« 2019東京都私立学校展(2)北区と文京区が熱い! | トップページ | 2019東京都私立学校展(4)今回の私立学校展のパラダイム転換 海城がお手本の役割果たす。 »

2019年8月18日 (日)

2019東京都私立学校展(3)渋谷―自由が丘―二子玉川―渋谷の東急プレミアムエリアが熱い!

★渋谷―自由が丘―二子玉川―渋谷は東急線と田園都市線で囲まれる東急プレミアムエリア(と東急電鉄が呼んでいるらしい)。三田国際が誕生した時と同じくして、楽天が二子玉川に本社移転してから、英語とICTは当たり前という雰囲気が流れているエリアである。実際にインターナショナルスクールもあったり、東南アジアの高度専門人材が、日本語を学んだりしているエリア。都立大にはケニア共和国大使館もあり、グローバルシチズンが多く居住するエリアでもある。

Dsc00152

★したがって、このプレミアムエリアでは、破格のグローバル教育や、グローバル教育の根底にあるダイアローグという意味での≪対話≫ベースの教育を行っている私立中高一貫校が多い。八雲学園は、2年前に共学化したが、そのときにRS(Round Square)という世界の私立学校のエスタブリッシュスクールのみが加盟しているコミュニティに加盟した。

★それらの私立学校は、当然グローバルシチズンシップを発揮した世界の民主主義と平和を目指す教育をし、なんといっても極限の社会貢献としての奉仕活動を行うプログラムを有している。何せ第二次世界大戦のファシズムに屈せず、極限のサバイブ経験をもつクルト・ハーンが呼び掛けたコミュニティで、日本からみていると想像もできないコミュニティの深い教育観が横たわっている。

★ケニアのRSに加盟している私立学校が研修旅行で東京に立ち寄ると、RS加盟校同士は、国際交流をするのに、電話一本、メール一本でつながってしまうから、八雲学園にも大使館を訪問した後に、立ち寄るという自然体の国際交流が行われる。毎月のように、世界のRS加盟校から交換留学生が訪れている。もちろん、受け入れたら、八雲学園から相手の加盟校に留学することができる。航空運賃や生活費はかかるが、基本あとはお金はかからない。互いにホームステイをする。

★よくあるエージェントが仲買する留学は、ホームステイはちゃんと費用をとるのが当たり前だが、RSの中での交換留学はそれはないのだ。八雲生が世界から自分の未来を見て、行き来しているというのが、自然な感じなのだ。そこは、今までのグローバル教育では味わえない大きな特色だろう。

Dsc00124

★そして、なんといっても、三田国際のブースに受験生・保護者が殺到していたのは、もはや年中行事化していて、このプレミアムエリアには、本当に進取の気性に富んだ保護者が多いのに驚かされる。

★このエリアには、SGH認定校の昭和女子大もあり、美術系のベースがあり、海城学園よりも先に取りいれたPAなどの対話をもとに自分の世界を深められるトキワ松もある。

Dsc00164

★岩崎家と松方家は親戚関係だが、その両家にゆかりのあるシスターが、私財をなげうって、戦後路頭に迷う子供たちを救うべく立ち上がってできたのが聖ドミニコ学園。一学年80人のスモールサイズがゆえに、質の高い教育が蓄積されてきた。そして今年から、インターコースをつくり、PBLやICTを埋め込んだ授業も展開し、13世紀にカトリック教会を救った聖ドミニコの≪対話≫を現代化した。再びドミコの精神を必要とする時代の激変がやってきたという使命感から教育のアップデートを行ったということだ。ドミニコ会の長い歴史の中で、たおえば、ルネサンス時代ユートピア都市構想を打ち出したのもドミニコ会士だったし、大航海時代の南米諸国をスペイン艦隊から救うべく殉教したのもドミニコ会士だ。

★なんといっても、カントもヘーゲルも、ハイデッガーも、あのマルクスでさえも乗り越えようとした西洋の哲学の基盤を創ったのもドミニコ会士だ。フランス革命をサポートした修道士の中にドミニコ会士もいた。もちろん、宗教改革の時にプロテスタント運動の波に撤退せざるを得ない地域もでたという歴史もあり、救済の歴史ばかりではない。何せ資本主義の萌芽はドミニコ修道会からという説があるくらいだから、光と影の歴史はあるものだ。ディベートの基礎もドミニコ会士がつくった。そこから中世以来の大学システムができていった。

★今回の改革で、ドミニコの精神を現代化することになれば、女子校として新たな光を放つことになろう。そもそも女子修道会の立ち上げをサポートしたのもドミニコ会だと言われているぐらいなのだ。

★東京都市大等々力は、五島慶太翁の精神を現代化し、その勢いは三田国際と競る勢いである。もともと英語教員を目指していた五島慶太。英語でサムエル・スマイルズの資本主義のベストセラー「自助論」を読んでしまったがために、大東急を形成するまでに自分のキャリアを変えてしまった。

★しかし、その晩年は宗教的精神と教育に回帰していく。アートと宗教的精神は、等々力から近い五島美術館に行けば味わえる。教育は東京都市大等々力にまさにある。

★このプレミアムエリアのすぐ延長上に洗足学園や森村学園がある。今回は東京都私立学校展だったから、参加していなかったが、当然、両校のグローバル教育が破格なのも言うまでもない。

★渋谷には渋谷教育学園渋谷もあり、等々力を支えている五島育英会の本体もある。エリアに光をあてるのは、そこに進取の気性に富んだ保護者がどれぐらい居住しているかという教育の新市場へのニーズがあるかどうかを判断するときに重要であろう。

|

« 2019東京都私立学校展(2)北区と文京区が熱い! | トップページ | 2019東京都私立学校展(4)今回の私立学校展のパラダイム転換 海城がお手本の役割果たす。 »

教育イノベーション」カテゴリの記事