« 週刊東洋経済の特集「中高一貫校」(5)画期的記事の登場 芸術大学進学について取り上げる | トップページ | 富士見丘 明海大学GMMサマースクールに参加 オールイングリッシュの大学のPBL体験(1) »

2019年8月 4日 (日)

聖パウロ学園のオープンスクール 多くの生徒が集まり、青春を謳歌し、未来も発見できると期待を高める。

★昨日3日(土)、聖パウロの森に多くの受験生が集まった。オープンスクールが開催。昨年よりも多くの受験生が参加し、予定されていた数を超えた。椅子を新たなに足し、ホールの後方まで一杯になった。ここ3年、ずっと増え続けている。それは、いまここで真摯に教育を行っていること、しかもその教育が生徒自身の未来にとって極めて有益な教育実践であること、さらに少人数制ならではの一人ひとりに合った学びの個人化の浸透などが口コミ評判として広まったからだろう。つまり、生徒ファースト。

Dsc09456  

★オープンスクールは、学校の説明会があり、その後、体験授業、キャンパスツアー、野球部など部活体験と同校が大切にしている「体験」と「思考」のプログラムが展開した。

★説明会のオープニングは、聖パウロ学園理事長・学園長の高橋博先生のキーノートスピーチから。これはたんなる学校紹介ではなく、受験生に20年後、30年後、40年後の激変する社会の中で、どう生きるかを問いかけ、いっしょに突破していこうというビジョンと価値観を共有する内容だった。

★偏差値や学歴社会的な価値観から解放されて、自分のやりたいことを見つけながら、その実現のために必要な人間力と思考力と英語力を3年間で学んでいこうとエールをおくった。いっしょに未来を創ろうよと。

Dsc09481

★高橋先生の話を受けて、主幹の小島綾子先生が、では具体的にどんな授業のメカニズムがあるのか、国語を例にとってわかりやすく解説した。同校では、どの教科も授業はPBL(Project Based Learning)を行っている。たんに問題解決能力を客観的に養うのみならず、自分と社会や世界のかかわりを考えながら、自分だったらどうしていくのかまで思考するという意味で「プロジェクト」というのは大切なのだと。

Dsc09484

★同校のコースは、グローバルクラスとセレクティブクラスがあるが、どちらも英語教育には力を入れている。グローバルクラスの英語力は、海外大学進学準備にも通用するレベル。しかし、国内大学でも、これからはますます英語がどこでも重視されていくから、学園全体で英語教育に力をいれていて、その英語教育の環境とシステムの紹介をした。

★オーストラリア研修旅行、ブリティッシュヒルズ研修旅行、3カ月留学、米国ハイスクールとのライン上の国際交流及び聖パウロでのリアルスペースでの国際交流の話など、2年間の間に、多様なグローバルイマージョン環境があると。受験生は母親と目を交わしながら、ワクワクしている様子だった。

★しかし、なんといっても普段の英語の授業が大切で、それは説明会終了後の「体験授業」でたっぷり味わうことができた。

Dsc09522

★国語の授業では、魅力的なテーマパークを考えプレゼンするPBL授業を行った。

Dsc09527  

★英語の授業は映画を素材に英語で感じたこと分析したことを語り合うPBL授業だった。オールイングリッシュだったが、今回体験授業では、すべてのチームに、在校生1人がチュータとしてサポートにはいってくれていたから、参加者は困ることはなかった。

Dsc09530

★立体図形を素材に、3次元と2次元を往復するおもしろい授業は、英語の教師と数学の教師がコラボしたPBLだった。チーム聖パウロの面目躍如の授業だった。

Dsc09533

★正四面体を実際につくりながら取り組む「アクティビティ」をいれていたが、これは「体験」を「アクティビティ」化して授業に埋め込むPBLの画期的なメカニズムである。講義だけの授業では、「体験」はできないのである。

