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2019年11月14日 (木)

新しい思考力生成(04)首都圏模試センターの「思考コード」を授業に変換すると、工学院と聖学院の新しい動きとシンクロする。

★思考コードは、私たちが学んだり、考えたり、憶えたり、創ったりする行為をシンプルに表に変換したものです。たとえば、授業というのも、生徒が学んだり、考えたり、憶えたり、創ったりする行為システムの場です。

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★その行為システムの循環をイメージにしてみました。やはり複雑になるので、生徒が自分がどの行為システムをしているのか、これからしようとしているのかなどをリフレクションするには、思考コードの方がポジショニングしやすいですね。

★それはともあれ、学びの行為のシステムの土台は、<経験>です。この<経験>から知識を獲得し、デフォルトモードネットワークとして蓄積することによって、<知識>を出し入れする<想起>ができるようになるわけです。

★この<経験>から知識を獲得する。すなわち、情報獲得するということは、しかしながら、原初的な時代ではないので、当時の第一次<経験>だけからではなく、その<経験>が第二次<経験>としてのテキストやデータになっている場合の方が現在では多いわけです。

★PBLの授業でアクティビティを挿入するのは、テキストやデータは、いつの間にか<経験>が忘却されているので、それを回復して、第二次<経験>として立ち上げる効果があるのです。

★つまり<経験>から学ぶという構えを授業の中に取り戻すわけです。

★今までの20世紀型教育では、知識をインプットして想起する学びの行為だけを行っていたのです。大量消費、大量生産、大量移動の工業生産社会では、イノベーションは一握りの人間が行い、そのほかは彼らが造る知識や技術を憶えればよかったのです。

★ところが、ITイノベーションが起こったとき、未知の世界を1人ひとりが読み解き、創ることができるようになったわけです。

★そうすると、<知識想起>だけでもなく、その<知識想起>を支える<情報獲得>だけでもなく、未知の世界に、そのデフォルトモードネットワークの知識や技術を論理的に適用していく<適用・論理>の学びの行為が必要になってきます。しかも、その論理的に適用した場合、論理構造が巧く当てはまらない場合、論理を修正する場合もありますが、新しい論理関係の発見であると了解して、新しい論理関係を<批判・創造>する学びの行為にパラダイムチェンジする場合もあるのです。

★この<知識想起>と<情報獲得>という学びの行為をA軸思考、<適用・論理>という学びの行為がB軸思考、<批判・創造>という学びの行為をC軸思考に転写したのが<思考コード>だったわけです。このことが自覚されて授業が展開されているのイノベーティブな学校に工学院大学附属中学高等学校と聖学院があります。

★要するに<思考コード>は学びや思考のメカニズムの表であり、この表の一部だけの授業やテストは、人間の学びや思考のメカニズムの循環を破壊していると言えます。20世紀が自然と社会と精神の循環システムを破壊してきたのは、教育のメカニズムもまた循環が断絶されていたからでしょう。

★この行為システムは、同時にコミュニケーション行為システムでもあります。ですから、この学びと思考の循環を個人ワークで終始するのではなく、プロジェクトベースでコラボレーションしながら行うPBL授業になるのも必然です。

★このシステムを行うには、45分授業や50分授業という既成の考え方も変えざるを得ないでしょう。現状はこの規制の中で、コンパクトに行える形式を先生方と創意工夫していますが、今後はこれをどう変えていくかです。この動きが工学院の家庭科と保健体育の教師によって新たに始まっています。聖学院では授業デザイン研究会に参加している先生方が中心に挑戦しています。

 

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