PBLの世界(30)工学院PBLさらなる進化/深化④
★工学院のチーム田中(TGプロジェクト)は、授業リサーチとスクライビング研修のカップリングを実践しています。メンバー1人ひとりの授業を見学して、見学者が「アクティビティのアイコン分析」「思考コード分析」「思考スキル分析」をA4一枚のPPTシートに即転記していきます。そして、授業終了後の10分間でリフレクションやフィードバックを行います。
★土曜日に原則行うので、2時からチームメンバーが集結してスクライビング研修を行います。授業実施者が、自分の授業の物語を7分間くらいで語ります。すると同時に、別の仲間がそれをフローチャート化するスクライビングをする役割を演じます。そして、次々とみんなで思考コード分析をしていくわけです。
★今まで、授業リサーチの分析は、おせっかいにも私がサポートしてきました。スクライビングでチームみんなで分析した結果と私の結果を最終的にはぶつけあって、違いがあれば、さらにそこを詰めていきますが、だいたち一致するようになりました。それゆえ、そろそろチームで共有しようということで、スクライビングで研修でも、私が行うリサーチの中の「アクティビティのアイコン分析」もすることにしました。
★ハーバード流儀のアクティビティタイプだけでは不足していたので、今年の前半で、21世紀型教育研究センターのリーダーの児浦先生と田中歩先生と新しくアイコンを作って補充したものを使いました。
★ファシリテーターの新海先生が、「アクティビティ」のアイコン分析をすることで、直感的に思考コードや思考スキルをPBL授業のデザインに盛り込めるので、使いやすいと語っていました。新海先生は数学教諭でICTや統計学的な発想をするメンタルモデルを有しているので、パッといろいろなものが相関的にあるいは関数的に結びつくというのです。この発想は重要です。PCやプログラミングもアイコン化で加速度的に世界に浸透しました。関数的関係をイメージに置き換えるというのは、実は数学的思考の肝ですね。
★スクライビング研修は、最初は私がファシリテーターを頼まれていましたが、今では新海先生が行っています。研修は外部の講師と行う時期も必要ですが、やはり最終的には内製的に行っていくことが学習する組織を形成していくのには効果的です。
★そこらへんの発想は田中歩先生の得意とするところで、若手の教師も生徒も同様に、手を放して抱きしめるカウンセリングマインドというメンタルモデルを自分軸としているわけです。新海先生も田中先生をメンターとして、ファシリテーターを進めていきます。
★「アクティビティアイコン」分析は、ある意味成功でした。この手ごたえ感は、やはりジョエル先生、ベッキー先生、山口先生の役割は大きいと思います。PBLとかアクティブラーニングとかは、やはり欧米で生まれています。外国人教師の英語の教師が仲間でいるというのは、本場の授業デザインを他の教科の先生が学ぶことができるというわけです。それに、アクティビティという発想は、外国人教師にとっては当たり前の発想です。
★工学院の先生は、数学や理科は、ハイブリッドインタークラスがイマージョン教育を行うので、その時チームティーチングで参加しますし、教職員会議も英語が語られますから、スクライビング研修で英語が飛び交っても違和感はありません。みなICTを持っているので、いざというときは、グーグル翻訳を稼働させます。もっとも山口先生の同時通訳があるので、全く問題ないというのが本当のところですが。
★かくして、「アクティビティ」分析を今までは授業者と私との間でコミュニケーションをする道具として活用してきたのですが、今回は全体の共通言語となりました。田中歩先生は、これで、授業リサーチも、そろそろ本間さんに頼らずに、自分たちでも行えるし、メンバーでない先輩の先生方の授業リサーチもして、大いに学べる時がきた。それに、次回のスクライビング研修は、海外拠点で帰国生入試を行うために上海に行っていて自分はいないけれど、ファシリテーター新海先生もいるから大いに羽を伸ばしてやって欲しいとエールをおくって会を閉めました。
★つまり、田中歩先生の目論見通り、チーム田中は立派な「学習する組織」として持続可能な歩みを始めたということでしょう。
| 固定リンク
「PBL」カテゴリの記事
- 私立学校充足率V字回復5パターン❹充足率パターンBとA 成功方程式をきちんと実施すれば意外と簡単(2025.05.17)
- 私立学校充足率V字回復5パターン➌充足率パターンDとC 最も難しい(2025.05.17)
- ファシリテーション組織➌世界をエンパワーする対話 シンプルにこれが組織を持続可能にする例として工学院(2025.05.11)
- 八雲学園 大学進学実績の飛躍のプラグマティックな理由(2025.05.08)
- 聖学院 生徒1人ひとりがOnly Oneを発見する教育環境がデザイン(2025.04.26)
最近のコメント