PBLの世界(41)武蔵野大学中学校・高等学校の新設「PBLインターナショナル」の意義。
★武蔵野大学中学・高等学校は、来春から高校に「PBLインターナショナルコース」を新設します。ここでいうPBLは“Project based Learning”の略。経産省の主催する「未来の教室」のキーワードですね。インターナショナルコースといえば、すぐに英語力育成というイメージが浮かびますが、PBLを冠にいだくことによって、たんなる英語育成コースではないことが了解できます。
★いよいよ日野田校長も改革2年目にして<PBL>を前面に出してきたということは、意義深いものがあります。まず改革1年目から、外部ネットワークとつながり多様なプロジェクトを発信してきました。中でもMITが行っている「アントレプレナーシップ研修」は、有名です。そのプログラムが<PBL>で展開されているのは、もちろんです。
★改革1年目は、おそらく合理主義者であり創造的破壊者としてイノベーターである日野田先生は、何を行うのか社会的インパクトを生みだすために、このような外部ネットワークをつかったのでしょう。学内外でなるほどという輪が広まったに違いありません。
★そして、今度は<PBL>の内製化に着手したということでしょう。主体的とか対話的とか、自律/自立したとか、社会貢献的とか、社会協調的というような能力を生かすには、座学の授業では十分ではありません。やはり<PBL>は、最適の学びの環境なのです。
★しかし、<PBL>型の授業やプログラムを今までの教師が全員できるようになるかといえば、すぐにはできないということは、多くの学校のチャレンジで了解済みでもあります。
★全員<PBL>を行えるようにするには、研修を定期的に行う必要があるし、授業リサーチが小まめに行われる必要もあります。それよりも何よりも、<PBL>を好む進歩主義派と<座学>を好む保守派との葛藤の調整が、合理主義者日野田校長としてはコストや労力がかかって、改革が遅れると判断した可能性があります。
★水都国際や三田国際のように、ほぼゼロから学校を組み立てなおす環境にあれば、教師を採用する段階で、英語能力、PBL能力、STEAM能力か哲学能力などがあることを条件とすれば、教師全員が<PBL>を行うことができるでしょう。
★しかし、既存組織を変容させながら改革をしていく場合は、そうはいきません。そこで、「PBLインターナショナルコース」それ自体、プロジェクトとして発信したのだと思います。定員60名ですから、小さく始めて、大きく育てるというセオリー通りの展開でしょう。
★では、ほかのコースは<PBL>はやらないのかというと、そうではありません。ただ、毎回PBL型授業を行うことはないという程度でしょう。それに、まだまだ保護者の方も大学進学準備教育の一環として<座学>が選ばれるのならば、特に問題視しないというのが普通でしょう。
★東大教授のあの上野千鶴子さんのように17歳の時から座学中心の高校の授業を批判し、2002年には「サヨナラ、学校化社会(太郎次郎社)」(ちくま文庫で2008年に再発刊)で、<PBL>を思わせるアクティブな授業実践の有効性を説くような進取の気性に富んだ保護者が、たくさんいるとは統計的に思えません。
★それゆえ、60名からプロジェクトを開始しようということなのでしょう。
★しかし、イノベーター日野田校長がそこまでして戦略的に行わなければならないほどの<PBL>なのです。世界から日本を見通している日野田校長も避けて通れない<新しい学びの経験>のコアは<PBL>なのでしょう。あの苅谷剛彦教授もアクティブラーニングやPBLの有効性を論じながらも、日本の教育ではなかなか難しいと語っていますが、だからこそ価値があるのです。それゆえ、多くの私立学校は<PBL>に挑戦するのです。学校が挑戦せずして、生徒にチェンジメーカーを求めても、それでは、モチベーションは上がらないからです。<PBL>のすてきなところは、教師と生徒が共に新しい学びを創っていけることなのです。
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