クックパッド×静岡聖光×聖学院(了)料理創りの世界を広げるかなたに見えること。
★児浦先生のレゴ®シリアスプレイ®のワークショップが始まりました。テーマは「料理をしたくなる世界をつくり広げよう!」です。生徒は、料理創りを個人的な出来事として経験し、さらに料理にかかわる世界の諸問題を知りました。そこで、知った以上は、自分だけが楽しんで終わりにするのではなく、その楽しさを多くの人と共有し、諸問題を解決していきたいというグロースマインドセットを児浦先生は仕掛けたのです。
★レゴ®シリアスプレイ®は、レゴ社が開発したものですが、そのコンセプトはMITメディアラボのシーモア・パパート教授によっています。教授はピアジェのもとで研究していました。パパート教授の後を継承してプログラミングと結びつけて発展させている同ラボのレズニック教授も就学前の学びに一生ものの学びの核があることを発見しています。やはりピアジェの系譜です。
★パパート教授は、ピアジェの系譜を継ぐ者として<経験>と<数学的思考>をきちんとセオリーの基盤にしています。また学びの方法は、20世紀型の3Rではなく、21世紀型の3Xを提唱しています。3Rとは、要するに読み・書き・算盤です。3XとはリサーチとディスカッションとプレゼンテーションというPBLの構成要素ですね。
★児浦先生は、数学教諭ということもあり、レゴ®シリアスプレイ®ヤーとしてセオリーを大切にしています。中には、このセオリーを全く理解していないプレイヤーもいますが、その点児浦先生のレゴを活用したワークショップは本物です。その本物ということが、今回のコラボワークショップの成功の要因の1つだったことは否定できないでしょう。
★最初は、レゴに慣れ親しむためと互いのメンタルモデルを知り、受け入れ、チーム力をつくっていくレゴによるいつものイニシエーションからスタートします。そして、ウオームアップしたところで、今まで考えてきた問題の整理として、「男性の料理を阻んでいるもの」と「料理は女性がするものだという考えが引き起こすこと」を考えるお題を出します。すると1人ひとりが沈思黙考していきます。
★両校とも、タイやマレーシアの同年齢など多くの人びととグローバルな交流をしていますから、互いに存在する壁を話し合い、そこをぶち破っていく思考には慣れています。そのせいか、ここはすっと没入していきました。
★そのうえで、児浦先生は、「あなたが考える男性が料理をしたくなる世界をレゴで表現しよう」というお題を提示します。
★壁を壊す方法やつくりたくなるモチベーションが生まれる方法、マーケティング的なアプローチの方法など、多様な考えがあふれでます。そしてレゴによる表現も様々です。
★参加者30人分のアイデアがレゴに変換されます。この変換という難しさとアイデアとのズレをどうするかが、ものすごく楽しいわけですが、これは料理を創る時と同じかもしれません。
★ともあれ、チームで、できあがった自分のレゴの意味を語り合っていきます。世界を創る第一歩は意味つけという重みづけです。
★そして、1人ひとりのレゴとその意味付けを、今度はチームで結びつけます。まずは1人ひとり分割しておいて、今度は合成するのです。分解と合成も数学的思考ですね。そしてこれも世界創りの方法の1つです。と語っているのは、ネルソン・グッドマンという数学者です。当然、パパートも了解しているはずです。
★さて、合成する時、生徒たちは、順序づけを考えていきます。そして関係づけたらさらに意味付けをしていきます。モチベーションとマーケティングそして景気を結び付けたり、生成したモチベーションを選択意志にどう転換するか世界創りの話はこれまた多様です。
★そしてさらに、その世界を広げるための方法を、ポストイットで挿入していきます。削除・挿入も世界創りの大切な方法です。
★できあがったら、発表するチームの周りを囲んで、プレゼンテーションに耳を傾けます。外から見ていたので、詳細はわかりませんが、自分たちが創った世界について愛情をもって話し、それは聞いている方もプレゼンの番が回ってきたら同じことなので、やはりリスペクトして真剣に聞いています。
★だれかが料理を創るのではなく、1人ひとりが創ることができれば、おそらくここで展開しているのと同じ光景を世界中で見ることができるでしょう。誰かが労働して誰かがそれを仕切っている。これは料理をする人と食べる側の人との間にある境界線と同じでしょう。
★今回の料理を創るプログラムの挑戦と聖学院や静岡聖光学院で行われているレゴ®シリアスプレイ®というプログラムは、世界中が模索している新しい経済への転換に対応する新しい学びの経験に相当します。
★SDGsのために世界中が動き始めています。AIをはじめとするICTの進化も加速しています。その過程で限界費用ゼロ社会が見えてくるといわれています。今のような男性中心社会や長時間の労働から解放されるとも言われています。そのとき私たちは何をして楽しむのでしょう。今回のプログラムはその未来へのパースペクティブを広げて見せてくれたのです。
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