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2019年9月17日 (火)

2020年からの中学入試(15)この時期だから「読解力」を統一合判でアップデートしよう!

★子供たちの「読解力」が不足しているという幻想が世に出回っています。きちんと「読解力」を身に着ける学びの体験をしてもいないのに、そういわれる子供たちは、なんだかふんだりけったりですね。そうはいっても、次のような問題をうまく解けない子供がいるのも事実ですから、どうしたらこの手の読解ができるようになるか考えてみましょう。今年の9月の小学校6年の「統一合判」国語の2番の問7の記述式問題です。

<線⑤「たとえばあなたが雪の積もった原野を旅していて、その雪面に対してなんらかの表現をこころみようとした時、どんな言葉が出てくるでしょうか。思いつくところで『白い』『冷たそう』『かたそう』『まぶしい』といったところではないでしょうか」とありますが、このような言葉しか思いつかないのはなぜですか。本文中の「イヌイット」という言葉を用いて四十字以上六十字以内で答えなさい。>

★首都圏模試センターのサイトの記事<9/8第3回小6統一合判『偏差値5上げる!この1問』>で取り上げられていた問題です。同センターによると、この問題の正答率が 37.3%、無答率が 32.6%、誤答率は 16%でした。おもしろいのは、<減点された多くの受験生は「イヌイットは、雪質や気温や風によって微妙に変わる雪原の見え方や区別がつくので、言葉が生まれるから」と、イヌイット側からの立場 で答えを記述していました>ということのようです。

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★この箇所は、文章の中に書かれてありますが、問いは私たちはそうではないのはなぜかですから、この箇所と比較して理由を推理する必要があったのですね。

★思考コードB2レベルの問いで、思考スキルは「比較」「理由」「推理」とちょっと複雑です。ですが、「推理」するための思考スキルの「理由」の書かれている場所を見つけるだけでも部分点がもらえるのであるから、無答はもったいないという指摘がされていました。

★その通りです。しかし、得点技術としてこの問題を取り扱うだけではもったいないですね。文章を読む際に、文章のどこに何が書いてあるのか探すことが読解力かというと、実はそうではないのです。

★文章から、自分はどう推理するのか、そしてその推理をサポートするエビデンス(証拠)はどこにあるのかという読み方を授業でトレーニングすることが要ですね。自分の主観をなくして、文章に書いてある事実だけをしっかり探しなさいでは、読む意欲がわきません。この姿勢では、筑駒の詩の問題は思考できませんね。

★自分だったら、どう考えるかのかをまず対話によって語り合い、それは文章のどこにエビデンスがあるのか、そして何より「ないものがあるかも?」というクリティカルシンキングを動員するのです。

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★この文章では、雪面に関してはイヌイットの方がわたしたちよりも、表現は豊かですが、わたしたちだって、ぶりなどの出世魚に関してはその成長に合わせて多様な表現を有しています。そんな事例をあげながら、対話していけば、おのずと、この文章の話は、あくまで一つのケースであり、表現と文化と経験と言葉の関係辺りを一般化あるいは統合ができます。こうなると、思考コードはC3の次元に突入します。思考スキルは「置換・転換」を活用します。

★こういう事例の分析から一般化へジャンプするアイデアを語り合うのは、一度土曜日の教養総合で麻布の生徒とワークショップをやったことがありますが、麻布生は、こういう創造的思考の瞬発力は本当にあるなと感じ入りました。

★中学入試で、麻布の問題はこういうトレーニングを要するものを多数出題しているので、当然そうなるのでしょうが、毎回統一合判で出題される問題にもこの手の問題があるので、解法を理解するというより、推理とそのサポート文章を見つけるトレーニングをするという感覚で取り組んでみてはいかがでしょうか。

★そうそう、この問いは、記述式問題であるだけではなく「思考型問題」でもあります。「新入試」にもつながる発想がここにはあります。ただ、「新入試」は、先述したように「C3」にジャンプするのですが。

 

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