本当に探究するというコト本当にアクティブラーニングを行うというコト これで政府主導の教育改革は不要。
★令和元年、どうやら政府主導の教育改革は不要であるという結論がでましたね。石川一郎先生の新著を読んでそう確信しました。政府主導の教育改革はうまくいかなかったけれど、石川先生やその仲間たちがこれだけ教育の本質を書くようになり、学校と塾を越境するようになったのは、実は新しい動きでした。
(次の世界をさぐる思想。世界の現代アーティストはここから出発している。日本の教育はここまでいくだいぶ手前にいる。新しい探究とかアクティブラーニングとか語っている人も、ここはほとんど語らない。)
★でも、そこに書かれていることは、すべて受験勉強の枠内の話で、このような新しい学びが学歴社会を払拭するどころか、しっかりと強化し続ける日本が今後も続くというコトであれば、もはや教育改革を政府が主導する必要はないのです。受験勉強が骨太になる、それによって東大ピラミッド学歴社会が安泰。
★見事に再帰的近代官僚主義の思うつぼというコトになりました。石川先生も新著では、21世紀型教育機構理事をプロフィールからはずして、学歴社会強化の路線を牽引する側に回りました。福沢諭吉と協働して進んでいた加藤弘之が、東大初綜理になったとき、私学の道を捨て、官学の道に転向し、啓蒙思想的理念を捨てたのに似ています。さすが石川一郎先生だと思います。アクロバティックに転向しました。
★そんなことにも気づかない石川一郎先生の仲間たちは、脱偏差値だとかSTEAMだとか探究だとかPBLだとか言っていますが、文科省の改革がだめになりそうなときに動き始めた経産省の動きに飛び移りました。
★この国は変わりません。教育改革不要論は、明治以来の東大初綜理加藤弘之と穂積陳重が共謀して、天賦人権説を激しく排除して、教育と法律を構築しました。この路線に対峙したのが私立学校だったのですが、今やそれも風前の灯火です。
★心ある私立学校がノアの箱舟計画を実行するしかないというのが現状です。今論じられている探究やアクティブラーニングには、古い哲学をありのままに受け入れたものが多く、それを脱構築する発想がそもそもありません。
★とくに塾業界はそうですね。かつて河合塾がここに果敢に挑戦していたのですが、そのときのスタッフは、ドイツなどに留学して大学で活躍していると聞き及びます。要するにその方々はもういなくなったということです。
★探究とは、古い哲学を新しい切り口で新しい哲学に変える思考ができなくては、本当のクリティカルシンキングだとは私は思いません。アクティブラーニングも、ヘーゲル的ダイアローグを脱構築する新しい対話をベースにしなければどうしようもないでしょう。にもかかわらず、古い哲学のまま受け入れて、その発想を活用することがクリティカルシンキングだとか言っています。対話をヘーゲルやハイデガーをそのままベースにして語ります。
★企業でも、研究でも、今まであるものをそのまま再生産するような組織はみな衰退します。研究はすでにある研究をしても、何の貢献もしていないとみなされます。イノベーションや新しい発見をする切り口を見出す涙ぐましい探究こそ探究であり、受験の枠組みの中でやっている探究で満足したり、まして、これが最高だなんていっているとそれは世界標準以下でしょう。日本の閉じられた世界で、ゆるやかなナショナリズムが生み出されていく危険性がいっぱいです。
★加藤弘之の優勝劣敗進化論は、富国強兵の正当化論です。不幸にもちゃんとこの道を日本は歩んでいますね。それを強化する探究論とアクティブラーニング論。政府主導の教育改革は一見不発でしたが、実は思うツボだったのです。ゆるやかなナショナリズムの完成ということでしょう。この完成がはっきりしたがゆえに、功利主義的転向組が生まれるのは当然です。ここに最高善は存在しません。そもそもそんなものはどうでもよいのがリバタリアンです。
★政府主導の教育改革のから騒ぎは、思い切り梯子を外し、自作自演を演じ、見事にその役割を果たしたのです。
★私たちに残された道は、心ある仲間たちとサバイブするノアの箱舟計画です。実にごく少数でしょう。しかし、まずは次のステージはこここからです。嵐が去った後、サバイブした人間が新たな社会を創るしかないというのがどうやらこれからの道です。
★政府におもねる教育論は、政府がある限り、生きて行きやすいですよね。そちらを行くか、そうでない道を選択するか。転向するのか、貫くのか、それは私事の自己決定です。ただし、本当に≪Z世代≫の未来を考えるのなら、それは自ずときまってくるでしょう。
| 固定リンク
« 第11回 形成的評価とタキソノミー 学校組織以外でも活用は可能か? | トップページ | ラウンドスクエアの八雲学園①世界のエスタブリッシュな紳士淑女に注目される学校 日本では知る人ぞ知る学校。 »
「創造的破壊」カテゴリの記事
- 本田由紀教授の短いメッセージにも日本の根本問題を暴く(2024.10.29)
- 日経ビジネス 禅と哲学 駒沢学園女子の教育がグローバルなわけ(2024.10.22)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(了)2050年以降の社会は、だれもが創造的才能者になる(2024.10.01)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(7)2050年以降の社会を創出する創造的才能者を生み出す教育(2024.10.01)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(6)いわゆる高偏差値学校の教育と筑駒湘白型教科教育(2024.10.01)
最近のコメント