G-MACプロジェクト(04)<ことば>のシステムのプロトタイプが物語を生み出す。
★一真くんなりの<ことば>のシステムのプロトタイプができたところで、対話によっていろいろな現象・事象に<適用>してみたというのは前回ご紹介しましたが、今度は簡単な<シナリオ・プランニング>のアクティビティを行いました。
★小松左京の「宇宙人の宿題」に収められている短編を活用しました。今から相当未来の話です。地球からある星に移住した人々がいます。その中の男の子が1人、お爺ちゃんから、地球の青空の美しさ、緑の豊かさ、水の清々しさなどを何度も聞いているうちに、地球に実際に行ってみることにしました。地球の方向にいく宇宙船でアルバイトをしながら乗り継いで、ようやく地球についたとき、思っていたのと全く違い愕然としたのです。すべては灰色の世界だったからです。コンクリートで塗り固められた世界だったからです。
★そこから、同じように宇宙船を乗り継いで、自分の星に戻ってきました。そしてそれはすごい年月がかかりましたから、すっかりお爺ちゃんになっていたのです。子供たちがお爺ちゃんに地球はどうでしたかと聞きました。
★あえて、物語は、そこで終わるようにプリントしたのですが、一真くんは、この後の続きを考えるのですねと目を輝かせました。それをレゴで表現しようかというと、すぐにパパとパーツを探しながら、組み立てていきました。
★なんでも夢の地球と実際の地球を比較できるように作って、対話する人形がちょこんと置かれています。
★一真くんは、書かれている部分のあらすじを簡単にせつめいしてくれたあとで、続きをレゴを使いながら物語ってくれました。真実を語り、地球のようにならないように子供たちに語るというものでした。
★そこで、<ことば>のシステムのプロトタイプにもどり、対照してみました。カタチと内容の一致をベースにシナリオを描いたということはすぐに一真くんは理解。そして、そういうことか。一致しない場合、嘘をつくというシナリオがあると。
★シナリオプランニングとして両方考えられるけれど、真実を選ぶということでした。一真くんは、あとでこれは道徳問題でもあると話してくれたのですが、まさに時間があればカントの嘘についての問題に進めるなあと思っていたところです。
★しかし、今回は<ことば>にこだわっていくプログラムにしました。この段階で、池上嘉彦氏の「ふしぎばことば ことばのふしぎ」の一節を挿入しました。一真くんはすぐに読んで、<ことばの力>は、伝達するだけではなく、ときに破壊的だ力にもなるし、創造的な力にもなるということを読み取り、今やったことは創造的ということですねとリフレクションをすぐに行っていました。
★一真くんはどうなのと聞くと、いいたいことをはっきり相手に伝えるから、創造的なつもりなんだけれど、破壊的になるときもあるかもしれませんと。小学校の頃、自分のことをこんなに知っていたかなと私は回顧しましたが、どうもそんな記憶はありません。Z世代おそるべしですね。ところで、そう気づいたらどうするのと念のため聞いてみました。
★すると、「配慮」と即答でした。<ことば>のカタチと考え・意味のバランスは、年齢にかかわらず、人間の根源的な悩みの種のようです。
★この物語は、日本の昔話のシークエンスを宇宙版にしたものだと思いますが、どうやら一真くんの<ことば>のシステムのプロトタイプは時代を超えて普遍的な部分が見えてきました。このことが、次のファイナルアクティビティでより鮮明になります。一真くんの言葉の選択が、システムと同期していたのです。
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