令和元年度福島県私学教育研修会(2)いわきで文化学園大学杉並と大妻中野に出会う。
★今回の福島県私学教育研修会は、いわき市で行われたわけでが、驚いたことに、全体会の学校視察方向の部で、文化学園大学杉並と大妻中野の報告が行われたことだ。良く知っている学校について、こんなに的確に詳しい報告を聴くとは、改めて、すてきな学校であると感服したのであるが、福島私立中学高等学校協会の先進的な教育を学ぶ意欲はもともと知っていただけに、そのリサーチ対象校に両校がはいっていたとは!わがことのように嬉しかった。
★文化学園大学杉並は、日本大学東北高等学校の教頭渡邊弘幸先生から報告された。BC州の教育省と連携しているDD(ダブルディプロマ)コースの克明な説明がなされた。アクティブラーニング型授業の中でSTEAM教育が浸透している点、オールイングリッシュのすさまじさ、1期生13人の大学進学実績の破格さなど、参加者も目を丸くする内容だった。
★それと、DDコース以外のコースについても言及があり、このコースがDDコースのエッセンスをとり入れながら進化していくことにも触れ、むしろこのコースの変化の行方が、福島でも参考になるのではないかという鋭い見識を示された。
★どんなに優れた海外の教育も、そのまま日本の教育に結びつけるには、様々な要因と条件がそろわなくてはならなない。文化学園杉並のようにすぐにはいかない。どのように換骨奪胎できるのか。そういう意味で、革新的な風を大いに巻き起こしていた。
★大妻中野については、いわき秀英中学・高等学校の教頭高木千明先生が報告された。大妻中野の短期間に教育改革を実行した機動力の話が明快に伝わった。また、ラテラルシンキングやクリティカルシンキングを養うアクティブラーニングのリーダーの数学科の高村先生の授業の様子についても説明されていた。
★高村先生に限らず、電子黒板、1人1台のタブレット型パソコンを使ったアクティブラーニングの様子についてきっちり報告書はまとめられていた。そして、全校生徒に対する帰国生の割合が、11%で、国内生との相乗効果が生まれていることも指摘されていた。
★大妻グループの中での存在感は、かなり戦略的なプランとその実行力にあることは何度も強調されていた。
★折しも、その夜大妻中野の教頭諸橋先生からメールが入った。私が福島にいることを知らずにだから、全くの偶然であるが、諸橋先生は改革機動力の次は徹底的に質の向上を果たすことで、カリキュラムマンジメントのプロジェクトが立ち上がっていて、順調に質の向上に向けて実践が進んでいるということだ。
★組織というのは、改革草創期は大きな決断の俊敏力と勢いがものをいうが、質の向上という持続可能性を高めるには、本質的な内容の密度を上げ続けなければならない。これは理想を実現するグリットである。要するに根性。
★舞台での派手な改革のあと、この舞台のバックヤードのモチベーションをいかに持続するのか。それが最も難しい。これがないと、改革草創期は勢いがあるが、3年後失速するという学校も少なくない。
★大妻中野はその落とし穴に陥らないように、大胆な改革と細心の注意を払った実行力の両輪を走らせているのである。
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