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2019年6月29日 (土)

教師の雰囲気(04)かえつ有明の無私で穏やかな教師チーム③

★かえつ有明のドルフィン(図書館)は、アクティブラーニングのための空間が4箇所(1つは情報の部屋)ある。私が見学した5時間目と6時間目は、すべて使われていた。定期試験直前だというのに、その対策授業はやらないのだなあと。

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★他の教室はどうなっているのかと思って、合間を見て覗いてみた。篠原先生の技術の時間では、生徒たちはラジオ作りに没入していた。古賀先生の地理の授業は防災教育もかねてハザードマップやビデオまで活用していて興味深かったし、防災グッズの着用などもあり、かなり実用的な(オーセンティックというのだろう)授業が展開していた。

★実験室では、青木先生が静かに笑みをうかべながら歩いていた。生徒たちのプレゼンする声があちらこちらから染みとおってくる。定期テスト直前だから、テスト範囲の中で、自分たちが探究した内容のポートフォリオを使って、チーム内で発表していたのだ。

★青木先生は、生徒のそのポートフォリオをみせてくれた。自分から働きかけるのではなく、生徒の主体性に任せながら、絶妙なタイミングでフィードバックしていく静かでケアフルな教師の雰囲気が生徒の好奇心を探究心に変えていくのだろう。

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★再びドルフィンに戻ってくると大木先生の「羅生門」の文学授業が佳境に入っていた。

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★主人公の運命の分かれ道での葛藤やその境界線のゆらぎについて生徒は議論していたようだ。生きることと倫理のせめぎ合い。極限の状況をどう自分たちは受けとめれれるのか。そこから出発しなければ、羅生門の世界に入り込むことができない。文学を読むことのもどかしさ。論理的に読む以上に、極限の状況をどう理解できるのか。

★芥川龍之介の命がけのプロジェクトを、大木先生は生徒と共感できるのかどうか、ここにも、生徒ばかりか、教師も悩む姿を見ることができた。共感的コミュニケーションとは、このような苦悩をもともにできるということなのだろう。

★乗り越え難い苦悩を隠すことなく、生徒と共有する教師は、実は最強である。

 

 

 

 

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