Dsc09535

★オールイングリッシュで行われるイマージョン形式の授業だったが、数学の教師がサポートしていたから生徒はまったく勇気づけられながら思考に没頭していた。

★かくして、小島綾子先生のスピーチと教育実践が見事に一致していることが、今回のオープンスクールで証明され、受験生も保護者も期待値がますます高まっただろう。

★しかしながら、期待値には裏付けがさらに必要である。小島綾子先生は、高校でのPBLや英語教育は、大学入学準備教育にも役立っていることを強調していた。

Dsc09493  

★2020年に大学入試改革が行われるとはいえ、改革は段階的である。したがって、すべてが思考型入試になるわけではない。そういう現実と聖パウロ学園の理想の一致を緻密に実践していることに関して副校長の紀伊清一先生がスピーチした。

★PBLの特徴は≪対話≫である。そこで生徒は主体的に学ぶ習慣をつけているために、休み時間や放課後、生徒はよく質問にくるという。それは、少人数制の教育を行っているからでもある。生徒が集まらなくて少人数なのではなく、定員のキャパがそもそも1学年80名なのである。東京ドーム9個分の広大な聖パウロの森の中に3学年で240名というある意味贅沢な少人数制学校なのである。馬術部もあり自然の森もあり、欧米のエスタブリッシュスクールに相当する環境だ。しかし、学費は5分の1である。実は世界に目を向ければ、超お得な学校なのである。

★それはともかく、聖パウロ学園の広大な敷地には、世の中にある誘惑される情報や場所がないために、夜8時過ぎまで、集中して自学自習できる環境にある。授業に取り組み、放課後部活に取り組んだあと、ヴェリタスという大学受験対策講座があり、そのあと100分間の学習時間が設定されている。教師も残っているから、わからないことは質問できる。

★夏休みも夏期講座が集中的にあるだけではなく、勉強合宿まである。もともと全寮制学校だから、寮の施設があるのだ。

Dsc09508

★説明会最後は、校長佐々木吉勝先生のスピーチだった。学園の名称は聖人パウロにちなんで付けられているが、改めて聖パウロの精神に立ち還ろうというねらいがあったのだと思う。目から鱗というのは、聖パウロに関係があるというのだ。聖パウロはキリスト教を批判し、迫害する側にいたが、あるとき目が見えなくなった。そこにあるキリスト教徒がイエスのお告げを聴いて訪れ、祈った。

★すると、鱗が目からでて、目が見えるようになったのだという。そして、その鱗は魚のものではなく、蛇のものだったと。つまり脱皮を意味し、聖パウロはそこから回心し、伝道を開始した。殉教するまで各地で説教をしていた。聖パウロがいなければ、キリスト教の歴史はなかったであろうと言われるまでになった。

★この脱皮という自己変容こそ聖パウロの精神なのだと。説明会終了後、佐々木校長と少し話をする機会があったが、そこでPBLのプロジェクトの意味は、まさに生徒1人ひとりが自己の殻を破り大きく成長していく道のりである。だから聖パウロのPBLの背景には、パウロベースドラーニングという意味があるのかもしれないということだった。

Dsc09572   

★先述したが、説明会終了後、体験授業、キャンパスツアー、部活体験。驚いたのは、キャンパスツアーだった。何せ敷地が広いため、敷地についてはバスツアーが行われたほどだ。

Dsc09540

★しかも、バス2台のうち、1台は、高橋理事長自らが運転してツアーガイドを先生方といっしょに行うサービス(奉仕とよばれる)。men for othersの精神をはやくもこういうおもてなしでも実践されていたのである。バスツアーには、教師ばかりだけではなく、ここでも在校生がサポート。今回も、参加した受験生と保護者は、チーム聖パウロを十二分に堪能したに違いない。

|

« 週刊東洋経済の特集「中高一貫校」(5)画期的記事の登場 芸術大学進学について取り上げる | トップページ | 富士見丘 明海大学GMMサマースクールに参加 オールイングリッシュの大学のPBL体験(1) »

21世紀型教育」カテゴリの記事