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2019年6月20日 (木)

工学院 保健体育が20世紀社会が失いかけた「生活世界」を取り戻す。

★工学院の保健体育はおもしろい。以前柴谷先生の授業を見学した際にも感じたが、今回濱崎先生の中2の保健体育の授業を見学したその想いは確信に変わった。

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★人間の生活世界である環境は、身体脳神経系全体に影響するし、人間の身体脳神経系全体は開放系であるために、環境に配慮する視点は大切。したがって、濱崎先生は、その視点を身近な生徒自身の生活世界の1つ、自分の教室から思い巡らすトリガークエスチョンを出した。気づいたコトをロイロノートでどんどん共有していった。

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★そしてその足場作りができると、3人チームをつくり、どのチームにもそれぞれ違うシチュエーションが設定された環境のクエスチョンが提供された。各チームは、その生活環境の状況を<解釈>し、問題を発見して、快適な環境をどう作っていくのか議論した。このクエスチョンの作り方は、東大の帰国生入試の小論文問題と同構造だった。

★さて、そこで普通はいよいよプレゼンテーションになるのだが、濱崎先生は、そこにさらなる創意工夫を加えた。

★各チームがプレゼンするはずのマナボードをシャッフルしたのである。つまり、他のチームが創ったプレゼンテーションの作品を再解釈して、さらにブラッシュアップするいくつかの視点を付け加えて発表するのだ。

★これは実に大胆なプログラムだ。クラスのメンバー同士が相当信頼関係を形成していなければできない。自分の意見にこだわり、他者の視点を取り入れることを拒否することもあり得るはずだからだ。

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★もちろん、濱崎先生は、日ごろの生徒の様子を非常によく観察していて、このプログラムが有効かどうか判断するのはかなり吟味したという。そして、思い切ってやってみて、今はよかったと思うと。

★これは≪アイデンティティ≫とか≪自分軸≫とか言われてきた教育言説の概念を思い切り転換する行為でもある。「自分へのこだわり」を形成して個人化された人間が、相互主観で形成される生活世界から離れてしまったのを、再びそこに人間を立ち戻らせる学びを工学院の保健体育はデザインしているのかもしれない。

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★そんなことを思い浮かべながら濱崎先生の授業を見終わって帰途についた。しばらく歩くと、次の時間の授業が始まっていた。そして、ふとその教室をドアから眺めると、工学院のヘルス&メンタルマネージメントをしている安芸先生による保険体育の授業が開始していた。

★やはり、PBL型授業が進行していた。テーマも、生活世界におけるヘルスに関する問題。

★工学院の保健体育の授業は相互主観性の信頼性をベースにする生活世界を生徒共に取り戻す大切な教育を生み出しているのではないだろうか。

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