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2019年11月 7日 (木)

G-MACプロジェクト(05)コペルニクス的転回スキルで、自己中心的ものの見方から解き放たれる

★一真くんと、最初は、<変形スピードデート>で、一真くん自身が<ことば>のメカニズムのプロトタイプを創るところからはじめました。この自分で創るということが最も重要だったのです。よく自分軸とかアイデンティティと言いますが、それはいったい何でしょう。自分軸であったり自己同一性であるのなら、その基準は、人が造ったものをあてがっていたのでは、話にならないのです。

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★自己経験を通して気づいた知識や考え方の蓄積が一真くんをはじめすべての子供たちの存在そのものです。しかし、その存在を内発的に生成する基準や土台を、他人が造ったものを埋め込んでだいなしにしてきたのが今までの教育でしょう。

★じゃあ、それぞれみなバラバラじゃないかと言われるかもしれません?最初はそうかもしれませんが、対話を重ねていくうちに、アップデートしていくし、intersubjectとして他者と共有できる部分もでてきます。レゴという客体も人によって違う客体です。一見絶対的な客観だけれども、今回一真くんは、その使い方を他の人とはこれまた違う使い方をしました。

★今回、おそらく神崎家の中の豊かな知的経験が、一真くんに独自の<ことば>のメカニズムのプロトタイプをレゴによって可視化できたと思うのですが、そのプロトタイプで、さまざまな世界を読み取り創り出すとき、使われる客体レゴも一真くんの世界を反映する<ことば>として作用するわけです。客観それ自体もinterobjectだったわけです。これがZ世代の共通のメガネかもしれません。

★一真くんは、小松左京を活用した<シナリオプランニング>でも、自分で創った<ことば>のメカニズムを<適用>することによって、多角的なアプローチがあることを表現していきました。

★そこで、念のため、かこさとしさんの「科学者の目」の中かから「コペルニクス」をコピーして渡しました。これもあっという間に読んで、天動説と地動説の違いを説明してくれました。そのうえで、でも今は地動説を超える考え方もあるのだと。図鑑を読んでいて知ったのだけれどと、鼻を膨らませ、目を輝かせ語るのです。

★であれば、天動説から現代の説まで、レゴで表現してみようかということになったのです。

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★天動説は地球が太陽より大きく表現されています。地動説は太陽が他の惑星よりも大きく表現されています。そして、今の説は、中心がそもそもないのだといいます。そしてそれは、ブラックホールの存在によるとか、天の川銀河の存在が見つかったからだというのです。

★そのことの正しさはここでは問いませんでした。それは私もわからないことですから。<わからない>という括弧にくくるエポケーをしておきました。

★それよりもおもしろかったのは、パパと見つけた四角い板がどうして太陽だったり、ブラックホールだったりするの?惑星は球になているのに?

★すると、一真くんは「見立て」ですよと。カタチはちがっても内容をきちんと表すことでしょうと。たとえとも言いますと。一真くん、学校で友達とそういう言葉みんなで使うの?いや使いません。どこで知ったの?さあ。。。おそらく神崎家の言語だろうなあと。

★かくして、客体は一義的ではなく、多義的意味を展開することになるのです。科学主義が排除してきた客観の有する多義的な存在意味を一真くんは見事に回復しています。新たな魔術の世界と、誰かが言っていましたが、Z世代とはおそるべしです。

★intersubjectとinterobject的なもの見方をしていて、主観―客観図式を超えてしまっているのです。

★だから、一真くん、天動説から新説まで並べたこのレゴを見て、何を巡る考え方の変化だったの?と問うと、しばし考えて、<中心>ですねと。

★自然科学の世界も社会科科学の世界も、政治経済の世界も、結局は<中心>を何に置き換えるかという歴史だったし、未来もそうなのかもしれない。そう、一真くんから学んだのです。

★コペルニクス的転回のスキルは、自分が生み出した<ことば>のメカニズムのプロトタイプに拠っているということも了解できました。

★今までの教育は、コペルニクス的転回スキルのベースになる生徒1人ひとりの<ことば>のメカニズムのプロトタイプを確認しないまま行われてきました。これでは、内発的モチベーションは生まれてきません。世界を自分が変えられるなどと思いつかないでしょう。子供時代に目をキラキラさせる子供が多いのは、無意識ですが、経験の中から得られた自分なりの<ことば>のメカニズムの種があるからですね。

★それを可視化して、自分のものとして内面化する作業が今まではなかったので、大人になるにつれて忘却されて不安とカオスの時代を自ら生み出していくことになっているのでしょう。

★私自身は、今回神崎家の豊かな経験の中で大事にされてきた一真くんのものの見方のベースである<ことば>のメカニズムの種を可視化するお手伝いをしただけです。ソクラテスの対話は<産婆術>ともいわれますが、そんな素敵なアクションだったらいいなあと思うし、それができたのは、神崎家とのコラボによってできたのだということは明らかです。対話とは常にコラボです。

★創造的対話か、戦略的対話か、破壊的対話か、抑圧的対話か・・・。もちろん、<産婆術>は、創造的対話です。一真くん、神崎先生、ありがとうございます。気づきの多い明日へのプロジェクトとなりました。

 

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