PBLの世界(37)世界の変化は迅速に拡散してウネッている 聖学院で感じたこと ②
★今回総合司会は、株式会社カンザキメソッド代表神崎氏でした。神崎氏は、「志望理由書の書き方」「AO・推薦入試の取り組み方」を中心に私立公立問わず、多くの高校でアドバイザーをしています。自身の塾も経営しています。
★21世紀型教育機構が神崎氏と出遭うのはおそらく必然でした。というのも、氏は、従来型の大学入試問題が「客観主義」で生徒の主観を排除する受験勉強であることに、真正面から挑んでいます。生徒自身がみずからの存在意義を考え抜き、自分が何をするのかパースペクティブを生み出す学びによって大学を目指す方法論に挑戦しているからです。
★この方法論は、「主観―客観」図式の脱構築への挑戦です。ただ自分の想いを述べるだけでは、「主観主義」なだけで、「主観―客観」図式は乗り越えられません。
★しかしながら、この挑戦は、一般入試だけではなく、AO入試や推薦入試もまだまだ「主観―客観」図式で捉えられているために、常に葛藤を抱えます。一般入試は「客観主義」だから、客観的な事実や知識を憶えればよい、AO入試や推薦入試は「主観主義」でいけばよく、何を言っても入りやすいところを受験するからよいのだとなりがちだからです。
★神崎氏は、そうではなく、多様な主観を認めながらも、その主観が独りよがりではなく、共感共鳴できるような主観=intersubjectをどうやって生徒が生み出していくのか。主観から相互主観への成長を生徒と格闘しているわけです。格闘とはオーバーのように聞こえるかもしれませんが、多くの生徒が「主観―客観」図式のフィルターをなかなか壊せないでいるからです。気づきを待ちたいでも、時間がない。。。
★今回聖学院の4人の生徒は、みずからZ世代であることの意味を考えています。したがって、ものの見方・考え方が当然「主観―客観」図式から解放されているのは当然だと思っているでしょう。彼らには「権威と服従」という図式もありません。英語とICTを駆使して、どこにでも行けるし、いろいろなものを創造できます。児浦先生同様ネットワークが充満していますから、なにかやるときに協働することは当然です。
★神崎氏は、だから、この集まりが、いつもの自分の葛藤の空間とは違うので、ときどき戸惑うときもあるでしょう。21世紀型教育機構のキャリアデザインの手法自体多様で、古きも新しも包摂してしまているからです。何せ方法多元論ですから。
★今回バックヤードで私と役割を果たしていたGLICC代表の鈴木氏も全く違うキャリデザインの志向者です。彼の周りには帰国生や留学生しかいません。大学進学準備教育の射程が日本ではなく世界なのです。ですから、実に多様な世界から日本を見つめているわけです。
★かくして、近代のものの見方である「主観―客観」図式から解放された、もちろんその解放のされ方もまた多様ですが、仲間が集まっているのが21世紀型教育研究センターです。新しい哲学のあるいは実存のフィルターを身に着けているひとの集まりということです。
★こういう世界が生まれてきたということは、やはり世界は変わりつつあるのでしょう。
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