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2019年8月 6日 (火)

PBLの世界(10)教育改革は、経産省と文科省のダブルバインドとダブルスピークから脱出できるか

★2020年から2040年にかけて、大学入試改革や学習指導要領改訂、未来の教室、ソサイエティ5.0など文科省と経産省は、教育改革のシナリオプランニングを描いている。

★教育とは必ずしも、政府と官僚主導によるものではないはずだが、90%は、ナショナルカリキュラムによってコントロールされているために、そうでない姿をイメージできにくい。それをイメージしやすい立ち位置にいる私立学校でさえも、なかなか自分の立ち位置を全うすることは難しい。

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★というのも、経産省は、文科省に改革情報を与えながら、文科省と違う路線を用意しているからだ。それは、文科省は90%の公立学校をコントロールするのに対し、経産省は、教育界とつながる企業やNPOをコントロールし、その団体と公立学校をジョイントさせるようにしている。そのジョイントの方法の1つが、企業やNPO団体との連携プロトタイプづくりを私立学校と行うという方法。

★もちろん、経産省と連携する企業やNPOの多くは、自分たちがコントロールされているのではなく、あくまでもコラボしているのだと考えているだろう。そこにかかわる私立学校もそうだ。しかし、今回も未来の教室の取り組みを行っている団体の面々をみていて、ああ、ちゃんとそれを自覚していて、コントロールとコラボレーションという置換という情報操作、つまりダブルスピークを戦略的に活用しているところがあるなあと。

★そのことを具体的に指摘すると、炎上しそうなので、具体名はだすのはよそう。まだホンマノオト21は、この国の危うさを発信していく必要があると勝手に思っているし、その危うさを再帰的近代によって回収し再生産するのではなく、循環的近代によってリスク浄化持続可能性を実践する方法論を模索している私立学校の応援もしたいと思っている。私自身もその方法論を実践する団体をつくっている最中ではある。

★ともあれ、経産省と連携しているというダブルスピークを見破っている団体とそうでない団体は、まず私立学校と組んでプロトタイプをつくり、公立学校に事例として流し込んでいる。

★だから、この政財官学の一蓮托生空間はかなりどうしようもない。

★しかしながら、ダブルスピークを活用する経産省と団体の連携は2通りある。経産省の恐ろしいところは、その両方を仕切っている点だ。もちろん、仕切られている方はそんな自覚はないだろうが。

★どうも経産省のミームには勝海舟のマインドがある。改革を推し進めながら、失業した武士を救済するために動くのだ。だから、改革を推し進めるも、いつのまにか旧体制のメンバーで改革がまことしやかに運営されてしまうのである。

★今回も教育改革をおしすすめながらも、文科省によって変われない保守的な現場を救済する動きをとるように動いている。その象徴がアクティブラーニングを「主体的対話的で深い学び」という言い換えだ。これによって、現場は、一方通行的講義形式から問答型の講義を行えば、対話は保てるし、問答という対話によって主体性も養えるし、問答は深い学びを誘発するとなって、何も変わらないということになるのである。変われと言いながら変わるなというダブルバインド状態が現場では生まれるのである。

★ただ、経産省が流し込んだプロトタイプによって、またエドテックを中心とするそれを推し進めた外部団体との連携によって、教えない授業という置換え表現で、アクティブラーニングを行う学校も出てくるから、経産省としては成功したわけである。

★しかし、経産省は、それで満足するわけではない。今度はアクティブラーニングをPBLと置換え表現してまたダブルスピークを行うのである。これが未来の教室事業の流れである。

★文科省は、この動きは、またPBLと置き換えたダブルスピークだから、自分たちと同じ方向性だと安心しきる。

★そこが、経産省の思うつぼなのだが、経産省のこのダブルスピークは、変わろうとする現場と変わらない現場との格差を鮮明にしようというシナリオなのである。現場では、このことはあまり問題ではない。というのは、統廃合は少子化によってしかたがないから抵抗できないし、あとは税金が形式的平等によって配分されるからである。ここが守られていれば、問題はない。

★しかし、特区活用だとか学校教育法の改正によって、合法的に、公立学校でもほんの少し配分優遇されるところも出てきている。プロトタイプを提供してきた私立学校の中には、この動きに経営上圧迫されているところもでてきているぐらいの本当はすごい勢いなのだ。

★経産省のねらいは、この改革格差を税金配分格差にもっていこうとしているわけである。しかし、これは一気にやるとさすがにヤバイ。そこで、ゆっくり見えないところで迅速に行っている。

