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2019年9月23日 (月)

2020年からの中学入試(22)なぜ公立中高一貫校や私立中高一貫校なのか?何が日本の教育の水面下で動いているのか?

★2020年大学入試改革における大学入学共通テストにおける英語民間試験を巡って、全国高等学校校長会(私立学校も属しているが比率は公立学校が圧倒的に多い)は、文科省に中止を要望し、日本私立中学高等学校連合会は、円滑に実施することを文科省に要望しました。なんだか、文科省のコントロール下の公立の学校が多く所属している全国高等学校校長会が、文科省に苦言を呈し、文科省と距離をおいているはずの私立学校側がエールを贈るのは、外から見ているとなんだかねじれているようにみえます。

★しかし、それは「2040年問題」に対する認識の違いがもたらしている歴史の捉え方の違いがそのような現象として現れています。2040年の18歳人口は、文科省によると、約88万人になります。現状が約117万人ですから、令和元年に比較すれば、25%も減少することになります。

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(文科省作成資料から)

★現状高校(中等教育学校も含む)は、4941校ありますが、単純に考えてはいけませんが、傾向を見るという意味で、2040年は統廃合されて3705校になるわけです。そして、統廃合のコントロールは自治体は、公立学校にしかできません。私立学校は自ら廃校を決断しない限り、サバイバルしようとします。

★そして、文科省や教育委員会が統廃合する時、どういう学校を残すかを必ず考えます。

★実は、「2040年問題」は18歳人口の減少よりもっと恐ろしいのが、生産年齢人口の半減です。このまま何もしなければ、GDPは、半分になります。日本の国力はもはや一気にさがります。このことは自分は関係ないとは言えない事態が日常生活にしわ寄せになってくるでしょう。日本のパスポートの信用は衰退し、今のようなグローバルな活動はスムースにいかなくなります。

★地域創生と言いながら、もはや財源がありません。ただでさえインフラ劣化しているのに、昨今の異常気象によるすさまじい地域の破壊は、今も各地で復興が遅れていますが、それはもっと拡大するでしょう。だからAIの登場なのだと、こぞって政財官はいいますね。間に合えばよいのですが。

★先進諸国でも世界同時的に、これは起きています。そこで、21世紀は教育の世紀で、みんなが所得倍増できる高度人材になる<新しい学びの経験>の教育イノベーションを起こす計画が立案され実施されているのです。昨年のノーベル経済学賞を受賞したポール・ローマ教授は、実はこの<新しい学びの経験>を創る内生的成長論を提唱した成果が認められたわけです。

★そして、これは世界中がコラボレーションして取り組まなければならないし、高度なIT技術は不可欠です。それゆえ、共通言語としての英語は必要だし、コラボレーションできる準備として授業はPBL(Project Based Learning)である必要があるし、ICTの教育での活用も必須ということになっているのです。そして、それを実施するには、既存の知識を暗記している勉強では役に立たずに、論理的・批判的思考のみならず、創造的思考が必要だということになっているわけです。

★その流れに現場が混乱するから中止して欲しいというのか、前に進んで欲しいというのかは、統廃合されても人事異動で生きていける公立学校と廃校になった瞬間に職を失う私立学校では、認識のギャップがあるのは、当然です。

★しかしながら、それだけではないのです。よいかわるいかはわかりませんが、日本の学校はどんどん民営化の方向に進んでいるのです。「日本の教育公的支出は最低 15年のOECD調査」(日本経済新聞 2018/9/12 10:06)によれば、

<経済協力開発機構(OECD)は11日、小学校から大学までに相当する教育機関に対する公的支出状況などを調査した結果を公表した。2015年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める支出割合を見ると、日本は2.9%となり、比較可能な34カ国中で前年に続き最も低かった。OECD平均は4.2%。


一方で、日本の子どもにかかる学校関連の費用の総額は、小学校から大学までで1人当たり1万2120ドルとなり、各国平均の1万391ドルを上回った。教育費が比較的高いのに公的支出の割合は少ないことで、家庭負担に頼っている現状が浮かんだ。>

★日本は教育にお金をかけなくてはとみな思うでしょう。でもそれには財源がいりいます。そのために、来月から消費税10%ですが、おそらくそれも限定的で、基本は家庭が教育費用を出していくという流れはとまらないでしょう。

★団塊ジュニアの18歳人口は1992年ピークになっていますが、それ以降18歳人口の減少ははどめがききません。ちょうどそのタイミングでバブルが崩壊して、日本の経済のデフレへの突入が始まったのです。18歳人口の動向はそれほど重要なサインなのかもしれません。2040年、今の12歳の中学受験生が33歳になるとき、このままでは壮絶な情況になっているのは予想するのは難くないでしょう。こういう話をすると「脅威論」で煽ると言われますが、21年後の話です。予測不能ということは実はないでしょう。どの業界でもそれに対応しようと必死です。

★教育も本来そうである必要があるのですが、現状維持によって混乱を防ぐことを中心にするグループと未来から今の学びを見直そうとするグループに分かれています。

★そんな中で、公立学校の中でも未来志向型の学校を開設して、来たるべき時に備える、つまり統廃合しても最後に残る学校を創っておこうという政策の一環で誕生したのが公立中高一貫校です。

★公立中高一貫校が民営化するかどうかはわかりません。おそらくあってもその優先順位はまだ低いですね。しかし、21世紀に入って公立中高一貫校が続々誕生していたのと同時期に、今も蛇行運転していますが、生まれたのが「国立大学法人化」ということでした。国立大学の民営化です。もちろん、補助金なしでは運営できませんから、完全な民営化とはいえないでしょうが、日本はその路線に舵を切っています。

★大学の無償化の話は、この国立大学の民営化の制度を根底から切り崩すものではありません。大学の運営ではなく、家庭や受験生に対する政策です。

★初等中等教育の民営化などあり得ないと思う方もいらっしゃるでしょう。そうです。国や自治体はあえて民営化を謳いません。ただ人口減に伴う統廃合を行っていくだけです。今は圧倒的に公立学校が多いですが、そのうち黙っていても、私立学校が多くなります。なし崩し的に公立学校の民営化にいきつくのです。

★ただ、そのときに国家としての教育をいかに守るかという話になったとき、残しておく学校があります。それが公立中高一貫校であり、IB導入公立学校でしょう。

★私立学校もサバイブしようと頑張りますが、<新しい学びの経験>を創れない学校は衰退していくでしょう。

★つまり、<新しい学びの経験>をつくる学校を選択することが「2040年問題」に対応できる1つの作戦です。

★この<新しい学びの経験>は、伝統校であっても果敢に挑戦しているところもあります。この視点で学校選択を推奨している論者はあまりいないので、学校説明会にご自身で参加して、確かめることがこの秋の学校説明会巡りの重要な視点となるでしょう。

★ともあれ、サバイブできる最先端をいく学校グループは、公立であれ私立であれ、中高一貫校に多いということでしょう。聖パウロ学園のように高校だけの私立学校でも<新しい学びの経験>の環境をいちはやく整えているところは、すでに人気校になっています。そんなところからも、この<新しい学びの経験>という教育イノベーションの視点は大切です。

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