衝撃!次のビジョンを実現する力みなぎる教育との遭遇 21世紀型教育機構「第3回静岡国際シンポジウム」(3)
★星野明宏校長の「新グローバル教育宣言」は、未来を見据えたキーノートスピーチだった。いつの世の中も激動のなかで、人は不安を感じながらもそれを払拭しようと対応して生き抜いているのだが、今回蠢いている変化は、単なる外部変化というより、私たち一人一人が身に着けて血肉になっている物の見方・考え方・感じ方そのものが変容しなければならないという異次元の激動に直面している。すなわち内生的変容を迫られている。
★この変容は、新しい<学習経験>を受け入れる他に術がないところまで来ている。だから、星野校長は2030年までに到達するSDGsを生徒1人ひとりが自分ごとにできる国際サミットを自分の学校で実現した。
★ソサイエティ5.0や第4次産業革命で現れるいや既に現れているが、多彩なイノベーション、日々進化するテクノロージー、新しく多様なタレント、そしてトレランスという寛容な倫理観すべてに対応できる新しいSTEAM教育をBIGIRION-Gというガレージというスペースでやってのけようという理想を掲げている。
★もちろん、現場と理想のギャップはつきもので、葛藤も生まれる。しかし、それを理由に前に進まないのではなく、クリエイティブテンションとして、前に進む推進力に転換するグロウスマインドセットを学内に浸透させせている。その組織開発の手腕、人材育成の手腕、ビジョン構築の手腕は見事である。
★元電通マンとして、社会科教師として、そして筑波大大学院で研究したスポーツ科学者として、ラグビーのユースの監督を経て、日本のラグビー促進者として、世に必要とされている存在になっているがゆえになせる業であるともいえる。
★それにしても、元電通マンの魂とその言葉の選択は群を抜いている。たとえば、理想を構築するときのことばに「ムーンショット」という表現を選ぶ。地球の外に出るくらい難関の目標を立てるわけだが、それがムーンショットという美し響きと地球を回り続ける眩暈が同居していて、月への旅の誘(いざな)いについ乗っかってしまうではないか。
★そして、新グローバル教育宣言のもう一つのキーワードは、ジャパンオリジナル。なんでもかんでも海外の模倣をするのではなく、日本のコンパクトで密度の高い知性を活用しようという話。ジョブスもフランクロイドライトも、多くの外国人が見せられる茶の道やマインドフルネス。そして、そこにある倫理観。国際サミットなどで多様性の中で共有していこうということだろう。
★しかし、このジャパンオリジナルには「月」が似合うのは言うまでもない。ムーンショットといいジャパンオリジナルといい、そこには「月」からみた「地球」。つまり「宇宙の運動」がある。もちろん、星野校長がそこまで意識したかどうかはわからないがおそらく相当計算して、そのうえで、崩している。この計画と無計画という反復が生み出すクリエイティブテンション。静岡聖光学院は、MITやシリコンバレーのリーダーシップ研修も受けているから、土台にあの学習する組織がある。
★この組織が土台としてあるから、PBLをコアとする<新しい学習経験>を創ることができる。その中で、生徒は自分の本質的なかけがえのない価値を見出し、それを社会で豊かなバリューに変換することができるようになる。
★ところで、今回の国際サミットはいかにして資金調達は可能だったのだろうか?結局、学校もベンチャーキャピタルさながら資金調達力がなければ、何もできないのである。学校経営者の腕の見せ所とは実は目には見えないそういうバックヤードのソフトパワーにかかっている。その裏付けあってこそのムーンショットなのである。
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