経営陣の相互研鑽PBL研修 聖母女学院×香里ヌヴェール×アサンプション
★学校法人聖母女学院の理事長赤野先生が主宰する聖母グループの教育研究センターは、毎月理事長・理事・校長・教頭などが集結してPBL授業の研修をしている。
(香里ヌヴェール学院校長池田先生のワークショップから始まった)
★3年前に、香里ヌヴェール学院とアサンプション国際が、同時に、共学化して、21世紀型教育を全面展開していく改革を行った。生徒も集まり、改革第1ステージはまずまずだった。そこで第2ステージとして、カリキュラムの充実と新たなキャリアデザインの開発へと向かうことになったが、そのときに両校の校長も新しくなった。そして、香里ヌヴェール学院の経営母体の聖母も小中高の校長が新しくなった。
★学校法人聖母女学院グループとアサンプション国際は協力しながら、日本の教育改革を牽引するミッションを引き受けて、新たにスタートしたのである。
★そのとき、理事長赤野先生は、学習する組織をベースにするカリキュラムマネジメントをするには、授業の核心部分であるPBL(Project besed Learning)の根源的な精神を理事長・理事・校長・教頭などの経営陣がいつも対話し、共有し続けることによって、良質な教育を生み出す持続可能性のメカニズムを創った。それが聖母グループの教育研究センター(理事長、理事、インターナショナルプリスクール、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の校長などがメンバー)の設置であった。
★経営陣が一堂に会してPBL授業の研修をするというのは、おそらく他校では考えられない。経営陣は経営のことにしか興味と関心がなく、教育は校長に丸投げというところがほとんどだろう。しかし、本来組織は、経営トップチームは、教育と経営の両輪のビジョンを共有し、それがどう実現しているのかをマネジメントするのが当たり前なのだが、学校組織というのは株主総会があるわけではないので、意外と教育と経営の両輪を回すことをしないままになっているケースが多い。
(香里ヌヴェール学院小学校の西山校長も鋭い視点を披露)
★学校の改革と言われる場合、一般に校長と現場の話のように思われるが、実は理事会自身がリーダーシップを発揮することが、本来は重要である。赤野理事長はそこを真剣に捉えなおし、3年間着実に歩を進めてきて、4年目を第2ステージとしてジャンプしたのである。
★この教育センターの研修を3月からの準備段階も含めると、6回目を迎える。今回は香里ヌヴェール学院の池田校長のSGDs関連のワークショップを行った。本来3時間で行うものであるが、30分で行った。というのもワークショップを共体験して終わりではなく、そのワークショップの根源的な精神のリフレクションをするもう一つのPBLワークショップがあるからである。
★池田校長は、ドネラ・メドウス教授の影響でできあがったあの「世界がもし100人の村だったら」を紹介した。ドネラ・メドウス教授が加わったローマクラブの「成長の限界プロジェクト」でも使われている「データスケープ」を活用して、身近な現象に実は地球規模の問題があることを示すポスターをつくるワークショップを行ったのである。
★実際に生徒と行う時は、そのポスターが示す問題は、SDGsの17のカテゴリーのどこに入るのかまで考えていく。パトスとロゴスの弁証法が展開するのだが、今回は授業そのもののワークショップではなかったので、そこまでは行わなかった。
★経営陣が、池田校長のワークショップを共体験したうえで、改めてPBLの基本要素である「ファシリテーター」と「自分ごと」について、イメージを共有するメタワークショップに進んだ。
★おもしろかったのは、それぞれが多様なイメージを持ちながらも、ある共通の志向性が存在していたというコトが確認されたことだ。このような研修の最後は、とかく文言を定義して統一して共有できたつもりになる要素還元主義という関係主義であるPBLとは真逆の罠に陥りがちだが、この研修では、分かち合いというそれぞれの想いが関係しあって目に見えない根源的な魂がそこに広がることを共感する対話が貫徹していた。
★この相互に関係し合いながら目に見えない根源的な魂の存在を共感することこそ、ドネラ・メドウス教授が活用してシステム思考そのものである。このシステム思考はピーター・センゲをはじめMITメディアラボが提唱するPBLのベースでもある。そして、このPBLは、世界のPBLのプロトタイプでもある。レゴで展開している学びは、みなこれである。
★かくして、聖母グループとアサンプション国際のPBLは、先生方1人1人が創意工夫してオリジナリティが高いと同時にそれらが関係し合いシステム思考という土台が大回転しているのである。次回は最初のワークショップで、香里ヌヴェール学院小学校の西山校長が登場する。今から楽しみである。
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