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2019年11月20日 (水)

工学院のG-STEAMとPBL(01)活躍する工学院のZ世代

★工学院大学附属中学校・高等学校は、毎年教育のアップデートが起こります。今やルーチンとなっているオーストラリア留学、スペース&ロボティクスキャンプ、外務省が推進する対日理解促進交流プログラム、マルタ島異文化体験研修、MoGの活動、探究論文・・・思いつくまま挙げていくときりがない。でも、これらはルーチンなのです。

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★同校校長平方先生によると、今後はラウンドスクエアの活動がルーチンになっていくし、SDGsをベースにしたアメリカ、カンボジア、タイ、沖縄などへ分かれてそれぞれ探究する新しい高2の修学旅行が実施されるそうです。

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★「ルーチンになったプログラムもアップデートするし、毎年いろいろなグローバルなコンクールがあるため、毎年新しいプログラムが生まれているというのが現状です。普段の授業がPBL型になているし、ICTを活用するのは当たり前というSTEAM型の授業にもなっているので、特別なトレーニングをしなくても、生徒が挑戦できる環境はかなりできたと実感しています」ということでした。

★そうなると、盛りだくさんで、どんなことをやっているのか全貌をみるのは受験生にとって難しくなってきたということですか?と尋ねると、「そんなことはないですよ。たしかにルーチンだけだとパンフレットを一度つくればそれでよいので、楽ですが、うちの場合は、広報チームが自前でリーフレットを創るテクノロジーの能力が高いので、新しいプログラムは、そのつどリーフレットやSNSで発信できるのです」と、新しいリーフレットの原稿を見せてくれました。

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★たしかについ一週間前に体験してきた新しいプログラムも掲載されています。生徒ばかりか教師もSTEAM的感覚で仕事ができているということでしょう。とはいえ、教師の仕事量相当ハードだなと思いましたが、やりがいはたしかにある環境だなと。

★6年間こうした環境を創り上げてきて、このような多様な新しいプログラムに生徒が主体的に取り組むのは、たしかに21世紀型教育の成果です。もちろん、シンガポールや国連で表彰されているのも、大きな成果ですが、ほぼ全員の生徒がグローバルな舞台で自分の世界を生みだしてくる環境があるというプログラムの存在が成果といえるでしょう。

★そして、平方先生は、「このような環境を整えてきて、そこで生徒が創造性を発揮してさまざまなプロダクトを生み出していく中で、次に生徒が取り組むステージが3つほどまた見えてきたのです」と。

★「結局、自然のメカニズムと社会のシステムと精神の構造が、断絶されてきたのが20世紀だし、それをある意味支えてきたのが20世紀型教育です。この断絶を循環にシフトすることこそ21世紀社会の目標だし、それを支える人材育成の場が21世紀型教育です。今では、工学院の生徒は、自らSDGsに取り組み、世界の平和について国連を始めいろいろなところで提案しています。多くの災害に被災した地域の復興について支援する活動をYouTubeなどのメディアで行っている生徒もいます。世界の平和をスーパーアプリで実現しようと提案するチームもあります。こういう生徒たちの探究は、どんどん深堀して、実は深層/真相にたどりつくのです」と感慨深げに平方校長は語りました。

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★エッ?どういうことですか?「21世紀型教育の改革は、時代の流れや時代の精神に向かい合い、私たち教師が語り合いながら始めましたが、今度の新機軸は、生徒が行き着いた深層/真相から始まるということですよ」とほほ笑んだのです。

★その3つの新機軸とは何ですか?それは、12月15日の「21世紀型教育カンファレンス」で話をしたいということです。PBL型授業、ケンブリッジイングリッシュスクール型英語教育、高大連携、探究論文への取り組みという基盤となっている教育が生成する多様なプログラム。その中で、生徒が行き着いた深層/真相。そこから新機軸が生まれるという教育。これこそ21世紀型教育だと感動しました。

★ところで、成果と言うと、大学合格実績は、受験業界からは問われるのではないですか?と尋ねると、「もちろん、これだけの教育を行っていたらちゃんと生徒たちは自分で選択して、実現していきますよ。偏差値ではなく、自分の才能や技術を鍛えながら探究できる大学を探します。結果的に、受験業界の方が注目するような大学に進学していきます」と謙虚な自信を示したのです。

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