力を身に着けることができるのはいかにして可能かという熱く深い教育論が展開されたのです。
★関東学院六浦の校長黒畑先生は、自分の学校の話というより、生徒の未来に待ち構えている大きな艱難辛苦を憂いつつ、それを彼ら自身が乗り越えるために、英語力がいかに必要かを解く。それは実に戸口先生も水川先生も同じでした。英語力も、受験のための英語力ではなく、社会貢献できる視角からみな語るのです。
★それぞれの学校の校長とか、入試広報部主任とか、広報部長という学内のポジションではなく、新タイプ入試を行い新しい地平を開こうとする私立学校全体の校長であり、入試広報部主任であり、広報部長であるという使命を背負って語るその姿を頼もしく思いました。
★私は、パネルディスカッションの部の担当でしたが、新入試体験授業の方は時々合間をみて、訪れてみました。午後からの英語体験授業のために工学院の加藤先生と水川先生が準備をしていました。加藤先生は英語科教諭で、米国流儀の学年運営をして、チームビルディングやコミュニティづくりが得意だという評判の先生の1人です。一方で探究論文という高校2年時1年かけて、すべての生徒がメンターの先生と深掘りして2万字の論文を仕上げる探究活動を仕掛けているリーダーでもあります。
★工学院の帰国生入試では、準1級や1級の生徒が入ってきます。しかし、英語入試では、英語が好きだとか興味を持っている生徒もチャレンジしてきます。今回も、英語が得意でなくても大丈夫ですかと生徒がおそるおそる教室に入ってきましたが、加藤先生は、大丈夫ですよと、レゴを使いながら英語をまず楽しむところから始めましょうと。すでに、このような新しい学びを実践して工学院は6年経ちました。英語入試で入ってきた生徒は、必ずしも英検など高い級で入学するわけではありませんが、6年経つとちゃんと2級や準1級レベルに成長しているというのは実証されています。
★工学院は、すべての生徒は1人ひとりの才能を持っているから、それを生かせる学びを創意工夫していこうという学校です。そのために、先生方は、世界を回り、広い視野で学びを研究してきます。加藤先生も時々外国で研究しているそうです。すごいですね。
★新タイプ入試の英語入試が、大学入学共通テストの民間検定試験がなくなろうが延期されようが、そんなこととは関係なく、生徒1人ひとりが自分のやりたいことを社会でやりぬき、結果的に大いに社会貢献するキャリアデザインの入口だったのです。
★続く適性検査型入試のパネルディスカッションも実に興味深かったのです。たとえば、相模女子大中学部の副校長の中間先生は、1年目は公立中高一貫校の適性検査に近いものを作ろうと努力したが、そのために公立の適性検査を分析し尽くしていくと、私立学校とは違い建学の精神や理念に基づいて作成されているわけではなく、あくまでも学習指導要領という枠内であることが優先しているということが改めてわかった。今では、相模女子の精神に基づいて独自の適性検査型入試を創るようになったのだと。
★適性検査型入試も、今や私立学校型に転換していることがディスカッションされていたのでから、さすが私立学校と感動しました。
★鶴見大学附属の適性検査型入試の体験授業を瞬間的に覗きましたが、アクティブラーニングの手法で行われていました。鶴見区とその沿線の都市について多角的に考察する問題をみんなで考えていたようです。おもしろかったのは、記述の問題を自分のみならずチームでリフレクションしていたところです。簡易ルーブリックが創られていて、適性検査型入試を介して、新しい学びの経験を生徒はしていました。
★入試問題は学校の顔です。かつて、新タイプ入試は、生徒獲得の手段であり、入学後の教育とつながるかどうかは疑問であると揶揄されたときもありましたが、今や骨太の新しい学びの経験がカリキュラムポリシーの中で実現されていて、それが新タイプ入試に如実に反映されているという実感を抱くことができました。
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