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2019年10月15日 (火)

必読!「令和は早慶逆転!? 大学激変の時代、そのワケは?<週刊朝日>」世界の変わり目がわかる

10月14日の「令和は早慶逆転!? 大学激変の時代、そのワケは?<週刊朝日>」の記事を読むと、世界の変わり目がわかります。世界の変化は複雑で、そう簡単に鳥瞰できないし、読み切れませんが、そういうときはある限られた領域を切り取ってみてみると、そこに変化が集約されている場合があります。

Waseda

★同記事が扱っている「大学激変の時代」はまさにそのケースにあてはまるでしょう。というのも、同記事にはこうあります。

「大学激変の時代に入った。少子化が進む中で、各大学では学生獲得に向けた改革が進む。主に偏差値を基準にした大学の序列にも変化が起きている。今後は偏差値が機能しなくなり、大学の特色から受験先を選ぶ時代もやってくると言われる。」

★しかしながら、「令和の大学序列の新潮流を緊急リポートする」と続きます。なんだやっぱり「偏差値序列」なのかと一瞬思うかもしれません。ところがそうではないのです。「令和の大学序列」とは言っていますが、「令和の大学偏差値序列」とは言っていないのです。編集者の表現選択の妙ですが、これは、いきなり大学の特色からのみ大学を選ぶ時代はまだやってきていないが、偏差値だけで選ぶ時代でもないという過渡期であることを含意しているのでしょう。

★というのも、1979年に大学共通一次試験が始まり、1990年に大学入試センターになるとともに、実は「MARCH」という偏差値序列のくくりができたのです(ある受験情報誌の編集者が造ったと言われています)が、今回は混迷を極めているけれど、大学入学共通テストに変更されることによって、大学入試改革の理念は、偏差値序列を超えて、コンピテンシーや創造的思考力をみようとしている「雰囲気」がでています。

★しかも、その「雰囲気」は、9.11以降のテロの日常化、リーマンショック以降世界が気づいたグローバル経済の一蓮托生問題、そして3.11に象徴される東日本大震災以降から急激に起こる異常気象の日常化、グローバル政治の分断化を乗り越えるサブカルチャーのグローバル化などによって、世界の政治経済は、着実に大きく変わろうとしている。その変化の変わり目が、今回の大学入試改革の「雰囲気」に反映しているのです。

★したがって、同記事で取り扱われている、「SMART」「GCH」(中身については、詳しくは同記事をご覧ください)という新たなククリは、「GMARCH]のときのように、単純に偏差値序列を基準にカテゴライズされているわけではありません。

★同記事には、記者が取材した一人として、中学受験情報誌「進学レーダー」編集長の井上修氏が登場してきていますが、このククリを創ったのは井上氏でしょう。また氏でなければできません。

★先ほども言ったように、偏差値だけではカテゴライズできないからです。このククリには、もちろん偏差値も含まれているでしょうが、井上氏のように中学受験から大学受験まで各学校、大学にきちんと足を運び取材して、それこそそれぞれの「特色」を把握している教育ジャーナリストはいないからです。さらにサブカルチャーやグローバル政治経済まで幅広い情報リサーチや文献リサーチ量は右に出る人がいないでしょう。

★そういう井上氏だからこそ、世界の変わり目を埋め込んだ「SMART」「GCH」をつくることができたのでしょう。

★大学の特色として、「グローバル関連の学部設置に力を入れている」「グローバル経済の学部に力を入れている」「海外大学との提携に力をいれている」「リベラル・アーツに力を入れている」などのアプローチで、彩られていますが、中でも注目は「リベラル・アーツ」かもしれません。

★井上氏は、このリベラル・アーツで注目している大学8つを、「リベラル8」と呼んでいます。国際教養大、東京外国語大、国際基督教大の3単科大学に、早稲田大国際教養、慶應義塾大総合政策・環境情報、法政大グローバル教養、明治大国際日本の5学部だそうです。実は、世界がどう変わろうと、AI社会にシフトしようと、新しい学問が生まれようと、その根っこうには、リベラル・アーツがあるかどうかは、重要だと言われています。

★ということは、この「リベラ8」こそ、中高のキャリア教育では見逃せない大学・学部です。そういう見方で、キャリア・デザインを構築している中高は、まだ少ないでしょう。しかし、いずれ気づいたとき、、ここから本格的に大学激変の時代はやってくるのでしょう。

★それに、専門職大学が今のところ3校しか開校していませんが、今後増えるわけです。グローバル経済のマーケットが、ビジネス×アート×学問×テクノロジーを実装した人材を欲しているからですが、従来の大学の中には、この動きについてこれなくなるところもでてくるでしょう。

★大学入試改革の混迷の背景で、着実に大学再編成の変化が起こっています。世界の動きの潮流に同期しているこの変化はもはや止めることはできません。井上氏のような教育ジャーナリストの目を追跡していくことによって、その潮流のパースペクティブを見定め、飲み込まれるのを回避することができるのです。

 

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