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2019年9月 8日 (日)

2020年からの中学入試(04)晃華学園も湘南白百合も香蘭も動く。

★首都圏模試センター取締役・教育情報部長北一成氏は、読売新聞で連載しています。ここ最近は、キリスト教系学校と仏教系学校の新たな動きについて論考していて、興味深いので後を追ってみましょう。前回は、仏教系学校の論考を追跡しました。今回はキリスト教系学校の論考「動き出したミッション・スクール…北一成<5> 2019/07/25 09:30」を見てみましょう。

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(聖ドミニコ学園は、今春からインターナショナルコースを新設。中学1年から改革に乗り出した。C1英語、PBL、ICT、STEAM教育×宗教によるリベラルアーツの現代化など<新しい学びの経験>を生みだしています。)

★北氏は、ミッションスクールの動きについて次のように述べています。

<宗教系の学校は、変わらぬ理念や校風、行動規範を大切にしている伝統校が多く、入試変更が当たり前になっているこの三十数年で見ると、中学入試の世界では、どちらかというと保守的で、あまり入試も「動かさない」学校が多かったように思います。しかし、この1、2年はそうした従来の印象を変えるかのように、キリスト教系の私立中と仏教系の私立中が一斉に、多様な入試改革に踏み切っているのです。>

★すなわち、IT革命以降、受験生・保護者から宗教系は少し距離を開けられるようになります。宗教系は個人の信仰と共同体の愛を大切にしていますが、IT革命とグローバリゼーションの流れが、個人化を推進し、共同体も多様性と越境が重視され、一つの理念の中の共同体というのは、特に1989年ベルリン壁崩壊後、冷戦終焉してからイデオロギーという大きな物語は消滅し、個人化という流れが大きくなりました。

★世界同時的に宗教離れは止められない状況です。

★ところが、宗教系学校は、もともと共同体のみならず個人の自己陶冶も得意なのです。共同体か個人かという選択肢ではなく、共同体/個人か個人/共同体かという話なのです。結局はどちらも両方を大事にしているのですが、前面に出すのを共同体にするのか個人にするのか、背景に置くのを個人にするのか共同体にするのかということなのです。

★仏教系はいち早く個人を前面に、共同体を背景にという「個人/共同体」を表現しました。新タイプ入試も<算数一科入試>を実施するのは、仏教系のが多いのは、<数学>というのは個人の才能を大いに引き出し発揮する科目のイメージがあるからですね。

★キリスト教系は、ここの戦略はまだはっきりしていませんが、個人がタラントを豊かにすることを大切にするという発想や熱いか冷たいかどちらかにしなさい、生ぬるいと吐き出しますよという1人ひとりの学びの姿勢を大切にする聖書の文言に勇気づけられ、個人の才能を豊かにするプログラムに力を注ぐ<新しい学びの経験>を新たに生み出す流れが生まれました。

★世界で通用するハイレベルな英語力、多様性を大切にし、その中で自らを鍛えるPBL、ICTの活用、STEAMと宗教を統合して新しいリベラルアーツをアップデートするなど新展開を繰り広げています。このカリキュラムの新展開が、入試問題は学校の顔と言われるわけですから、中学入試の新タイプ入試の開発実施に連動しているわけです。

★同論考で、北氏が取り上げているキリスト教系学校の新しい動きをワンポイントで列挙します。

フェリス女学院は、2018年度から外部相談会などに参加するなど、積極的に広報活動を行う。今春の入試では志願者数が著しく増加。
香蘭女学校 2月2日の午後入試を新設
晃華学園も、午後入試を新設
普連土学園は、「算数1科目」の午後入試開設
湘南白百合学園 2月1日に「算数1科目」の午後入試と英語入試を新設。
啓明学園 「算数1科入試」新設予定

2020年は、2月2日が日曜日にあたる“プチ・サンデーショック”の影響もあり、次の3校が象徴的。
青山学院は入試日を2月2日から2月3日に移行
恵泉女学園は3回の入試すべてを午後に実施。
暁星は、従来の4科目入試を2月2日に移行させ、2月3日には午後の2科目入試を新設。

清泉女学院、「アカデミック・ポテンシャル入試」新タイプ入試を新設。
聖学院は、3種類の「思考力入試」をさらにブラッシュアップ。
カリタス女子と聖ドミニコ学園は、来春入試で募集要項の変更実施。
聖ヨゼフ学園、来春2020年から共学化及び「IB(国際バカロレア)」プログラムの導入準備
桜美林 コース制を導入。

★今回北氏が挙げていない首都圏以外の私立中高一貫校で、昨年50周年を迎えた静岡聖光学院は、思考力入試や英語入試も行い、破格のグローバル教育を今春から実施しています。北氏も、同校のシンポジウムで講演し、注目している学校です。

★21世紀は教育の世紀です。先進諸侯では、少子高齢化は程度差こそあれ進行し、今までと同じ教育をしていたのでは、生産労働人口の減少によって、経済の衰退を招くことは火を見るより明らかです。こうなると、世界は分断が起こり、平和は危うくなります。個人主義は横行し、たいへんなことになります。ですから、<新しい学びの経験>を生み出す教育イノベーションを生み出すにほかに道はないと言われています。

★経産省も「未来の教室」提言で、その方向に大きく舵を切っています。ただし、そこにあるコラボレーションは、まだ経済優先です。経済優先になると格差はなかなか縮めることはできません。そうなると、階層構造が新たにでき、元の木阿弥です。

★それを回避するために、仏教系学校やキリスト教系学校というミッションスクールの新しい意義と価値が今生まれてきているのかもしれません。

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