2019東京都私立学校展(2)北区と文京区が熱い!
★私立学校展の各校のブースはどこも熱いのだが、気になったのが、順天、聖学院、桜丘、成立学園、東洋大京北、駒込だ。最初の4校は、北区に位置し、あと2校は文京区に位置している。隣接エリアだから、このエリアで何かが起こっている。なぜ気になったのかというと、いずれも黒山の人だかりで、これらの学校に共通するところがあるが、そこがおもしろいからだ。
(順天のブース、立席ということもあって、ポスターセッション型の相談会になっている)
★順天の学校長の長塚篤夫先生は、東京私立中高協会副校長で、吉田先生。平方先生とともに、文科省の高大接続改革以来の多様な分科会のワーキングメンバー。ワーキングメンバー全体のムードは、世界標準というより、公立学校の現場主義の雰囲気。今回の改革は、世界的な教育改革で、日本だけの問題ではないが、どうしても日本の官僚主導というかお上主導の教育行政の伝統が、世界から教育をみようろしない。
★そこで、理想と現実のギャップが生まれ、現実路線に合わせて大学入試改革は動きがちになるが、それをなんとか世界標準に近づけようと議論をしかけているのである。今の子供たちの未来である2040年を世界標準にしておくことは、今教育を担っている教師のミッションなのだという。
(聖学院のものづくり思考力入試、M型思考力入試、難関思考力入試は、各メディアに注目されている。レゴを使うモノづくり入試や難関思考力入試は、新しい学びと評価され、塾からもワークショップの依頼が多い。)
★改革の中でも、長塚先生は、多面的評価について担当をししている。ルーブリックとeポートフォリオの流れの理想と現実の狭間で右顧左眄することなく踏ん張っているわけだが、出来るという信念がある。それはご自身の経営する学園である順天がそれを着々と実現しているからだ。
(桜丘は高橋知仁校長自らが、リーダーシップ研修でファシリテーターを行ってしまうほどアクティブ。そのスマイルが、学内のチームワークをつくる秘訣である)
★私立学校と公立学校の行政上の違い、経営上の違いはあっても、多面的評価やポートフォリオの重要性は同じであると。
★この流れを、不思議なことに、先に挙げた北区と文京区の学校は、以心伝心よろしく実践している。多面的評価をしているかどうかは、入試要項を見ればわかる。2科4科の入試以外に、思考力入試やプログラミング入試、自己アピール入試など、適性検査型入試以外に深い学びができる入試を設定しているのだ。
(駒込のプログラミング入試は、時代の先端をいく。今月の体験会もすでに満席だと聞き及ぶ)
★これは、4科主義の大手塾やそこをサポートする教育シンクタンクが「謎の入試」と呼んでいて、偏差値で評価できない入試をやっているのはいかがなものかと指摘しているのだが、惑わされずに思い切って実施しているのである。
★そして、その「謎の入試」を体験した生徒の中から、類まれな才能を発揮するのみならず、教科の学力も伸ばすことになるという事態が発生している。
(東洋大京北の人気が絶大なのは了解済みであるが、私学展でも同様であった。哲学入試が人気ということは、やはり時代の希望は自分で深く考える構えが必要だと実感されているということを示唆している可能性大)
★長塚先生は、偏差値も多面的な評価の1つとして認め、それ以外にも多様な基準があってよいと。そのためにはルーブリックやポートフォリオが必要なのは、世界の教育のある意味常識だと、海外の教育のフィールドワークやリサーチを通して、確信している。首都圏模試センターや各学校で独自の展開をしている「思考コード」という考え方も高く評価し、ルーブリックが具体化拡散に展開してしまうのを、メタルーブリック的に俯瞰する思考コード。とくに、そこにコンピテンシー軸が入っていることに、興味と関心が高い。
★この新しい教育に対するものの見方・考え方が、北区・文京区に広がっている。この雰囲気が先の6校に共通しているところがおもしろい。進取の気性に富んだ保護者が、北区・文京区にたくさんいるということでもあろう。
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