G-MACプロジェクト(02)<ことば>について多角的にアプローチする。
★一つ目のアクティビティは、スピードデートのバリエーションで、コミュニケーションをちょっと邪魔するフィルターを置きます。普通のスピードデートだとスムーズに開示していくために話し合いやすい環境、話したくなる環境設定をするのですが、フィルターを両者の間に置くことによって、話したいけど、うまく話せているだろうか、受け入れたいけれど、うまくできないさあてどうしようという問題意識が自然と生まれるように設定します。神崎先生と一真くんは、絆が太いということがすぐにわかったので、開示に関して心配せずに、いきなりここからスタートしました。
★パパが車を駐車場に入れている間に、一真くんに生き物をレゴでつくってと頼みました。なぜかトンボだったのですが、この段階でなぜそれを創ったのなどとは問いません。今はいっぱい一真くんの中からコミュニケーションの拡張子がでてくるのを待つので、「なぜ」を聞くのは禁物です。だって、「なぜ」は一真くんの方からたくさんでてくるのですから。
★こちらが尋ねる「なぜ」の問いは刑事コロンボ流儀がよいのです(笑)。あるタイミングのズレがいいんですよね。
★そして、パパが戻ってきても決して見せてはいけないとパーカーで覆いました。これで、一真くんとお爺ちゃんは秘密を共有しました。パパの知らない一真くんが現れたのです。チームができました♪
★パパがフィルターの向こうに座ったとき、いよいよ変形スピードデートの始まりです。一真くんが自分のトンボの作品をパパに伝達して、パパはトンボを創るのですが、最初は正確につくるともなんとも条件は言いません。
★すると、一真くんはトンボをつくるとだけ言いました。パパは、なるほどそういうことねと楽勝とばかりすぐにトンボをつくりました。
★しかし、一真くんは、全く違いますと一刀両断。でも、おもしろいのは、トンボという意味は共通しているけれど、カタチは違うと複文を付け加えるのです。Aだけど、B。というフレーズがたびたび今後もでてきます。それから、この意味とカタチもたびたびでてきます。そして、最初に「トンボをつくる」とだけテーマをぴしっとつかんでズバリ言うのは、今回のワークショップを通して、一貫していました。
★「Aだけど、B。」「ズバリこれ。」という複眼思考と一番大事な重みづけができる一真くんがすぐに現れました。しかも、パパが最初に作ったトンボを、意味とカタチにわけることもできる。なになになに。シニフェ・シニフィアンの関係じゃん。J.J.ルソーやソシュール、ロラン・バルトのような世界を持っているんだと気づき、ワクワクする気持ちを抑えるのに必死でした。こちらが、静かに一真くんの話のテンポを微妙にズラすことで、一真くんは、そのズレを先読みしようとして前のめりになるので、ここをレバレッジとして活用しようと思ったからです。
★案の定、じゃあ次はと語りかけたところで、組み立て方とか指示していいですかと即反応。もちろん、とだけいうと、パパまず最初はパーツを集めると言って、レゴのパーツの特徴を、カタチ、色、そして縦かける横の数(レゴの凸部分の数)を伝えていくのです。
★色がない場合はどうするのかとフィルター越しにパパの声が聞こえます。すると、一真くんは、代用品でもよいと返答していきます。でも、カタチは同じであることと。
★パーツが揃ったら、完全に数字の指示でパパに組み立てていってもらいます。トンボの羽は4つのパートを組み合わせるので、創るのに最も時間がかかりましが、なんとかできました。ここで、一真くんの<数学的思考>の素養があることがまた了解できました。プログラミングについてちょっときくと、スクラッチよりビスケットの方が今興味があるかなとかいいながら、ワークショップを進めていきますから、やはりと思いながら、あとで、コペルニクスについてワークショップやろうとそのとき決めました。でも、それはあっさり乗り越えられ、凄い展開になっていくのです。まっ、それは後程。
★一真くんのトンボとパパのつくったトンボのご対面です。今度は全く同じになりました。数字で語っていったよね。正確につたえなければと思ったからです。でも、羽のところは少し時間がかかったかなと。もし速めるにはどうしたらよかったと今なら考えるの?と質問すると、トンボの羽をイメージしてと付け加えたらよかったけれど、最初と同じように、お父さんの考えが入り込むのでと。
★なるほどオブジェクト指向のZ世代だと感じながら、でっ、今回のアクティビティでは、何が起きたのか説明してよというと、ことばのやりとりのビフォー・アフターについてどっと詳しい説明を語ってくれたのです。
★この経験と振り返りのプロトタイプを創ることが、今回のワークショップを水の流れのように自然にシークエンスを描いていくトリガーだと確信しました。
★今まで、ことばについてワークショップをやるときは、ポストイットを使ってきました。変形スピードデートは、ポストイットでももちろんできるのですが、ポストイットだと言葉とカタチをいったん分けるということができないので、どうしても頭の中での整理が必要です。できないことはあにのですが、回答が先に出てしまうので、おもしろくないんですね。
★しかし、その整理の仕方を共有することがなかなか難しいのです。言語化は、もちろんいいのですが、今回のトンボのビフォー・アフターをきちんと分けることができず、常に両方を抱え込みながら対話が続くので、ズレを調整できない時、カオスになってしまいます。
★大学生とTOKの問いと小論文の問いの違いを議論していくと、堂々巡りになってしまう時があるのは、やはり一端論理階型のように次元を分ける必要があります。レゴはその点それが一発でできるので、やはり優れものだと感動しました。でも、神崎先生のように、京都駅でタクシーを待っている外国の方が運んでいるあの大きなボストンバック級のレゴセットを持ち歩くことはできないし、資格をとることも意欲がわかないないので、神崎先生に甘えて協力させてもらうしかないですね。私は車の免許も持っていないのです。車はうちの社長にお任せなんです。無資格人間という怠惰な人間で、ノーロゴでサバイブするにはいかにしたら可能かと嘯いている厄介なお爺ちゃんですから(汗I。
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