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2019年9月12日 (木)

PBLの世界(26)アサンプション国際中高 改革高校1期生はやくも大学実績が飛躍する予測たつ。そしてPBL3.0へ準備始まる。

★アサンプション国際中学校高等学校は、3年前に校名変更、共学化、21世紀型教育導入を断行しました。3年前、中1と高1がそれぞれ改革学年だったのですが、そのときの高1が今年高3です。21世紀型教育の3要素で、他の要素の共通基盤であるPBLに関しては、1年目はアクティブラーニングとPBLはコーラーとペプシの違いぐらいで試行錯誤していました。PBL1.0だったわけです。

★2年目は、PBLという言葉で統一して使うようになり、プロジェクトもたちあがり、全体に浸透する動きを開始しました。思考スキルやアクティビティを活用しながら、共通認識を進めました。その中で「探究科」のプログラムが全学年で立ち上がり、SDGsとも相まって、PBLのベースができました。PBL2.0に到達したのです。

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★3年目は、いよいよ各教科にPBLを浸透させる段になりました。教科横断的であり、かつ教科として探究への根っこも掘り下げるリサーチが始まったのです。

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★それには、各教科の授業の中で、創造的思考力や批判的思考力を養う必要があります。坂本先生の高3の英語の授業を拝見しましたが、オールイングリッシュでラテラルシンキングのコミュニケーションをとる授業を行っていました。イマージョン教育を実施しているイングリッシュコースの生徒ではありませんが、ここまで英語で話し、複眼思考をするようになったのかと感動しました。

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★坂本先生は、クラスによって、単元によって、学年に応じて、変幻自在なPBL授業を展開できます。しかしながら、高1のときから知っている高3生の成長ぶりをみて、PBLは生徒が大きく変容する場になっているという実感を抱くことができました。丹澤校長も同行してくださっていたので、改革学年1期生の大学進学実績はどうなる予想が立っているのですかと尋ねると、すでに学校説明会でも語っていますが、かなり期待ができますよと即答だった。

★中学入学の改革学年は3年後に卒業するのですが、そのときにはもっと凄いことになっているというのです。なんといっても次のPBLとしてアップデートをいかにするのか学内で話し合い始めましたからねということでした。なんと2020年は、PBL3.0へジャンプするというのです。

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★そういえば、山根先生の中3の国語の授業を拝見したのですが、非常にレベルが高いのに驚いたのですが、その背景にはこのような未来への野望があったわけですね。山根先生は、完全にファシリテーターで、教えることをしないのです。評論文の形式段落を8つもいきなり要約してねと提示したと思うと、今度は形式段落の関係全体を捉える作業に進み、全体把握のプロセスをチームで共有していくのです。

★中3で評論を読むのもたいへんなのに、いきなり要約はかなりハードルが高いのですが、さらにその上で、削除するという編集作業をしていくわけです。山根先生の国語のPBLは、まずは編集の目を経験するところから始まっているということでした。これが高2になると、小論文や小説の編集・創作にまで発展していくわけです。そりゃあ大学合格実績がでるはずだと合点がいきました。

★授業の見学の合間で、英語科の廣田先生が、久しぶりですと顔を見せくださいました。廣田先生のPBLも「思考実験」を英語で行う画期的なPBL授業を行う先生です。ああなるほど、「思考実験」と英語。そして坂本先生のオールイングリッシュでの「ラテラルシンキング」のペアワーク。なるほどなるほど、PBL3.0の準備がすでに着々と進んでいるのだと感じました。

★そう応接室で感じ入っていた時、となりの応接室から若々しい流ちょうな英語で、対話をしている声が聞こえてきました。アサンプション国際は外国からの来客が多いので、そのおもてなしをされていたのでしょう。いったいどなただろうと思っていたら、英語科の松平先生でした。

★イマージョン教育を行うネイティブスピーカーの教師は10人くらいいるのですが、日本人の先生もまったく負けていないのがアサンプション国際の英語科の教師の特色です。職員室でも英語が飛び交っています。

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★さて、今年の中1はどんな様子なのだろうと覗いてみると、数学科の中井先生がPBL授業を展開していました。中1でもなんとか考えてできる数学の大学入試問題を提示していました。中井先生の信念は、すでにしっている解放パターンを条件反射的に適応して解くなんて数学ではない。未知なる問題を、いままで経験してきたいろいろな考え方を使って、つまり多角的にアプローチして、自分で突破口を見つける数学的思考体験から数学の醍醐味は始まるんだというのです。

★中1の段階で、いつの間にかこんなハイレベルな数学をまるでゲームで遊ぶようにワクワクしながら取り組んでいる姿をみて、アサンプション国際の進化を期待せずにはいられませんでした。

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