この秋、工学院で、STEAM教育をカリキュラムにどう位置付けるか?共に考えましょう。
★グローバル教育だとかプログラミング教育だとかSTEAM教育だとか、初等中等教育のカリキュラムにどんどん新しい考え方やプログラムが接ぎ木されている昨今です。断捨離も削除もしないで追加挿入されるだけでなので、現場の先生方も何よりも生徒も不安です。中途半端になりがちでこれでよいのかなあと。そうはいっても、2040年から考えると、新しい学びの経験を構築しないわけにはいきません。さて、どうしたらよいのでしょうか。
(STEAMのSやAをどうとらえるかによって、STEAMや探究の位置づけが微妙に変わる)
★そんなことを感じていた折、教育新聞2019年10月15日に「探究授業にSTEAM教育導入で一致 中教審高校改革WG」という記事が掲載されました。同記事によると、<中教審は10月15日、高校改革を議論する「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」(高校改革WG)の第4回会合を都内で開き、新学習指導要領で始まる「総合的な探究の時間」や「理数探究」におけるSTEAM教育の位置付けを検討した。委員らは、STEAM教育を探究などの学習で取り入れる方向性でおおむね一致した>ということです。
★これは、新たなに「探究」に「STEAM教育」が接ぎ木されたということを示唆しているのでしょうか?それとも「探究」=「STEAM教育」として、2つを1つにショートカットして効率を上げたとみるべきでしょうか。あるいは「探究」と「STEAM教育」を統合するということでしょうか?これも効率を上げることになりそうですが、「統合」という作業は少々厄介です。
★同記事の中でWG委員の奈須正裕・上智大学教授が新学習指導要領の教育課程におけるSTEAM教育の位置付けについてこう語っています。<高校の新学習指導要領の探究的な学びとSTEAM教育の親和性の高さを指摘した上で「STEAM教育は自由度の高いカリキュラムでやる必要がある。また、孤立的に展開するのではなく、カリキュラムの核としてSTEAM教育を位置付け、各教科・科目の学びをつなげていくことが重要だ」と。
★どうやら、「探究」と「STEAM」は親和性があるということで、コインの両面ということにしようということでしょうか。しかし、これも委員の一人のアイデアですから、現場では柔軟に考えてくださいということでしょう。STEAMのSであるサイエンスを、自然科学だけを意味するのか社会科学も意味するのか、実ははっきりしていません。どう考えるかによって微妙に位置は変わります。
★また、同記事の中では、STEAMのAについて、<Science、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字を取ったSTEMに、ArtsまたはLiberal ArtsのAを加えたSTEAM教育>と紹介している箇所があります。Aをアートとるかリベラルアーツととるかによって、またSTEAMの位置づけも変わります。
★どの捉え方が正解かはありませんから、各学校で捉え返せばよいだけで、その捉え方によってその学校のカリキュラムの独自性がでるでしょう。
★ただ、奈須教授はSTEAM教育をカリキュラムの核と捉えているようです。そしてなおかつ探究と親和性があると、となると、これはIBのディプロマのコアに近いイメージになります。
★すると、Aは自ずとリベラルアーツの様相になってきます。すると哲学的問いがそこに必要だということになっていくでしょう。まさにTOK的発想を期待しているのでしょう。
★それでなければ、奈須教授の語る「各教科・科目の学びをつないでいく」ということはできないでしょう。もちろん、各授業は座学ではなくてPBL型になるのは大前提です。
★さて、それはどうやってできるのでしょうか。各教科でもTOKのような発想の問いを生徒と考えながら授業を展開していくことは可能なのでしょうか?しかし、そうなると、今からすべての教師がTOKを学ぶということでしょうか?
(工学院の高校1年生のサイエンスコースの生徒が隣接地工学院大学八王子キャンパスを訪問し、大学で学ぶテーマで行われる実験講座に参加。新4号館の愛称は「あどらぼ:Advanced EngineeringとLaboratory」で、ワクワクするような実験室が設置されています。さて、そこで、実験の仕方を教えてもらい、実験を行うわけではありません。目的の分析ができる実験はいかにしたら可能かから考えます。この問いは極めて重要です。現在、理数探究の教科書のサンプルが執筆されていますが、自分たちならどんな条件を考えて実験をするのかからスタートするようにしようということらしいです。とはいえ、多様な実験のリスクマネジメントについて議論され、実際にはなかなかの難局ではあるということですが、それだけ、重要な問いということでしょう。)
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