PBLの世界(29)工学院PBLさらなる進化/深化③
★山口先生の中3ハイブリッドインタークラスのPBl授業はミニドラマエデュケーションでした。工学院は日本初のケンブリッジイングリッシュスクール認定校ですから、ケンブリッジ出版の<Uncover3>を活用しています。CLIL型の授業ができるような編集になっていて、中3の段階でCEFR基準でB2レベルを目標にしています。わかりやすく英検に換算すると準1級レベルとなります。これは学習指導要領でいうと高校卒業時に到達できたらいいねというほど高いレベルです。
★しかしながら、山口先生は、ハイブリッドインターの中3の生徒は、この時期、このレベルはもう到達しているので、テキスト以上の授業を展開する必要があるのだと語ります。
★PBL授業の肝はオーセンティック(本格的に実社会で活用できるぐらいの意味)です。ケンブリッジ出版のテキストもここを重視しています。しかし、テキストの限界は、今生徒にとって旬な社会的事象や現象についてビビッドに取り扱うことはそう簡単ではなないということです。リアルタイムな学びは出版物にとっては不得手の領域です。
★そこで、山口先生は、iPadで、生徒が関心を持っているニュースや情報のファクトをリサーチし、それを素材に自分の考えや互いにクリティカルシンキングを発動するスキットをつくり、ロールプレイ型のプレゼンエーションをするいわばミニドラマエデュケーションのアクティビティを創意工夫しています。
★今回は、インタビュアー、レポーター、キャスター、コメンテーターなどの役割演技をするゴールにむかって生徒は取り組んでいました。もちろん、オールインングリッシュです。
★すべてのチームがスキットを完成させるには1時間ではさすがに無理ですが、それでもただ作業をして授業が終わるのではなく、中間報告的に1チームがロールプレイをしました。千葉の台風の打撃のさすまじさについて報告をし、それについて、どうしてこの自然災害や人的災害が起きたのか解決するにはどうしたらよいのかコメンテーターが語っていました。
★山口先生によると、この夏中3のハイブリッドインターは、米国のスペースアンドロケットセンターのSTEAMとチームビルディング、リーダシップを学ぶ研修を2週間体験してきたそうです。他国の生徒と協働する多様性の中の研修だったようで、英語の問題以上に、バックボーンの違う世界の生徒とディスカッションすることの難しさやリーダーシップを発揮することの難しさを感じ、それを乗り越えたいという気づきをえた研修だったということです。
★そういう体験を目の前でみてきた山口先生は、このクラスではプレゼンとディベートだけではなく、もっとグロウスマインドセットができクリティカルシンキングが成長するアクティビティはないか創意工夫することに気づいたそうです。
★その結果ミニドラマエデュケーションを多用するPBLを実践することにしたようです。スペース&ロボティクスキャンプで体験したSTEAMは実は単なるモノ作りではありませんでした。もちろん、ICTは活用しますが、チームワーク、リーダーシップ、アーティスティックな発想も大事にしていました。
★したがって、英語の授業の中で、ミニドラマエデュケーションを行うことはSTEAM教育の一環にも貢献すると山口先生は語ります。なぜ、STEAM的な要素が必要なのですか?生徒はZ世代ですからということでした。なるほどですね。Z世代はグローバルもデジタルも当たり前の世代です。自分の世代でいつまでも見ていてはいけないと実感した瞬間でした。
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