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2019年9月 7日 (土)

大学入試改革と大学入学共通テストとは違う。テストの方は中止したほうがよい。

★本日7日の朝日新聞に<「共通テスト中止を」 高校生や教員、文科省の前で抗議>という記事が掲載。

<大学入試センター試験に代わり、2020年度から実施される大学入学共通テストの中止を求める抗議行動が6日夜、東京・霞が関の文部科学省前であった。ネットの呼びかけで高校生や高校、大学の教員ら約200人が集まり、「実施間近なのに色々と変わり、分からない部分も多い。混乱は必至。中止すべきだ」などと訴えた。 >

★とある。その通りだと思う。それに、本来の大学入試の改革の意味と大学入学共通テストの趣旨ははじめから矛盾していた。高校生の学習歴を見ようとか、創造的思考力を養ってきて欲しいとか、ルーブリックでコンピテンシーを教師も生徒も共有できるようにしようとかいう基本的流れの1つも大学共通テストでは実現されないのだ。

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(順天堂大学医学部小論文2015年「キングス・クロス駅の写真です。あなたの感じるところを800字以内で述べなさい。」こういう問いが入試の新しいウネリになることを期待する。)

★記述式問題といったところで、サンプル問題は、どこの自治体の公立高校入試でも出題している記述問題と比べても易しい。まったくナンセンスである。

★GTECとeポートフォリオと共通テストの採点はすべてベネッセである。ベネッセはすばらしい一大総合教育産業であるし、ほとんどの高校がお世話になっている。ベネッセ自体に何の問題もないが、一つの企業に委託する文科省の構えが民主主義的な教育をマネジメントする官僚制度としてこれでよいのかという認識がないのが問題である。

★独禁法に違反しないのかどうかわからないが、権力の集中はそもそも民主主義の原理に反するのである。

★大学入試改革の本意は、各大学の個別独自入試で十分にできる。学力革命や思考力革命が世界同時的に起きているのに、日本の教育だけがそれを阻害する政策を文科省自らが行っている。

★テストのない教育をとは私は思わない。テストは子供たちが自分の才能をどう伸ばしていったらよいのかリフレクションするときの鏡になるからだ。アスリートがモニタリングするためにデータをとるのと同じである。

★ただ、その鏡がゆがんでいたり、モニター装置に欠陥がある場合は、即刻リコールだ。とり除いた方がよい。

★それに、センター試験や大学入学共通テストは、生徒の才能を委縮させる役割を果たしてきたし、テストがなければ勉強しないという外発的モチベーションを発動させる抑圧的・受動的な学びの構えを作ってきたことも否めないのであるから。

★それに、中止によってあり余る大幅な予算は、Z世代のICT教育環境に投資したほうが有効だろう。

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