成蹊 学びの本質「体験」を大切にしている。
★読売新聞オンライン2019年11月14日に、成蹊中学・高等学校の記事「多様な体験学習で自らを知り、夢をつかめ…成蹊」が掲載されています。同校の学びの本質「体験」を大切にしているコンセプトとその多様な具体的なケースについて、詳しく記述されています。ぜひご覧ください。
(写真は、成蹊のサイトから)
★そのコンセプトについて跡部清校長先生の言葉が掲載されています。とても大切なので、ここでも引用しておきます。
「本校の建学の精神は『個性の尊重・品性の陶冶・勤労の実践』です。この『勤労の実践』を言い換えれば、体験を通して学んだ価値観を基に他者貢献するということです。生徒たちには、機会があるごとに、体験を通して学ぶよう伝えています。それは体験の中で何かにぶつかったとき、その跳ね返りによって自分の姿が見えてくるからで、その体験の場を用意することが学校の役目だと思っています」
★おそらく、成蹊の先生方は、最近の革新的な教育において、<新しい学びの経験>を創るコトが大切だと叫んでいることは、何をいまさらと思っていると思います。もちろん、同校の先生方は品格が卓越しているので、そのようなことを主張することはまずありません。
★しかしながら、静かに、跡部校長が語る言葉の中に、成蹊は<新しい学びの経験>を創り続けてきたのだなあということが了解できます。たとえば、上記の引用部の中のにある「機会があるごとに、体験を通して学ぶよう伝えています。それは体験の中で何かにぶつかったとき、その跳ね返りによって自分の姿が見えてくるからで、その体験の場を用意することが学校の役目だと思っています」という言葉がそれです。
★体験を通して日常では感じたことや見たことがないようなことに直面するわけです。そのとき、いったいこれは自分にとって他者にとってどういうものなのかと<跳ね返って>くるわけです。これによって、新しい自分の変容が起こるというわけですね。この<跳ね返り>とは、<新しい学びの経験>の学習理論でもとても重視されている<リフレクション(振り返り)>ということと同意でしょう。
★学校の役目は、こうした体験の場、つまり<新しい学びの経験>を設定することなのだというわけですから、J.デューイの系譜にあるということを示唆していますし、デューイの現代化が実は昨今の<新しい学びの経験>の学習理論の核心です。成蹊は、創立以来、普遍的な進歩主義的教育を実践してきたわけです。
★日々、同校の生徒は、気象や天文を観察し、データ化し、分析する科学の目を、そのような体験から学んでいます。また、武蔵野の自然(広大なキャンパスそのものがそうです)は、科学的に観察する対象というだけではなく、美術の時間のモチーフでもあり、家庭科の時間の食材の庭園でもあるのです。日ごろの授業も、同記事が書いている多様な体験学習と同様、体験を重視しています。
★このように、体験を教師と生徒とが共有しているからこそ、同校の生徒と対話していると、生徒もいっしょに学びを創り出しているということが了解できます。同記事にこうあるのは、それを示唆しているのだと思います。
「同校の体験学習には、生徒による自主企画も数多く含まれている。今年度は、ミャンマーのイスラム系住民であるロヒンギャをテーマにした映画上映会を校内で開催した。生徒は実行委員会を作り、大学にも協力を依頼して、実現へ結びつけたという。高校生が中心だが、中学生も参加しており、先輩の自主活動への熱意を十分受け止めたことだろう。自ら発信者となり、学年を超えて呼びかけ、ともに学び合うという気風は、同校の伝統となっている。」
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