★未来の教室では、HTHをモデルに多くの団体が動いている。しかもその象徴がPBLなのだ。そして、探究を中心とする教育活動をPBLの場とすることによって、このような外部団体が学校に入り込めるようにしたのである。探究の授業と教科授業が結びつく図式がシンボライズされているが、本当のところは結びつかないし本当に結び付けようなどとは思っていない。結びつける≪媒介項≫を作ろうとしないのが証である。もっとも外部団体は、HTHのPBLにあるこの≪媒介項≫を認識するフィルターをもっていないから、行動心理学的にアクティビティのつなぎあわせのパッチワークでPBLを構成するから、結びつけると言いながらそうしないダブルスピークをここでもうまく活用する。

★経産省と連携する団体には、二通りあり、改革を推し進めながら、現場は変わらないというダブルバインド状態をつくりだし、そのサポーターとして公立学校に入り込み税金の回収装置をつくろうとする企業が1つ。これはこれで経産省が描いている格差を生み出すシナリオとして必要なのであるが、もう一つが経産省はやりたいのである。そしてそれを自覚している団体がある。この団体の動きはかなり大きい。

★私立学校にとっては、少しヤバイ。特にその団体と同業の団体がバックにはいっている私立学校はイイトコどりされて、気分が悪そうだ。しかし、そこも大学合格実績を出せといわれる塾に占拠されているから、新しい動きは鈍ってしまう。

★経産省が改革モデルにしているのは、シリコンバレーのGAFAである。もちろん、そう公言はしていない。OECD/PISAの情報なども流し、それを学力調査テスト→適性検査→高校入試の適性検査型化→大学入学共通テストという流れまでつくっている。

★シリコンバレーの教育改革は、思考力重視だから、この流れはよいのだと。すると、現場でも、シリコンバレーとくに、HTHはこの大学入試改革の一連の改革とシンクロしているとダブルスピークの効用が生まれているのだ。

★しかしながら、シリコンバレーは、そんな小さな思考力改革程度で満足するはずがないから、シンクロなどするはずがないのだ。経産省はそこも計算済みなのだ。シリコンバレーの仕掛け人はスタンフォードとハーバードとMITである。米国はめちゃくちゃ格差社会である。州によって教育の運営が独立しているから、教育予算としての税金回収額は、エリアの住民が富裕層かそういでないかによって想像を絶する格差がある。

★シリコンバレーエリアやボストンだけでOECD/PISAのテスト結果を出せば、フィンランドや香港など軽く圧倒するだろう。そもそも、シリコンバレーは、ボストンとも違い、PISAをはじめテストなどどうでもよい。

★HTHの事例が中心のMost likely to succeedの上映会やDVDをみて、感動する日本の先生方は、この米国の富裕層の教育改革を見て、感動しているわけであるが、現場に帰って途方に暮れる場合がほとんどだろう。もちろん、それを行えるというか現場に変容させる力をもった先生もいる。そういう先生はそのような改革を行える学校にスカウトされてもいるからなおさらだ。

★しかし、経産省はそんな変容すらも考えていない。もう一度、冷静にトニーとテッドというダブルTが書いた本を読んでみるとよい。経産省がデジタルファーストとダブルスピークで呼んでいることの、本当の姿がわかるだろう。

★いったん幕藩体制を破壊し、新体制で旧体制の人間が生きて行ける勝海舟シナリオプランニングをしているのだ。そのとき残るのは、英語とPBLとICTというあたかも学びのツールとよばれていた≪関係態≫である。実はそれだけでできてしまう学校が残るのである。しかも、それはもはや高校でも大学でもない。中世から創り上げてきた世界の大学を頂点とする教育ピラミッドシステム(もはやコスパが悪すぎる)そのものの創造的破壊がダブルTの目的であり、それはその背景にスタンフォードとハーバードの戦略がある。その戦略をうまくアレンジしたのがミネルバ大学だが。

★経産省が憧れているのは、この世界である。ただし、ダブルTと違うのは、勝海舟のDNAを継承してしまっていることだ。こうなると、俄然、勝海舟と違う路線を歩んだ、明治の私学人のDNAが、経産省とは別路線で、シナリオプランニングを果たすのである。そのような私立学校を応援するし、私も先生方といっしょに実際に創ろうと思っている。

★経産省は、再帰的近代路線がベースだが、本来の≪私学の系譜≫は、循環的近代路線である。格差による排除から、循環による関係創造へ。同じPBLでも創造するものが全く違うのである。

広島原爆の日に思う 8時15分

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