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2019年9月21日 (土)

2020年からの中学入試(19)聖学院インパクト②発展する思考力セミナー 200字記述ができるようになる秘密

★聖学院は学校説明会と同時開催で「思考力セミナー」を実施しました。「思考力入試」の対策講座です。インプットばかりでなくアウトプットも大事であるという流れは昨今の学びではすっかりお馴染みになりました。それゆえ、iPadで動画を作成したり、ダンスで表現したり、絵で表現したり、データで表現したりと表現活動は多様です。

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★聖学院の「思考力入試」も多様な表現をします。特にレゴで自分の想いやアイデアをカタチにする表現は男子受験生には超人気です。みな鼻を膨らませてすぐに取り組みます。その没頭する姿は、フロー状態といって、学びの大切な条件です。そしてクリエイティビティを生み出す内面的な泉となります。

Tinkering

★この手法は、米国ではオバマ政権以来メ-カーズスペースが各学校で作られ、<learning by making>という学びが奨励されたとき、明確な輪郭を描いて登場しました。アイデアを図面に描いてから創るだけではなく、つまり考えてから創るだけではなく、まず指を動かしながら創っていくことによって思考が同時に形になっていくという<ティンカリング>という手法が広がっています。

★小6の受験生の思考力セミナーを担当した児浦先生は、まず生徒に「指は第二の脳だよ。脳みそで考えてから指を動かすのではなくて、まず指を動かしながら考えていくんだよ」とSecond Brainを合言葉にしています。

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★児浦先生は、多くの塾に招かれ、出張「思考力セミナー」も行っています。それゆえ、ファンも多く、彼らも再度参加しているため、「指は第二の脳だ」ということはすでに知っています。ですから、「さあやるよ」と児浦先生が号令をかけるや「ウーン」とならずに、指に集中したフロー状態が一気にフューチャーセンター全体に広がります。

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★普段使わないそんな第二の脳をウォームアップしてから、しかし今度は大量のデータが配布されます。グローバル関連データ、少子高齢化データ、技術革新データなどSDGs関連のデータと言っていいでしょう。おもしろいのは、その客観的なデータをみて、生徒自身が何か痛みを感じそこをなんとかしようと、自分は何を学ぶのか自らをリフレクションするアクティビティを行うのです。

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★Growth Mindsetが生徒それぞれの内面でカチッと音を立てるのです。そこから一気に「未来の学校」をレゴで表現していきます。結局、この思考力セミナーは、自分は何者で、その自分を形作るためにどんな学びを行うのか、しかも仲間に表現しながら自己修正して、他者との関係性に気づくEQやU理論が背景にあります。このEQやU理論はかなり難しいので、いずれお話しますが、それがちゃんとプログラムに盛り込まれているところが、他の追随を許さぬ思考力入試になっているのですね。

★もちろんデータ分析やそこから感じたものを論理的に統合するという認知的なプロセスも必要です。なんといっても、最後にセミナーを通して気づいたことや自分が表現したかったことを200字以内で書くというファイナルアクティビティがあります。しかし、それは認知的能力と非認知的能力(EQ)の融合がなされているからこそ、今まで書いたことがない生徒も自然と挑戦でき、こぼれるように鉛筆が走るのです。そして、自分も書けるのだと鼻を膨らますのです。

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聖学院の肝は、多様な表現はするけれど、やはり最後はちゃんと言語化するということです。これが第一義的な目的ではありませんが、Second Brainから学ぶ発想がない多くの学校では、かなり賢いスピーチをしたり発想力があるのに、言語化で悩むという生徒が多く出てしまいます。まして、大学入試で200字以上の記述がないところがほとんどですから、書く行為のトレーニングが放置されたまま大学に合格していく生徒もたくさんいます。

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(本橋先生は、英語と数学の両方の世界を結びつける純粋数学的思考をテーマにしたM型思考力入試を主軸に、児浦先生方と内田先生と他の2つの思考力入試についても協働しています。)

★今ではありえないはずなのですが、理系だから論述ができなくてもよいという先入観をもっている生徒もまだまだたくさんいます。まして、アートの世界は関係ないだろうと。しかし、グローバルなアートの世界では、アート化と言語化のシンクロは必須です。一人で黙々と絵画を描いていても、生きていけないのですね。アーティストはアイデアを企画するイベントインキュベーター的な役割も持っています。売れっ子になれば、ギャラリーというスポンサーがつきますから、行わなくなりますが、そこに行くまでは、何でもやるのです。

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(今回の小6の思考力セミナーを児浦先生といっしょに行った社会科の伊藤航大先生もまたすばらしいPBL授業デザイナーです。)

★しかし、それはアーティストに限らず、すべての仕事や研究に関しても同じです。思考力セミナーに参加する生徒の未来が頼もしく大いに期待しないではいられません。

 

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