工学院のG-STEAMとPBL(02)工学院のZ世代の脳科学
★先月、工学院は「2つのSTEAM教育フォーラム」を開きました。教育関係者や保護者、メディアの方が参加し、ワークショップを通して、2つのSTEAMを体験。そしてパネルディスカッション型のリフレクションを行いました。中1、中2の工学院の≪Z世代≫が、ファシリテーターとして共に学びました。
★その中2生の理科の授業をリサーチすることができました。彼ら≪Z世代≫は、授業の外でシンガポールや国連、ビッグサイトなどですでにSTEAMベースの提案やモノ創りをして活躍しています。このような教室から外にでて活躍するSTEAMと今回のような授業の中でSTEAMを学ぶ機会が2種類あるのです。
★理科の中村先生は、目と耳の感覚器官のメカニズムについて、単元を通してPBL型授業を展開していました。感覚器官のメカニズムを様々な刺激を体感しながら考えていくアクティビティや目チームと耳チームに分かれてリサーチし、ジグソー法的にあるいは複眼的に情報を伝達し合うアクティビティを挿入したり、サイエンスのコンテンツを理解していくインストラクショニズム的な展開がなされていました。
★知識をいきなりインプットして記憶する強制的な授業を行うのではなく、まずは自分たちで調べて、イメージを結んだあとで、レクチャーを受けるというPeer Instrution Lectureも仕組まれています。ここを短時間い詰めていくには、Webの力は絶大です。なるほど「テクノロジー」の力も活用しています。
★しかし、なんといってもすさまじいのは、生まれながらにして目が見えない子供が、現実の世界をどのように認識していくのか脳科学の話にシフトしていくところです。クライマックスが用意されているのです。目は視角野が反応し、耳は聴覚野が反応するという生徒の理解を、ある意味ひっくり返す眩暈がマインドセットされていたのです。
★目の見えない子も、視角野が反応しています。どうやら、脳は要素分解主義的な発想では理解ができないメカニズムのようです。
★授業終了後、教務主任の田中歩先生は、中村先生の授業のリフレクションを共にしていきます。中村先生の情熱的な理科の専門的な説明にじっくり耳を傾けながら、ダイレクトな学びとしてすばらしいと確認しながら、中村先生自身が気づいていない、でも実際にはとてもすごいリベラルアーツ的な、つまりここにこそSTEAM教育の肝があるわけですが、授業が展開されていることを共に気づきたいと感じたようです。それについては、他教科の意見も交える方が気づきは豊かになるので、午後からのチーム田中の研修で検証することにしたようです。
★チーム田中の研修では、互いのPBL授業のメカニズムを分析し、気づきを得る目的で行われています。各教科各教師それぞれのPBLがあってみんないいわけですが、互いにシェアすることで、相互に刺激し合いPBL型授業のクオリティが向上していく成果があがっています。
★今回も、新海先生のファシリ―トによって、スクライビングをして、アクティビティタイプ分析をして、思考コードの時系列分析をしていきました。中村先生の意図を共有しつつ、それぞれの教師の気づいたアイデアをシェアしていきます。
★授業というのは、教師の授業デザインと生徒の身体脳神経系全体の活動の両方のセッションで成り立ちます。1人で授業をデザインすると、どんなに生徒の内側から生まれるアイデアを大切にしようと思っても、教師の設計した理解の線路の上を走らせることになりがちです。
★そこで、田中歩先生は、アクティビティという生徒の活動に注目して授業をリフレクションする研修を行っています。また、知識の理解で終わることなく、論理や創造を≪Z世代≫が楽しむ授業になっているかどうか思考コードでモニタリングしていきます。
★田中歩先生は、中村先生の授業を通して、≪Z世代≫は身体脳神経系全体をどのくらい活用したのか、生徒の脳の中にはいりこんで、リフレクションし、チームメンバーと共有していました。
★五感と脳と外界の関係を理解する理科の授業ということもあり、≪Z世代≫の脳科学に思い馳せる豊かな時間となりました。工学院のPBL型授業は単元テーマのダイレクトな学びとリベラルアーツとしてのインダイレクトな学びがカップリングされているということでしょう。ここにもう一つのSTEAMである工学院のPBL授業の肝があると感じいりました。
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