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2019年11月 2日 (土)

英語民間試験問題 チャンスをものにできない日本の教育。日本社会はデストピア突入。

★英語民間試験を全学校規模で行う試みは、2020年パラリンピック・オリンピックに向けてのタイミングに合わせていて、実に有益だったはずですが、どうやら実現運営の段階でとん挫しそうです。

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★2024年にはやるというのですが、今や4年間というのは、社会が相当激変するに十分な時間です。このままでは日本社会は、国力の加速度衰退はとまりません。4年後、英語民間試験をさあやりましょうといっている場合かどうかもはやわかりません。

★入試のために勉強するのではないとキレイごとを語る方はいますが、共通一次試験が実施されてから、ずっと日本はそうだったんです。本当は、この制度自体止めたほうがよいのですが、そこには政治家の利権や官僚の権威、教育産業の経済システムができあがっていてどうにもならないのです。

★ですから、逆手に取る戦略で、英語民間試験を日本全体の教育に導入することで、日本の英語環境を一気呵成にアップデートしようとしたと予想します。

★日本国内の教育格差問題も極めて重要です。しかし、その格差の根本的な要因の一つは、グローバルな世界で日本人がイニシアチブがとれなくなりつつあるということなのです。

★イニシアチブに英語がなぜ関係するのか?関係ないだろう。そうあなたは本当に思いますか?戦争と言語の問題、権力と言語の問題は昔から続いていて、実は今もその爪痕は多くの国で残っています。いやEUでは、現在進行中で、移民の問題は、経済的な問題だけではなく、言語的な問題も生んでいます。

★英語でイニシアチブがとれるかどうかは、近代社会が生まれて以降、ずっと重要だったのです。そのこと自体がいいか悪いかと言われれば、コメントは控えますが、大英帝国の言語戦略が世界戦略の一環であり、米国との同盟で勝利していったのが、今日なのです。二つの世界大戦における、フランス語とドイツ語も英語と覇権争いをしましたが、その痕跡は、今も残っています。EUの拠点、そしてCEFRの拠点であるストラスブールに行けばくっきりと残っています。そして、今では中国の言語戦略も凄まじいわけです。

★現状のままだと、世界の言語戦略に打ちのめされていくのが日本です。

★世界がwebで結びつき、グローバリゼーションを支える領域はリアルな場所のみならずサイバー上でも起きています。そして、サイバー上で起きていることがリアルな場所の政治や経済に影響を与えていることはすでに日常生活で当たり前になっています。

★日本は、言語ではたしかに勝てないが、ドル、ユーロ、元とならんで、円があると思っているかもしれません。しかし、それは日本の国力がしっかりしている間だけです。まして、仮想通貨が国家の貨幣制度を崩していく時、日本は何を頼りに国際関係を調整していけるのでしょう。

★2024年、その衰退が目に見えるように進行していくでしょう。

★そのときに、なんとかサバイブできる方法は、世界の言語戦略に対応できている準備だったのです。しかし、それはどうやら無理のようです。

★日本の教育に決定的に不足しているのは、リベラルアーツです。リベラルアーツは、遠くギリシアの時代から、いかなる悪条件下でも自らの自由を守り、遂行する叡智のスキルだったのです。自由7科がもともとですが、それは今では、「言語」「数学」「芸術」に集約されます。

★サバイブするスキルとして「言語」や「数学」「芸術」を学んできたことは日本の教育ではないでしょう。

★なぜなら、どんな悪条件下でも、自らの自由を守り、自らの自由を遂行していく叡智など必要としていなかったのです。どんな悪条件下でも、それを悪条件だと認識する教育をされず、偉い人に守ってもらい、教えてもらい、自らの衣食住を保障してもらえれば、それで幸せだと共同幻想を共感して安心安全だと思うのにすっかり慣れてしまったのです。

★この現状にずっと抵抗してきたのが、私立中高一貫校です。同世代の7%がここに通っています。この私立中高一貫校は、文科省がどうあれ、英語に力を入れることはさらに強化するでしょう。日本全体が一丸となって、世界の言語戦略に対応できるチャンスがなくなったわけですから、できるだけ、生徒たちをそのような危険な場所から避難させるしかありません。

★海外大学への流れがどんどん増えているのはそういうことでしょう。海外大学に行けない場合は、できるけ有利な拠点に避難させるでしょう。

★世界の言語戦略に対応できない以上、日本国内の教育格差はどんどん広がります。かつて、校内暴力や学級崩壊を避けるために、私立中高一貫校に多くの生徒が集まってきたように、学力低下教育政策をおそれて私立中高一貫校に集まってきたように、今<英語も含めて新しい学びの経験>を開発し、国内外でサバイブできる拠点に飛ばせる私立中高一貫校に生徒は集まっています。世帯年収でなんとか1000万かせいで、自分の子を守ろうとする家庭は、国に子供を任せないでしょう。

★そして、公立学校も経済的な面で私立中高一貫校にいけなくても同質の教育を特別につくってノアの箱舟をつくっています。それが日本語IB校や公立中高一貫校です。同世代に人口の3%が進めます。私立と公立の中高一貫校合わせて、同世代の10%はどうやらサバイブできる場所を確保できそうです。それが良いか悪いかはコメントは控えましょう。

★とにも、教育格差を問題にして今回の大学入試改革は頓挫していくわけですが、国内の教育格差はますます厳然としてきます。本来その教育格差を世界の言語戦略にまず対応できる状況をつくることで、改善しようとしたのでしょうが、それはかなわないようです。公立と私立の格差だけではなく、公立自体が自ら格差をどんどん広げていきます。

★今回の文科省の判断やその方向性にもっていった多くの人の判断は、問題解決するどころか自ら格差問題を広げることになるすさまじいパラドクスを生み出すでしょう。

★このような時代、家庭で考えるしかないでしょう。自分で考えるしかないでしょう。「言語」「数学」「芸術」というリベラルアーツと「自ら作り出す技術」と「創造性」、そして「グローバルな視野」を養える場所を探すか、自己鍛錬していくしかサバイブすることはできなさそうです。

★いったん、避難して、もう一度私たちの国を立て直す戦略を立てられる余力を残すことしかできないのかもしれません。そのときまで、日本はデストピア状態になっているでしょう。

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