聖パウロ学園 3つのプロジェクトベースの授業
★聖パウロ学園は、濃密濃厚な高校3年間の教育が実践されている。濃密濃厚な質が生まれているのは、教師と生徒の≪対話≫が多角的に展開しているからである。
★同学園の主幹小島綾子先生(国語科教諭)によると、学内全体でPBL(Project Based Learning)の授業を展開する動きがでてきて、教師と生徒のみならず、生徒同士が≪対話≫を深めていく機会が増えているということだ。また≪思考コード≫も意識されてきたという。
★ただ、私立中高一貫校と違い、高校3年間で、生徒がそれぞれの道を見出し未来を拓いていくには、6年分の質を、いかに3年間で仕掛けるかということだと。
★自然体験学習や馬術体験など、学園のキャンパス内でできるので、遠出する必要がないために、時間的な短縮は可能だ。しかし、何より、森の中での共同生活や馬との≪対話≫という、なかなか体験できない機会は、他校にない気づきを生み出す可能性がある。
★他にも、ボランティア体験やキャンパス訪問、多様な英語研修体験、サイバー×リアルスペースでの国際交流も盛んだ。野球部、馬術部をはじめ部活も盛んだ。夏期講習などは、同学園に設置されている寮に滞在して、合宿形式で行われている。学びはなかなか厳しいが、協働生活は互いに励まし、厳しさを乗り越えられる。
★小島先生は、多くの経験は、興味や関心への気づきが生まれるが、体験すればだれもが気づきを得るというわけではない。常日頃の生活体験の中で、気づきが生まれる視点を持てる準備をしておくことが必要であると。そして、その多角的な視点は、高1から高2前期までの各教科の授業で行われるPBLによって得られるという。
★しかし、一方で高2の後半からは、興味と関心を広げるだけではなく、それをモチベーションにして進学への道を生徒が自ら開いていけるように、戦略的なPBLを各教科で展開しているという。
★ただし、この戦略的PBLは、今までは担当の教師の暗黙知として行われてきたが、今後は、可視化して、教師同士、教師と生徒で共有できるようにしていきたいと語られた。
★もともと、生徒1人ひとりとの≪対話≫を基調としたキャリア教育としてのPBLは3年間通して大きな流れとしてあり、そこに興味と関心を生み出すPBLと戦略的PBLの流れが合流して大きな勢いを生み出す仕掛けが毎年アップデートしていくという。常に変化を生みだしていくこの行動力は、聖パウロ学園の先生方の気概の真骨頂である。
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