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2019年11月 8日 (金)

聖母女学院グループ 本質的教育研究へ

★学校法人聖母女学院は、保育園・幼稚園・小学校・中学校・高等学校まで揃っている総合学園です。小中校は、大阪香里園と京都藤森の両方に在ります。

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★香里ヌヴェール学院は、一足先に改革を行い順調に生徒が集まり、教育の質を充実する道のりを歩んでいます。京都聖母は、もともと生徒募集は順調ですから、内側からの必然性を待って、今年から改革を開始しました。小中校に関しては、香里ヌヴェール学院も京都聖母女学院も新校長が就任し、新たな改革のフェーズに入っています。

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★新しいフェーズというのは、香里ヌヴェール学院は、21世紀型教育と出遭い、2040年に今の子どもがどうなっていて欲しいか、このままいくと悲惨な状況が待っているために、そこでサバイブできる能力、できるならそのような悪循環の社会を好循環の社会に変えられる才能者に育ってもらいたい、そのための教育はいかにして可能かから出発しました。

★第2フェーズは、改革の根拠をそのような時代の要請に沿うだけではなく、今目の前の子どもを観察して、この子供たちにとって、本当に何が必要なのかという、教育の本質的な意志から再考することに、赤野理事長はしたようです。

★それゆえ、聖母女学院教育研究センターを構想し、まずは園長、校長を中心に毎月一度集まり、聖母女学院の教育とは何か、情報共有から始めました。その共有はワークショップ型ですから、気づきも多いし、課題発見もそのつど起こります。

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★しかし、今年3月から始めて、7回目を経たあたりから、おそらく他の学校法人ではなかなか見つからない重要な教育の本質部分が発見されました。それは、聖母グループは、保育園・幼稚園を併設しているために、就学前に学んで来る子供の成長からスタートできるという点でした。

★就学前に成長した子ども、つまり5.6歳児の発達段階は、聖母の保育園と幼稚園の学びの環境があるからこそ、そうなるわけであって、どこの環境にあっても同じだということではないということに気づいたのです。

★考えてみれば当たり前かもしれませんが、このような宝物=賜物=タラント=才能を小学校、中学校、高等学校と有機的につなげて、さらに生徒1人ひとりの才能がどんどん豊かになっていけばよいわけです。

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★今回のワークショップは、そういう意味では、グループ全体の有機的循環のメカニズムをいかにして把握するか、足りない分はいかに補填するかという創発ミーティングになりました。もちろん、小学校も中学校も高等学校も外部からも入学してきますから、そのケアシステムがどうなっているかもリフレクションしつつ展開していきました。

★この展開のテコは、保育園・幼稚園、小学校、中高のそれぞれの期間において、児童や生徒が浸る「経験」の違いは何かから始めました。「経験」から人は学びますが、子供の発達段階に対応して「経験」のメカニズムも変化している可能性があったからです。そして、21世紀型教育の学びの本質的な部分も、ピアジェ―パパート―レズニックという系譜やレヴィ・ストロース×ピアジェ―ハワード・ガードナーという系譜などの統合にありますから、そこでも「経験」はカギなのです。

★ともあれ、それはやはり大きく違うということが共有できました。それでは、その大切な発達段階に応じた経験をどうやって授業や教室の中に埋め込むことができるのか?もし「経験」を持ち込まなければ、授業は、経験とは切り離された知識のインプットだけの世界になってしまいます。ところが、改革を進めている聖母女学院グループの授業はそこから徐々に抜け出ているわけです。

★今ここで、行っている園長・校長の自らの教育の中にある本質の種を見出し共有することが改革の核心であり、外部からのパッケージを持ち込むことは改革のカンフル剤に過ぎないと赤野理事長が感じてきたことは、いよいよ根を張りだしたわけです。

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