PBLの世界(1)聖学院のレゴによるPBLの意義
★今月、週刊東洋経済(7月27日号)で、聖学院のレゴを活用した新型入試「思考力入試」が紹介された。そのことについてホンマノオト21でコメントしていると、児浦先生から今日はレゴキングを開催しますと連絡が入った。先に別件の約束があって、参加できず残念だったが、聖学院のサイトで即日その模様が発信されていた。さすがSNSを活用した広報戦略。児浦先生は、21教育企画部長であると同時に広報部長でもある。マルチプレイヤーの意味は、こういうところで功を奏する。まさにNew Powerの持ち主である。
(写真は同校ホームページやfacebookから)
★そういえば、児浦先生は国際部長でもある。したがって、聖学院の広報―入試―授業―グローバル教育―キャリア教育には、PBL(プロジェクト型学習)の一貫性がある。学内で、この一貫性とは何か?について対話があふれている。そして、実は、その一貫性の「X」なるものは、入試問題でもなく、教科の授業でもなく、キャリア目的でもなく、あらゆる目的的な学びから解放されたレゴキングという遊び=学びのイベントにヒントがある。
★このレゴキング大会は、もう8年続いているそうだ。もはや聖学院の教育活動の中の重要な位置を占めているとみなせるだろう。
★どういうことかというと、20世紀型の授業というのは、この「遊び=学び」というアクティビティを排除して、「勉強」だけの世界に偏ってきた。この「勉強」だけの世界の中でのランキングは「偏差値」によって決まってきた。この偏った基準で子供たちの才能を規定してきたために、「勉強」では見えなかった多様な才能の芽を摘んできた。
★その結果、未知なる出来事に対し、対応できない今日が訪れた。そこで、多様な才能が生まれる環境を取り戻すために、聖学院は、「遊び=学び」というアクティビティを取り入れたPBL授業を久しい間開発してきた。
★アクティビティとは体験することである。レゴキングによる体験は、レゴを使いながら問いに対応する事柄を制作物に置換する。そしてそのレゴによって表現された制作物を物語によってさらに置き換えていく。この物語―置換―レゴによる制作の循環が、創造性を生み出す仕掛けになっている。
★このレゴキングが、実に好奇心を膨らまし、レゴで自分の新たな思いが触発されては驚き、レゴキングというコミュニティをつくることに貢献する活動の中で、自分の新たな才能を他者によって評価されていく心地よさを生んだいく。遊びが面白いのは、これであり、この遊びのエッセンスを学びに取り入れて行っているのが聖学院のPBL授業であろう。
★入学後、生徒1人ひとりがそれぞれ才能を発見し発展させていく。学力だけではなく、知性や感性も飛躍的に伸長する。レゴキングという才能を顕在化する遊び=学びが聖学院のあらゆる教育活動に一貫して流れる「X」なるものだったのではあるまいか。
★今後、SGDs的なアプローチもあり、メディアは、教育の質について語ることになる。この切り口からロールモデルになる学校として、今度もまた聖学院は注目されることなるだろう。
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