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2019年10月 7日 (月)

聖学院セミナー アイウイングからプレゼンシングへの変容

★昨日6日(日)、聖学院で「第1回未来を創る教師セミナー」が開催されました。秋の学びを楽しみに多くの方が参加していました。同校が行っている思考力セミナーや授業で活用するレゴを素材に「感情・認知・資質能力・創造性」が授業の中でいかに内的連関しながらダイナミックに展開し、生徒も教師も“Hard Fun”のフロー状態にディープにダイブし、そこから水上にでてきたときに、まるで違う価値観を抱き意味付けをしている自分にいかに気づくのか、参加者と共感を深めるセミナーとなりました。

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★参加者は、教師、教育関係者、ジャーナリスト、保護者で、<新しい学びの経験>に高い関心をお持ちの方々でした。しかし、実践しているかとなるとまだこれからという方も多かったので、ファシリテーターの内田先生や児浦先生は、ある程度慎重に前提作りをしながら本番に入っていきました。

★というのも、聖学院や工学院で研修をやるときは、大前提が、大学合格実績を第一義に目標とするというのではなく、生徒1人ひとりの才能が生まれる学びの環境をいかに整えるか、生徒1人ひとりが自らの存在意義をいかに創り出すのかが理念となっているので、生徒や教師が自分の価値のフィルターの多様性を豊かにするディープダイビングしていく学びに抵抗はありません。

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★したがって、プログラムデザインの背景にあるU理論的シークエンスが描きやすいわけです。今回もそれぞれのワークで行われているアクティビティがこのUの弧を描いくようになっていたことが、プログラム終了後内田先生によって解題されました。

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★解題の前に、内田先生のプログラムのスクライビングとアクティビティ分析がされました。

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★聖学院のZ世代の生徒も参加し、驚きの活躍をしていました。

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★スクライビングやアクティビティ分析は、仲間と自分たちの学びの感情・認知・資質能力・創造性をモニタリングする対話で、同じ経験をしてもいろいろな経験があるという共感がうまれるわけですから、分析はハードな部分もありますが、基本気づきが生まれることはUのカーブを描いて解放されて楽しさで溢れるわけです。

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★スクライビングとアクティビティ分析のファシリテーターを行っていた田中歩先生(工学院教務主任)と本橋真紀子先生(聖学院数学科教諭)が途中で笑顔になりましたが、実はこれには意味があったのです。今回、参加者の日常の環境は、21世紀型教育機構の環境とは違います。競争社会の中で果敢に戦っている方ですから、いきなりU理論ベースの研修をやっても、Uのカーブは描けない場合が多いのです。

★それゆえ、内田先生と児浦先生は、用意周到に90分のうち40分準備の時間に費やしたわけです。

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★つまり、20世紀型教育をうけてきた私たちは、つねに競争の中で勝っても負けても傷ついてきました。そのような社会のことを人を幸せにしないシステムとまで揶揄されてきたものです。どうしてそうなのかというと、逆Uカーブを描いてきたのです。

★イカロスの翼で、自らの存在の響きがない人から与えられた目標に向かうことが正義であるという幻想を抱きながら、ひたすら上に向かって飛びます。到達してもしなくても、そこから失速していくカーブを描くのが20世紀型教育の正しさだったのです。

★ですから、鋭くも田中歩先生は、逆Uを結構払しょくできないまま進んでいるということに気づきました。ですから、そこを失速しないで、どうやってプレゼンシングに変容できるかが重要なファシリテーションになるなあと私たちファシリテーターとささやきながらワークショップを軌道修正していきました。

★ワークショップのファシリテーターや司会者は、あらかじめ決められたスケジュールで進む機械的動きはしません。常に刹那に話し合います。別の空間で少し長めの時間をとるときもありますが、今回は互いにささやきながら進んでいきました。

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★何がそうさせたのか、ロジカルには実はなかなか解明できません。しかし、ロゴスとアイコンとシークエンスを組み合わせることによって、多様な視点が生まれ、その周りに渦が生まれます。この渦の中心に聖学院の生徒がいましたから、Z世代という、前世代とは全く違う価値観に自分たちのものの見方が拡大されていくのを感じるまさにプレゼンシングに転換したことを田中先生と本橋先生は気づいて笑みが漏れたのです。

★ファシリテーターは、そこにいる参加者の内的変化の鏡ですから、その表情には自らハラハラドキドキそして喜びも悲しみも反映されます。今回は、Uカーブと逆Uカーブという二次関数曲線同士が、融合して3次関数に変容していました。アイウイング(イカロスの翼の略)からプレゼンシングへの転換というのは、新鮮でした。

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★そのうえで、聖学院の生徒がこの夏カンボジアで自己変容プログラムの体験についてプレゼンしました。Very50と協働して行った貴重な体験だったようです。このプロジェクト体験は授業をはるかに超えた、もしかしたら大学でもなかなか体験できない優れものです。

★時間が限られていたので、細かい話までは聞けませんでしたが、才能が爆発して、1人ひとりが未来を今自分の手にしている力がみなぎっていたことは参加者と共有・共感できていました。

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★今回のセミナーの流れを簡潔にまとめたのは、株式会社カンザキメソッドの代表神崎氏です。授業というPBLとカンボジアプログラムのような教育活動のPBLが有機的につながる実感を共有できたと思います。あるいは化学反応を起こすつながりかもしれません。学校という空間が、才能あふれる学びの場となることこそ<新しい学びの経験>を生み出す源泉ですと。

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★そして、参加者の1人工学院の後藤先生から、今月27日(日)工学院で2つのSTEAMをつなぐフォーラムを行うことのPRもしっかりありました。10月を学びの色で染める21世紀型教育機構の先生方の活躍が続きます。そして、当日は、聖学院同様工学院のZ世代もファシリテーターとして活躍します。

 

 

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