週刊東洋経済の特集「中高一貫校」(5)画期的記事の登場 芸術大学進学について取り上げる
★週刊東洋経済7月27日号の特集「子どもが幸せになる中高一貫校」で、次のような記事が掲載されている。それは、進学レーダー編集長井上修氏の署名記事「芸術大への進学に女子校が強い理由」がそれである。大学合格実績という切り口で学校をみるとき、芸術大学進学の切り口を使うというのは斬新だ。
(ある女子美術大学生の卒業制作「祖先以前性」から)
★井上氏のように、私立中高一貫校は、主要五教科とか不要教科という言説を使わずに、バランスよく教育を行っているという見方で、大学合格実績をみるとなると、脱偏差値とか脱大学合格実績とかいう風潮を、再び大学合格実績で、学校の教育力をみることができるという流れにすることができるかもしれない。
★たとえば、掲載されているデータによると、芸術大学ランキング4位に吉祥女子、5位にフェリス女学院、13位にカリタス、16位に恵泉、19位に鴎友学園女子とあるが、進学校的な側面だけではなく、しなやかで柔らかい感じだったり自由な雰囲気があふれていたりで、東大や早慶上智、MARCHなどでランキングされても何か違うなあと思ってきたが、芸術大学進学を評価するとなると、とたんになるほど教育の総合力を見ることができるとしっくりくる。
★しかも、21位までのランキングの中で、女子校が16校入っているのに対して、男子校が0校というのは、SGDsのジェンダー問題でないが、この国のキャリア教育には、何か偏りを感じる。日本社会の課題を再確認するのにも役に立つ。
★しかし、何より、井上氏の記事が、経済情報誌に掲載され、芸術と女子校に光を当てているのが画期的だ。というのも、美術手帖2019年3月によると、2018年の世界のアートマーケットの規模は約7兆5000億円。2008年から10年間の間で歴代2位の規模だそうだ。
★そのうち日本のアートマーケット市場は1%にも満たない。市場規模は順に、アメリカ、イギリス、中国で、この3国で総売り上げの84%シェア。
★東南アジアが、日本よりもアートで盛り上がっているのは、中国のギャラリーやオークション企業が進出しているからだ。しかも、最近の新しいアートは、ギャラリートークやアートコミュニケーションは大前提だから、英語は使わないわけにはいかない。中国のギャラリストやアートコーディネーターは、ロンドンかニューヨークに留学しているからということもあるかもしれない。いずれにしても、今後の芸術大学進学準備もグローバル教育を無視できない。
★日本経済は、このままでは工業的なモノ作りだけではうまくいかないだろうから、当然ソフトパワーだといわれているが、そこにはアートもはいっている。つまり、ソフトパワーにはSTEAMの多様な領域があり、それぞれにマーケットがぶらさがっている。STEM教育とSTEAM教育の違いは、もしかしたら、前者がハードパワーよりで後者がソフトパワーよりなのかもしれない。
★今後、女子校がこのソフトパワーとしてのSTEAMのAの部分に人材を輩出する大きな流れになるのかもしれない。日本の国のこの閉塞状況を突破するヒントがこの記事にあるのではあるまいか。
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