PBLの世界(42)工学院フォーラムで、クリティカル&クリエイティブシンキングを生み出すSTEAM発想を共に考えましょう。
★10月27日(日)、工学院で「第1回21世紀型STEAM教育フォーラム」が開催されます。本格的STEAM体験ワークショップと教科授業の中でのSTEAM発想の体験を通して、STEAM教育の大切な思考であるクリティカル&クリエイティブシンキングをいかに生成するか共に考えましょう。おそらく、この過程はIBのTOK的な発想も含んでしまうでしょう。IBだけがTOK的発想を活用できるわけではないということが了解できることは大切です。それはなぜか?一握りのエスタブリッシュな層の知を共有できることが未来を拓く大きなエネルギーになることは想像に難くないでしょう。
★今、世の中は災害後の訴訟の問題、組織の労働問題、学校のいじめの問題など、訴える側と訴えられる側の両者の葛藤があります。その事件自体は、たいへん凄惨で悲しく、胸がしめつけられます。しかし、その両方の気持ちを考えることがクリティカルシンキングだと、訴えられる側の気持ちもわかってくれよとときどき言われます。
★そもそも、物事は両義性があり、多義性が横たわっています。そこを理解するのは、知識と論理的思考です。葛藤の事実をできるだけ多角的に知ることは、クリティカルシンキングまではいきません。あくまで、ロジカルです。葛藤は感情がぶつかります。怒りがぶつかります。ですから、民主国家は、そこは法に基づいて、調停者である裁判に委ねられます。示談になるか訴訟になるかそれは当事者と調停者とのコミュニケーションと解決しない時には、第三者である調停者によって裁定がくだされます。それをジャスティスといいます。法的正義ですね。個人的道徳感情正義を前面に出してくることは、非論理的思考です。
★しかしながら、その法が間違っていたらどうなるでしょう。その法が改正されたり廃棄されない限り、論理的に悪法も法なのです。
★そこで、それでは困るので、クリティカルシンキングの発動です。その法を成立させる制度設計、そのような葛藤がおきる組織的構造や社会的構造、環境の悪循環のシステムなど葛藤の深層にある多様な構造を探り、最終的に根源的な問題構造を見出します。それらの制度や構造は正しいはずだったのに、そうではない何かがあるという仮説をたてながら検証していく思考過程がクリティカルシンキングです。
★自然科学の場合は、日常の現象を論理的に追い詰めていくと矛盾にぶつかります。そこから、その矛盾を成立させる条件を探りはじめます。やはりこの矛盾を成立させるシステム的な根源的な問題に行き着くわけですが、その思考過程がクリティカルシンキングです。
★そこまで行ったとき、U理論なんかではプレゼンシングと言われていますが、その根源的問題構造や根源的問題をいかに解決するかとなる段になって、クリエイティブシンキングが発動します。
★このような意味でのクリティカルシンキングやクリエイティブシンキングは、今までの日本の教育では行われてきませんでした。知識の誤謬や論理の正誤問題をクリティカルシンキングだと言われたりするのですが、それは論理的思考の発動ということでしょう。
★さて、それでは、このクリティカルシンキングやクリエイティブシンキングをいかに生徒が開花するか?そのプログラムはエスタブリッシュな学校やIBのようなアッパー層向けの教育にはあります。
★しかし、生徒1人ひとりすべてが共有するには、難しすぎます。そこで、ICTの登場です。STEAM発想によって、その難しさを無化します。あるいはデフォルトモードとします。つまり、IBのTOKのようなプログラムをスルーしても、その力が身に着くというのが、21世紀型教育です。すべての子どもが才能者であるというビジョン目指して、その学びの仕組みを考えましょう。
★さて、その奥義は、世界制作スキル(World Production Skills)と思考スキル(Thinking Skills)の関係を生徒の中に眠る暗黙知から形式知化するICTによる技術です。特に、世界制作スキルはおそらくなんだそんなことかという話です。具体的には、このスキルを生徒自ら引き出すワークショップは、順天で開催されるグローバルウィークの「未来を創る学校」という講座でチャレンジします。フォーラムでも、そこに少し触れられればと思っています。
★思考コードのC3について語る何人かの執筆者がいますが、ここまできちんと理解して活用してくれるとよいのですが、そこはまだ直感の段階です。現状はそれでよいと思いますが、だんだん知識誤謬や論理の正誤を考える問題をC軸問題だとすり替えるようなことが起こっています。どこかで理論的に表現しなければならない時期が来たようです。
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