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2019年7月17日 (水)

【未来の自分を創る中学入試問題01】首都圏模試センターの分析を生かそう!

★「中学入試」と「中学受験」という言葉は、類義語であるが、「中学入試」は「入試を通してキャリアを考える場の機会」という側面が強く、「中学受験」は、「受験生が志望校に合格するために競争に勝ち抜く場の機会」という意味が強いような気がする。「中学入試頑張ろう!」「中学受験頑張ろう!」とはたしかに使う。しかし、「中学受験生がんばれ!」とはよく言うが、「中学入試者がんばれ!」とはあまり使わない。やはり違いはあるようだ。主語が違うということなのではあるが。

★「中学受験」という言葉は、勝ち抜くヒーロー物語として、感動物語がよく語られてきたが、それは涙をのんだ多くの生徒の上に成り立っている。そこをカウンセリングとして、合格した学校が第一志望校なんだよと発想の転換を塾の先生方は熱意と愛をこめて行ってきた。ここにもう一つの大きな感動物語があった。しかしながら、この感動物語に乗れない受験生もいて、メディアを騒然とさせるような悲惨な事件のきかっけになることもある。メディアに載らなくても、ギリギリくるしんでいる中学受験生もいることは否めない。

★だから、そのような受験生の救いの場の大きな役割を果たしているのが、おおたとしまささんや中曽根陽子さんの著作であり講演であろう。

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★そして、実は、「中学受験」という意味に「中学入試」という意味を付加することによって、中学受験の2つの感動物語以外の路線もあるのだということを示す動きを「首都圏模試センター」は追加している。

★それは、一つは、新タイプの中学入試の情報をきちんと集め、この新タイプ入試によって、中学入試の3つめの感動物語があることを取材していることだ。首都圏模試センターが情報を収集整理して発信することで、2020年の大学入試改革とシナジー効果を生みだして、新しい中学入試のウネリを創ったことは確かである。

★それからもう一つは、同センターの教務陣の問題作成の方法と実施結果の分析の方法の大きな転換である。その作成方法や結果分析の方法の基準に「思考コード」と「思考スキル」を開発導入し、それを生徒と共有までしているのである。

★そして、今年になって。「偏差値5を上げる!この1問」という分析を、「統一合判」終了後に掲載している。これもまた知のイノベーションだ。

★今回の国語の「この1問」などは、「誤答率」より「無答率」が多いことがデータで示されている。記述式だからともしかしたら単純に回避してしまった生徒もいるだろう。たしかに「思考コード」は「B2」だから、論理的にタフな問題である。しかし、解答は課題文章の中にきっちり書いてあるから、それを見つけるとよいのだということを丁寧に示している。

★これは、合格するためには、この問題を捨ててもよいが、そういう「中学受験」的な側面よりも、このような論理的にタフな問題も諦めなければ大丈夫だよ、自分の未来を創るには、この「諦めない」気持ちがあるから、タフな論理を複数の思考スキルを組み合わせて考えていけるのだというエールを生徒に贈っている。

★算数もまた実に興味深い。正答率が「32.2%」、誤答率が「56.7%」、無答率が「11.1%」の問題を取り上げている。この問題が出来るようになれば、たしかに他の問題にも応用が利く大事な「思考スキル」を身に着けることができるから、「誤答率」や「無答率」が下がり、「正答率」が上がるがる可能性がある。

★この問題は「思考コード」は、B1だから実はそれほど論理は複雑ではない。それゆえ、「無答率」は低くなっている。要するに「誤答率」が高くなっている。その理由は、問題文の情報整理がきちんと行われていないからだという指摘が、首都圏模試センターの教務陣からなされている。実は、算数や将来の数学の問題文は、いったん情報整理して、箇条書き(フローチャート化ということ)とか図とか表とか、グラフとかに「置き換える」必要がある。もちろん、試験最中は頭の中で行っていかないと時間が足りなくなるから、そこはトレーニングが必要。同サイトの中で、その情報整理の仕方が丁寧に示されている。大いに参考になるだろう。

★理科も算数同様、問題文の情報整理を、足し算引き算で考えるのか、比という関係でとらえるのか、立ち止まって考えてみようとフィードだバックされている。この問題は、すべてトンボの数を数えきれないから、だいたいの推定をするのであるが、この感覚はフェルミ推定と呼ばれるタイプのもので、大学や社会にでたときに、非常に役立つ論理的思考というより創造的思考の一種なのである。このような問題に挑戦すること、そしてたとえ間違ったとしても振り返ることは、もちろん合格への道につながるが、それ以上の大きな収穫があると考えてよいのではないか。

★社会もまた実に興味深い、今回も資料を読むことによって根拠を見出すという思考のプロセスを必要とする問題が取り上げられていた。「無答率」が59.8%であるから、明らかに暗記型の問題以外は回避するという姿勢が社会の勉強では多いようだ。しかし、今回日清戦争と日露戦争の「比較」をして違いが分かれば、その違いについて重なるルールが資料の中にあるから、それを根拠として記述できる問題であることがわかる。

★日清戦争と日露先生に関しては、それぞれ関連情報が知識として整理されて格納されていなければならないが、あとは、目の前の資料とどう結びつけるかということ。この「結びつける」という推論は、記憶に依存するとなかなか飛べない。勇気が必要んである。だから、思い切って間違ってもよいからまずはチャレンジしてみようというエールが贈られているのである。「無答率」より「誤答率」が多くなることの方が、まずは望まれるということなのだ。

★今新しいトレンドとして勢いを増している「新タイプ入試」は、以上のような問題を考える時に使われた「思考スキル」を丁寧に、試験最中にトレーニングしながら思考して解いていく問題が出題される。いきなり上記のような問題を解く前に、情報整理やフェルミ推定の試行錯誤をやてから、本格的思考にチャンレンジするというタイプ。したがって、以上のような思考力を身に着けるには、各学校で実施される新タイプ入試の対策講座に参加してみるのも一つの作戦である。仮に新タイプ入試を受けなくても一度はチャンレジしてみてはどうだろう。新しい気づきがあるかもしれない。

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