【未来を創る学校08】新学期が始まって2カ月で、大進化を遂げた和洋九段女子。
★2月中旬に和洋九段女子で開催された新中学入試セミナーでお会いして以来、4カ月ぶりに中込校長と新井教頭にお会いした。卒業式、入学式、オリエンテーション、シンガポール研修旅行、毎日曜日のように行われる合同説明会、そして今度は体育祭とダイナミックに動いている同校であるが、新学期が始まって2カ月経過して、とてつもない進化を遂げていた。
★中1~中3まで、改革学年がそろったのとその改革過程で高校生も影響を大いに受け、Problem based LearningとしてのPBLがProject besed Learningへ成長している実感が、各科目の授業の中で現れてきたことと、多様なプログラムにそれが生かされるようになったという手ごたえを感じるようになったとお二人は自信をもって、目を輝かせて語る。
★たしかに、対話の合間に、授業を見学しにいくと、若い先生が、都をつくる条件をだして、その条件に見合う場所を探すというPBL型授業を行っていた。歴史と地理の総合型であり、同時に政治や経済的なアプローチも要するなかなかの深イイ問いを投げていた。生徒は生き生きとタブレットを活用しながら調査し、それを持ち寄って比較検討する議論をしていた。
★国語のPBL型授業は、自分の好きな言葉の探究活動。言語を通して自分を知るわけだが、自分についての興味と関心は何よりもある。モチベーションが湧かないはずがない。
★水野先生の社会科の授業はもはやPBL型でICTがないと成立しないという先進的なものなのは、学内でも有名だが、さらに驚いたのは、生徒にタブレットに配信された画面を見せてもらったときだ。
★ルーブリックの領域番号が表示されている。このB2という記号は何かと生徒に尋ねたところ、「これは、ルーブリックの番号で、B2だからちょうど真ん中くらいの思考の深さの問題ですね。情報を取り出して、道筋たてていけばとける問題だということを示しているんですよ。これがあるから、どこまで考える必要があるのかわかるし、どこまで自分は考えることはできるのかがわかるから、その壁を超えるにはどうしたよいのか、友達や先生に質問しながら勉強していけるんですよ」と。
★ついに、ルーブリックを教師の授業デザインのための指標から、生徒自身による学びのデザインにシフトするところまで進化した。感動した。
★和洋九段女子の数学の授業はPBL型授業が充実しているのも一つの大きな特徴である。教え合いという「最近接発達領域」を発見しながら考えていくPBL型授業は、数学の授業に適合しやすいのだろうか。他校では、数学が一番PBLがやりにくいと聞くが、和洋九段女子の場合はどうやら見解を異にするようだ。
★それにしても、数学の授業がこんなに楽しいとは意外だった。生徒の笑顔がこぼれ、ディベートが行われる数学の授業に遭遇した。はじめ、お化けの話で盛り上がっているので、国語の授業かと思っていたら、数学科の平山先生の授業だ。
★何が起きているのかと思ったら、どうやらお化けは存在するかという数学的証明の話だった。もちろん、あくまで、メタファーであって、数学的思考とは何かメタ思考するトレーニングだったのだろうが、数式を使わない柔らかい数学の次元に生徒たちは導かれていたのである。
★和洋九段女子のPBLの授業の進化はすさまじい。しかし、中込校長と新井教頭は、いや今日お話ししたい進化とは、この先生方による進化の激しいPBLが生み出したディプロマポリシーに関するプログラムなのだという。進化というのはさらなる進化の話だったのである。
★体育館では、高3生が体育祭のハイライトで披露する「扇」の舞の練習中だった。この舞それ自体は伝統的な活動だが、ダンスのプログラムデザインは、毎年新しいアイデアで成立するという。もちろん、すべて生徒が自分たちで創造するのだ。
★伝統と革新のカップリングが和洋九段女子の文化遺伝子である。進化は常に伝統を創り出し、その伝統は進化をさらに生み出す。この永遠の繰り返しが、今もダイナミックに生まれているのだ。
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