PBLの世界(22)経験とアクティビティのコンビネーション ②たとえば、Speed Dating。
★PBLのスタート時点で、私がよく使う≪アクティビティ≫は、<Speed Dating>。スピードデートのアクティビティは、生徒間の一連の短い一対一の対話。一方が30秒話した後、次は、話し手と聴き手が変わり、また30秒間話す。そのワンセットが終わると、パートナーを変えて、同じことを繰り返していく。もちろん、時間は1分でも2分でもよい。設定しだいである。
★シンプルな<アクティビティ>だが、なかなか奥の深い伝統的なアクティビティ。探究の<経験>をするとき、未知の事象や現象に出遭う。自分たちが知っている知識や情報を出し合って、フェルミ推定さながら、仮説を立て、リサーチをしながら検証していく。時間的には何時間も、何日も、何年もかかるものまである。
★たいへん重要な<経験>であるが、これを普段の授業に持ち込むことはできない。しかし、そのプロセスをシンプルに短時間に行うことは<Speed Dating>だと可能だ。そして普段の授業で行っているから、このような未知への対応力のベースができ、再び<経験>にも役立つという循環が生まれる。
(聖学院授業デザイン研究研修のワークショップは<Speed Dating>から始まることが多いし、ここに発見の種が生まれる場合が多々ある)
★当初は、米国では、クラスがすでに多様性であるから、すべての生徒が互いに交流し、コミュニティの感覚が生まれてくることを期待して行ったとされている。また、基本的な知識を構築したり、より自由な質問でより深く調べたりできるようにすることもできるので、知識を暗記する以上に知識の獲得のプロセスを疑似体験でき、非認知的能力と認知能力の化学反応が起きやすい<アクティビティ>。
★さらに、いきなり<ディスカッション>というアクティビティでは、静かでシャイな生徒にとっては、ストレスが高いが、一対一ということで、パートナーの設定機会になる可能性も大きい。チームビルディングあるいはコミュティデザインとしてのクラス運営の準備段階としても有効である。
★そして、わずか5分くらいで、深く考える楽しさをゲットできるのが興味深い。それには、しかし、ジグソー法を融合する必要があったり、トピクや問いの設定の工夫が必要となり、ただ一対一の対話をすればよいかというと、そうではない。なかなか奥の深い<アクティビティ>である。
★システム思考的側面から言えば、<Speed Dating>の≪対話≫では、具体と抽象の置換スキルをよく使うことになる。また思考スキルのマッピングとしては、コンセプトマップを活用したのと同じ効用がある。
★思考コードで、A2、B2のキーは必ず使うことになるが、C2やC3のキーを使うかどうかは、問いの設定次第。いずれにしても、知識を生み出す気づきが生まれるという点では<経験>と同期する。<アクティビティ>はメタ経験ととらえ返すこともできるから同期するのは当然ではある。
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