週刊東洋経済の特集「中高一貫校」(2)和洋九段女子のPBL入試紹介される
★週刊東洋経済7月27日号の記事「中高一貫校の入試スタイルが激変し始めた事情/理数教育注目で創造力や思考力試す問題続々」で和洋九段女子のPBL入試も紹介されている。
★和洋九段女子の中学校2までの授業は、PBL型(Problem based Learning)。同じPBLでもProject based Learningとはだいぶ授業の様子が違う。ペプシとコーラーのちがいくらいしかないともいえるし、全く違うものともいえる。それは聖学院のPBL型の思考力入試と比較すれば一目瞭然である。
★女子校と男子校という違いもあり、和洋九段女子のPBLは、課題設定が明瞭である。聖学院も課題設定は明瞭だが、どちらかというと生徒自身が思考の過程で気づいた課題にシフトしていく自由度がある。一方和洋九段女子のPBLは、目標に向かって多様な思考過程を楽しんでいくというもの。女子校の場合は、どうしても安心安全が大前提だということもある。
★しかし、共通点は、どちらも過程を大切にするということなのである。ただし、聖学院は発想の質も最終的には問うということになる。
★公立中高一貫校対策の適性検査型入試と比較的似ているのは和洋九段女子の方だろう。
★同記事でも、次のように紹介されている。
≪PBL型入試では数人のグループを組み、与えられたテーマについて個々に考えたのち、議論を重ね発表する。例えば「桃太郎になったつもりで、鬼ヶ島に連れて行く3種類の動物を考えよ」というテーマが与えられる。試験ではタブレットが貸与され、足りない知識は検索することができることから思考力に重きを置いた試験であることが分かる。
アイデアの質よりも、発表に至るまでのプロセスを評価することに重点を置いている。議論の進行を担ったり、発表役を買って出たりする子どもが有利になるのではと考えがちだが、「ほかの子どもの話を聞いてうなずいたら加点をするなど、相手を尊重したり協力したりできるかを重視している」(中込真校長)という。≫
★和洋九段女子のPBL入試は、入学後のPBL授業に見事につながっている。聖学院のように生徒が教師を乗り越えていくことが要求されているのに対し、和洋九段女子では、教師と生徒がいっしょに学びながら、生徒の自己実現を可能にしていくというカリキュラムになっている。
★同じPBLでも、問題解決型と創造的思考型という違いがあり、問題解決型は女子校に好まれ、創造的思考型は男子校に好まれるかもしれない。女子校と男子校のそれぞれの良さが、学びの方法の違いに現れるということだろうか。
★もしそうだとしたら、女子校の価値と男子校の価値は、授業の価値観によって規定される時代がやってきたといえるかもしれない。実におもしろい時代の到来だ。
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