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2019年7月 1日 (月)

工学院 チーム田中① 新しいファシリテーターの誕生

★工学院では、教務主任田中歩先生が座長のプロジェクトであるチーム田中が活躍している。正式名称は、TGP(Talent Growth Project)で、2年未満の教師が、工学院のPBLを研究するチームで、当初は1人ひとりのPBL授業のタレント、テクノロジー、トレランスという3Tの基礎をマスタリーする目的で発足した。

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(新海先生のメンバーの対話を見守る眼差しは、授業のときに生徒を見守る眼差しと同期していた)

★しかしながら、工学院の思考コードを研修ごとに共有していくことによって、基準の解釈はズレはなくなりはしないが、対話によって共通するものも見えてきた。すると、各メンバーの授業は生徒の思考が活性化する豊かな授業が展開するようになってきた。

★だから、だれもPBLの基礎ができないということは、はやくもなくなったわえである。

★そこで、田中歩先生は、いろいろなアプローチをして、次のステージを探し始めた。9月以降のアップデートをどうするか。そのため、田中先生はメンバーの授業を見たり、対話をしたり、チーム田中のアップデートの最近接発達領域を模索している。

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★そんな中、考えてみればPBL授業で、教師は同時にファシリテーターも果たしているわけだから、このチームの研修の場でも、ファシリテーターのロールプレイができるはずだということになった。

★チーム田中は、PBLの基礎を思考コードをコンパスとして行うことはできるが、どこまで自覚的かは、まだメンバーによって違う。ジョエル先生やベッキー先生のようにすでにスーパーモデルの授業を行うコトができるメンバーもいるが、それぞれ授業デザインの方法や授業の各シーンや生徒の思考の広さや深さの質をどのように高めていくか対話をして分かち合ってはいない。

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★それは、1年通して続けていかなくてはならないけれど、その中で、そもそもファシリテーターとはどのような役割なのかどんな存在理由を持っているのかなど共有しておくことは優先順位として高い。

★そして、このようなロールプレイは、スポーツと同じで、理論書を読んだだけでは身につかない。体験が極めて重要である。体験を通して気づいたコトを対話し共有していくことがまずは優先順位が高い。ただ、そのタイミングがこんなに早くやってくるとは思わなかったというのが田中歩先生の驚きと感動だったと思う。

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★そんなわけで、今回は数学科の新海先生がファシリテーターに挑戦することになった。新海先生は、スクライビング研修を進めながら、数学の教師特有のスキルを道具として使った。それは置換あるいは変換という思考スキルである。それと統計学。

★濱崎先生が、自分の保険体育の授業のストーリーを語ったり、ジョエル先生が自身の英文学の授業のストーリーを語ったあと、それを他のメンバーがフローチャートに変換し、さらにメンバー全員でチャートの各節を思考コードで置き換えていく。ここまでは、今まで行ってきたスクライビング手法だが、今回はメンバーの喧々諤々の対話を聞きながら、言葉をグラフにさらに転換することで、シンプルにイメージを共有することに新海先生はチャレンジをした。

★その場で新たなファシリテーターの道具を創り上げたわけだ(レヴィ・ストロースの野生の思考のブリコラージュ手法)。それによって、授業の展開と思考コードの相関図をメンバーといっしょに創り上げた。ファシリテーターとして、どういう指示をだせばよいのか?それは、メンバーを信頼して、メンバーの対話に任せるという選択をした。

★Cocreationをファシリテートした体験は新海先生にとってはなかなかよきものだったと田中歩先生は微笑んだ。いずれにしても、思考コードと時間をグラフにすることで多くの気づきが生まれたが、その道具を新海先生ははやくもオリジナルツールとして獲得したのである。

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