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2019年9月20日 (金)

対話の世界(3)聖パウロ PBLの質の転換点そしてトランジション

★聖パウロ学園の先生方との<対話>は、いつも生徒の成長の様子とぴったり対応しています。成長といっても、高校ですから、同時にキャリアデザインとも重なります。すなわち、生徒の成長は生徒自身のキャリアデザインと呼応しています。ですから、心理学的な発達段階だけではなく、高校段階ならではの人間関係や大学入試の制度上の問題や社会の変化に対応できるキャリアデザインなど複合的な観点で<対話>することになります。

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★たとえば、国語科の高橋先生と、聖パウロ学園の古典の位置づけや意味について<対話>したとき、高橋先生は、単純にカリキュラムの意味について話すわけではなかったのです。古典の話題は、一般的には、結局大学入試向けの授業になってしまってそれ以上のことができないとなるところですが、高橋先生は、聖パウロ学園のキャリアデザインからいって、大学入試向けだけにガチガチにやる必要はないのですと。

★もちろん、文法や古語は学びますが、はやめに古典教養的な世界にはいっていけますということです。源氏物語から「もののあはれ」の世界観をとりだし、枕草子から「おかし」の世界観をとりだしたりすつというのです。そんな古典の授業受けたことがなかったので、こちらも古典というのが興味深い世界ではないかという想いが生まれてきました。

★こういう古典の世界の切り取りは、本居宣長以降ではないかと思っていますと、ですから本居の視点を生徒と共有したり、九鬼周造の「いきの構造」の視点を活用してみたいということでした。平安期の文学も、時代によって見方は違うという感覚は興味深く思いました。授業でも、源氏物語と枕草子の表現の比較を、生徒のいまの感覚で考えていくシーンがありました。

★生徒はSNSの種類で分けていました。枕草子はインスタグラムで、源氏物語はツイッターだという議論は、なるほどなあ、これだと古典に対するアプローチが身近になると確信しました。

★高橋先生が語るには、聖パウロ学園の生徒は文系に進む場合は、古典教養と受験対策の両方を行っていきますが、グローバルコースの生徒と理系の生徒は、3年間で教養としての古典を学ぶことを中心に授業を展開していけばよいのですと。学園全体で、文系理系にかかわらず、グローバルな世界で生きて行くということは共有されていますから、日本文化への深い自己理解が必要であることは、実は生徒自身が海外研修や修学旅行で身に染みてわかっているというのです。そのための古典教養は、生徒も受け入れやすいというのです。

★それに竹取物語や今昔物語の物語の構造は、文化人類学的な切り口からすれば、学びの宝庫ですから、どうやって授業を開発するか考えるとワクワクしますということでした。

★そのあと、高橋先生もメンバーである研修部の創発ミーティングに参加したのですが、なぜ多角的な視点で高橋先生が古典をとらえているのか了解できました。

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★英語の大久保先生、数学の松本先生、国語の小島先生と高橋先生が、PBL授業への挑戦を振り返り、後期の展開のビジョンの確認をしていました。

★自身の教科における、3年間の中で、どの時点でPBLの質が転換するのか、そのフローチャートを描き、さらにそれにトランジッションを追加していました。

★転換点はそれぞれ教科によって違います。しかし、シフトの方向性は似ている部分があることが改めて確認されていました。おもしろかったのは、このシフトが、一般入試とAO入試などそれぞれにどのように対応できるのかがきめ細かやかにデザインされ、かつPBL型の授業が大学や社会にでたときにどのような効用があるのかトランジッション的視点で議論されていました。

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★進路実績だけではなく、その先にも役立つという抽象的な話は多くの学校で聞くことはできますが、具体的にここまで明快に<対話>できることは驚きでした。なぜそういう話ができるかというと、実はOB・OGとの継続的な<対話>によって豊かな情報を蓄積してきたこととトランジッションに関する見識をもっていたからです。

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