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2019年8月10日 (土)

PBLの世界(15)中学入試は、留学生受け入れ政策とコンピュータ進化と国際経済の変動の三つ巴の象徴③

★留学生10万人計画は順調に伸び、2003年に達成してしまった。これは、バブルを迎えていた日本に魅力もあったからだろうし、はじけてもIT革命の影響を日本もうけていて活況を帯びていたことはたしかである。

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★しかしながら、2003年までに、順調に同じ構造で伸びたわけではない。1997年・1998年に若干減速している。これは日本の経済構造の大きな転換期を示している。倒産するはずがない大企業や大手銀行が国の支援を得られず、見捨てられた事件が起きた時期である。

★この時期に、僕は教務から入試情報センターに異動になり、学校と社会で何が起きているのかリサーチすることになる。本社の方も、ホストコンピュータ時代からダウンサイジング時代に移行する波を避けられず、開発費がそちらに投資されることから、教務の開発事業は以前ほどではなくなったということもある。

★IBM・富士通・NECの時代も停滞し始めた。マイクロソフトの個人化戦略の幕開けである。それとともに、インターネット時代が訪れる。しばらくネットスケープを使いながら仕事をしていたが、それもまもなく過ぎ去り、マイクロソフトの時代になった。

★日本の経済の空白を乗り切るために、低賃金の労働市場を目指して、グローバリゼーションは広がらざるを得なかった。それに乗じてBRICsの台頭もあった。留学生はうなぎ上りに増えていった。当然増えると質の問題があちろこちらで頻発した。

★21世紀に入って9・11をはじめ軍事力はテロ対策時代に移行した。金融工学や脳科学、医療関連などあらゆるところでICTは欠かせなくなっていった。そこにSNSがはいってきて、スマホ時代が訪れる。世界中が1人1台PCに実質なった。

★中学入試に投資していた新興富裕層・準富裕層は、もはやジャパン・アズ・ナンバーワンでなくなった日本社会を支える学歴社会にこだわることはなくなり始めた。しかし、彼らは、2000年生まれの自分たちの子どもが2012年になるまでは、なかなか動けなった。僕の方は社内ベンチャー的に教育研究所を1999年に主宰させてもらい、PBL開発の準備にはいった。こういう新しい学びに興味と関心をもち、コラボする大企業が現れたということもある。しかし、なかなか広まるわけではない。本社の方の反ゆとり路線と教育研究所の総合学習をPBL化しようという動きは、当時はうまく両立できなかった。

★ところが、新興富裕層・準富裕層の中で、2013年ころから、英語とPBLとICTを活用したデジタルネイティブである自分たちの子どもにあった学校が誕生するや学校選びに変化が起きた。また、新興富裕層・準富裕層の消費経済を支えてきた旧富裕層・準富裕層も、そもそも自分の仕事自体、おしりに火がついてきた。中学入試において、帰国生入試のみならず、英語入試や新タイプ入試という思考力重視の試験も現れたのはこの時期である。

★もはや新興か旧かは問題ではない。マーケットを海外に広げ、インバウンドをどう誘致していくかが重要課題になった。これは世界的な動きで、2008年に政府官僚は、留学生30万人計画を開始した。2020年までに達成するのだと。しかし、あっさり2018年に達成してしまった。

★当時大学教授で、今は静岡県知事の川勝平太氏は、その当時から留学生100万人計画という大胆な提言をしていたが、それには日本の大学が準備ができないという理由があったのだが、どうやらまったなしということだろう。

★それに、SNS時代からクラウド時代になり、いよいよAIシフトの時代に突入する時代だ。大学が変わらないわけにはいかない。いずれにしても留学生だけではなく、入管法も改正され高度人材の受け入れ態勢も整えようとしている。もちろん、整備がうまくいかないこともたくさんあるだろう。

★留学生10万人計画の時のように、日本語習得マストの時代は突破され、英語でOKという時代もやってこよう。日本の企業もZ世代にまかせようという動きが活発になってきた、若くても年収1000万から4000万は可能だという制度設計もし始めている。でなければ、外国人の高度人材は寄り付かない。対価に応じたコンピテンシーとそれに基づいたテクノロジーがあればよい。

★仕事は1人ではもはや成り立たない。よってコミュニケーション、リーダーシップ、人間関係創造力、アイデアを生み出すチームワーク力などのコンピテンシーとそのアイデアを実現できるテクノロジーが重要になったのである。

★英語とPBLとICTと哲学が必要だという時代なのだ。つまり人間とAIの共生なのだが、いずれにしてもコーディングというデータ化は避けて通れない。信用はスコア化されるから、その使い方が間違えられると、人間はAIを通して一握りの人間に支配されるデストピアに突入する。すでにそういういことが問題なりニュースでも取り上げられている時代だ。もちろん、使い方によっては、すでに19世紀末にウィリアム・モリスが描いたが「ユートピア」が到来する。

★ちなみに、僕は2007年に会社を辞めて独立した。伝統と革新のバランスが伝統に傾き始めたとき、辞めざるを得なかった。伝統と革新のバランスが、革新よりを欲求する場が現れたからだ。そこで僕はどう役に立てるのか。そのことが、子供たちが世界を変えたり、世界を創ったりすることにどうかかわれるのか。僕自身は、それをPBLのトポスという世界を通じてみてみたいと。

★2020年は、1980年代に始まった社会変動の到達点であるが、それは旧体制の限りなく没落を導く。半分以上がその体制を引きずりながらここまできたわけだから、革新勢力だけで、今の経済システムを維持することはできないだろう。

★サバイブするには、新しい道を準備するしかない。つまり、強欲近代社会(その修正主義として再帰的近代社会)から循環型近代社会へのシフト。僕のやっているささやかなことが、その新しい道を準備することになっていれば幸いである。

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