アサンプション国際小学校(02)学びの生態系 世界を読み解き、世界を創るスキルを学ぶ。
★今回の授業リサーチのプログラムは、蒲生教頭によるある意図がありました。そうとは知らず、4年生、3年生、2年生の国語の授業を見学してリサーチをしました。
★4年生は、阿弥先生による国語のPBL授業。テーマは教科書からはみ出て、「学校紹介リーフレットを創る」でした。編集の大枠を共有してから、すぐに作成しようと。生徒は、Learning by makingのアクティビティは、グループワークになると了解しているので、主体的に、グループのワーキングスペースをつくって、ブレスト会議を開始します。
★さすが、<学習する組織>ができていると感動しながら見ていたところ、一箇所席が輪になって配置されている誰もいないスペースも創られていました。何に使うのだろうと観察していたら、あるタイミングで、阿弥先生がそのスペースの一席に座りました。
★すると、各チームのファシリテーターが集まってきて、進捗状況と行き詰っている課題などを共有しはじめました。なんと、そこはメンタースペースだったのです。PBLで、ディスカッションをし続けると、停滞する時があります。そのとき、先生がアドバイスに入る場合もありますが、そこを生徒同士で考えてブレイクスルーが起こる創意工夫としてこのメンタースペースができあがったというのです。
★小3の海見先生のPBL授業は、「食べ物のひみつをさぐる」がテーマです。材料から食品に変化するプロセスに隠されている何かを探していく探究活動です。最終的には、キーノートでまとめプレゼンするのですが、そこにいきつくまでの準備が始まっていたのです。グループに分かれてマインドマップで、生徒が記憶している知っていることをどんどん書き出して拡散していきます。
★グループだけでは限られてしまうので、ギャラリーウオークをして、さらにマインドマップを拡大していきます。そして、一転して、カテゴリー表に変換していきます。拡散と収束の思考作用を、グループワークとギャラリーウオークの集中と拡散というコミュニケーション活動によって促進しているのです。
★小2の十亀先生のPBL授業は、「しかけカードをつくって、お母さんに贈ろう」というテーマです。作り方の手順を教えてつくっていくのではなく、どうやって作ったら、お母さんにわかりやすく伝わるのかその方法を考えるところからはじまります。
★ペアワークで、バラバラになった仕掛けカードをつくる手順のパーツを並べ替えていきます。同時に各カードが強調しているところはどこか、なぜそこを強調することがわかりやすいのかなども問答法で引き出していきます。
★子供たちは、創ることの楽しさだけではなく、つくり方の方法を自ら解き明かしていくことにワクワクしながら取り組んでいるのです。
★こうして、小2・小3・小4の国語の授業を見ることで、生徒の発達段階が明快にわかりました。そして、テーマは違っていても、仕掛けカード、食品、学校というそれぞれのミニ世界を読み解きながら、それを今度は自分たちで再構成して新しく世界を創る作業をしているという点で共通しているということも了解できました。
★しかも、世界を創るとき、その作り方の「順序づけ」「分解と合成」「編集」などという世界制作方法を自ら見出すアクティビティを挿入しているというところが共通しています。この自ら見出すという行為こそ、教えてもらうのではなく、読み解く経験、創る経験の中から子供たち自身が潜在的に持っている方法を可視化しているのです。
★そして、チームで議論したり、メンターと対話したりして共有し、さらに必ず授業の終わりに行うリフレクションによって、自分の作り方をリファインして豊かにしていくわけです。
★蒲生教頭の意図は、このことに私が気づくことを期待して、授業終了後のフィードバックの対話の時間を先生方と共有しようということだったのです。第三者がみて、カリキュラムの構造がどのように映るのかをモニタリングしてみたのでしょう。
★それを共有し、自然とできあがった部分もあるカリキュラムの構造を先生方が可視化し、それを再びカリキュラムの構造に埋め込むことによって、より柔軟で有機的なカリキュラムの構造にしていこうということなのでしょう。
★生徒の発達段階と言っても、その発達は、カリキュラムの構造と相互に影響し合っているわけですから、生徒が才能を開花し、豊かになっていくという意味の発達段階は、心理学的発達段階と学びの発達段階の両方がDNAのように螺旋的な発達の連続になっているのかもしれません。
★蒲生教頭のカリキュラムマネジメントは、たんに学びの項目を並べ、それが到達されているどうかをチェックしていくようなマシーンモデルではなく、学びの生態系モデルだったのだと気づいき、感動したのです。
| 固定リンク
« アサンプション国際小学校(01)対話が柔らかい活力ある組織を創る。 | トップページ | 新しい思考力生成(04)首都圏模試センターの「思考コード」を授業に変換すると、工学院と聖学院の新しい動きとシンクロする。 »
「創造的対話」カテゴリの記事
- 多摩エリアの11支部の私学が注目されはじめる➍~日本全体の私学から注目されている(2025.05.14)
- 八雲学園 意志と論理と愛情の説明会(2025.05.11)
- ファシリテーション組織➌世界をエンパワーする対話 シンプルにこれが組織を持続可能にする例として工学院(2025.05.11)
- 国立音楽大学附属中高 変わる未来のリベラルアーツ学校(2025.05.11)
- ファシリテーション組織➋9つの対話のシーン(2025.05.09)
最近のコメント