PBLの世界(4)アサンプション国際小の今泉先生との対話。クリエイティビティのジレンマの発見。
★アサンプション国際小学校の先生方との研修終了後、今泉先生が、5年生の自然教室体験の事後学習で新聞づくりをしていることについて話かけてきてくれた。生徒1人ひとりが、体験した事実やその事実から関連する背景について調べたことを記事にしている。そして、自分なら何ができるのかコラムを書くところまでチャレンジしている。1人ひとり個性的な新聞が出来上がっていた。
★そして、今泉先生は、≪思考コード≫を基調にして自然体験の新聞づくりの「ルーブリック」をこんなふうに作ったとみせてくれた。すると、そのルーブリックと生徒1人ひとりの新聞を照合すると、生徒の新聞の編集の力点がどこにあるのかがみえてくる。
★事実もきちんとまとめ、事実の背景にある事柄も調べ、自分ならどうするのかコラムも完璧に編集している新聞が幾つかあった。客観的な記事からクリエイティビティまで、ワクワクしながら編集している様子が目に浮かぶようだった。TOL(Tornade of Learning)が生徒の内面からあふれ出ている制作物だった。
★一方で、事実をこれでもかというほど詳しく書いて終わってしまっている新聞もあった。また、コラムの字数が圧倒している新聞もあった。
★それはそれで、情熱がこもっていてよいのだ。そこで今泉先生は、もしC軸まできちんと書き込むことがゴールだとすれば、生徒たちはきっとチャンレンジしたでしょう。しかし、今回は思考コードは予めシェアすることはしなかったということだった。
★しかし、そのことによってかえって、どの軸がその生徒にとってワクワクするのか個性やもしかしたら才能が見えたように思えますと。
★すなわち、今泉先生はトルネードは、C軸だけで生まれるわけではなく、A軸で生まれる生徒もいるし、B軸で生まれる生徒もいると。C軸までいくことをゴールにすると、もしかしたら、生徒1人ひとりの才能を摘んでしまうかもしれないというのだ。
★PBL授業の≪クリエイティビティのジレンマ≫を今泉先生との≪対話≫で発見した。小学校のPBL授業では、A軸もB軸もC軸も多様なアプローチで授業の展開を仕掛けるも、C軸が不得意だからダメなのだというような評価をしては危険だということ。このような視点は、今泉先生をはじめ、アサンプション国際小学校の先生方が生徒1人ひとりの学びの構え思考過程をじっくり観察したり、ふだんから対話をしているからわかることである。
★知識と思考の相互作用によるダイナミズムこそが学びであって、知識より思考が大切とか、知識がなければ思考はできないとか、理解より創造がレベルが高いとかいう発想から学びの革命へのシフトが、アサンプション国際小学校のPBL授業だと改めて気づいた。そしてこの発想は、おそらく世界標準の動きとシンクロするだろう。
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