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2019年6月 7日 (金)

【未来を創る学校02】「主体的・対話的で深い学び」とグローバルシチズンシップ

★「主体的・対話的で深い学び」というのは、今回の学習指導要領の「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」のうちの「どのように学ぶか」に対応する領域。このように学んで「何を学ぶか」というと、それは学習指導要領に規定されている学習内容。しかし、知識だけではなく、資質・能力=コンピテンシーもその内容に入っている。

★ここで、しかしながら、終わるのではなく、「何ができるようになるか」も問われる。つまり、それは「①知識及び技 能、②思考力、判断力、表現力等、③学びに向かう力、人間性等」の学力の3要素ということになるのだが、これを学習指導要領では、資質・能力=コンピテンシーと置き換えている。この3つの柱と学力の3要素の関係は複雑だ。

★この内的連関を的確な図で示しているものは、今のところない。そのうちでてくることを期待し、なんでこんなことをやるのか、学習指導要領ではどうなっているか今一度確認してみると、「予測困難な時代に、未来の創り手となる」人材が生まれることを期待しているわけだ。これはある意味、グローバルシチズンシップが生まれる学びにしたいというコトでもあろう。

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(昨年の水都国際中学校・高等学校の説明会でミニPBLを挟みながらスピーチする教頭太田晃介先生)

★ということは、グローバルシチズンシップを生み出すには、ふだんの授業が「主体的・対話的で深い学び」=「主体的学び×対話的学び×深い学び」である必要がある。学習指導要領は、一部の教師、一部の教科に限定することはない。すべての教師、すべての教科で行うというコトを期待している。

★今春開設した大阪市立水都国際中学校・高等学校では、生徒の主体的な動きが半端ないと聞き及ぶ。自主的に勉強するとかいう程度ではなく、自分たちで自分たちの学校を創っていくのだという意志をもって、生徒会も部活も、ビジョンから企画から立案して先生と交渉・議論する環境になっているようだ。

★外部のコンテストやトビタテなどの留学も、協働してどのように挑戦し活用していくか話し合うプロジェクトが自生することもしばしばだということのようだ。まだ開設して3カ月目だというのだから驚きだ。

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★昨年の学校説明会では、教頭太田先生は、レゴを使ったミニワークショップを行いながら、受験生と保護者に、PBL授業体験を実演した。そして、公約通り、すべての教師が、PBLやアクティブラーニング、inquiry based learningなど手法は様々だが、とにかく「主体的・対話的で深い学び」を実行しているという。

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★中原淳教授や溝上慎一教授がトランジション研究を行っているが、このようなPBLで学ぶ生徒や学生が、企業にはいっても、NPOで活動しても、起業家となっても、活躍するというデータエビデンスが蓄積されているようだ。

★このことは、まだまだ明らかでないから、学習指導要領の改訂が学校教育法改正に伴っていることを知っていても、動かない教師もいるかもしれない。しかし、法を尊重しないという意味ではシチズンシップとはいえない。すくなくとも、そのような教師の実践する授業からは、グローバルシチズンシップは生まれてこないのは火を見るよりも明らかだ。

★水都国際は設立準備にあたって、カリキュラムばかりではなく人材採用も、当然PBLができるあるいはやろうとする意欲のある人材を登用している。このような環境から、予測不能な時代だからこそ、未来を自ら創る、つまり世界を創る渦を生み出していく人材が輩出される可能性がある。グローバルシチズンシップとは何者か?それはまだ確定されていない。しかし、水都国際が輩出する人材がそのロールモデルの1つになる可能性はある。

★今月末G20が行われるのは同校の隣接地帯。それゆえ、その準備が学校の近くでなされている様子を、生徒は今から見ている。まさにグローバルシチズンシップをかきたてる体験である。2025年の大阪万博も隣接エリアで行われる。ダイレクトにグローバルシチズンシップが生まれる環境でもある。

★自治体と民間のハイブリッドな学校として、期待がかかる。

 

 

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