工学院 英語の授業だったことを忘れてしまうほどの自然な対話が流れる山口先生のPBL授業
★工学院の山口先生の中3の英語の授業を見学。オールイングリッシュで、生徒の記憶の世界や想像の世界から授業を構築し、その世界をさらに開いていく授業。
★オールイングリッシュだけれど、対話がベースで、英語の授業だったことを忘れさせる展開。テキストであるUncoverのユニットⅢとⅣで学んだ文法事項も、何を学んだという問答ではなく、それぞれのユニットで学んだ文法事項が含まれているサンプルセンテンスを生徒が選択して、そのセンテンスのどの部分にそのルールがあるのか確認していく問答が最初行われた。
★これは、生徒の記憶の理解度に信頼をおくやり方だ。生徒が理解しているかどうか聞きもせず、文法用語をずらずら黒板に書きながら、先生が例文を書いていく授業とは相当な違いがある。そのような授業で先生が使う例文は、教師が考える例文であり、そこに生徒の想いがはいらない。
★文法の確認は大事だが、山口先生は、あくまで生徒がどこまで理解しているのか生徒の側から発信することを大切にしている。サンプルセンテンスを正しく選択できた段階で、それは理解したと信頼するわけだ。もちろん、中3になって2カ月の間にその関係が構築されてきたわけだ。
★実は、これは授業の展開を促進していく時に大切な<直感>なのである。この直感の精度をあげていくことこそ授業の醍醐味である。この直感を暗黙知と呼ぶ人もいる。可視化や見える化は重要であるが、それは圧縮されて暗黙知として自動化されることも必要なのである。この<直感>を形成できないから、教師がだらだら説明しているのである。<直感>の共有ができていない授業なのである。
★さて、見学した時は、ちょうどテキストのユニットⅢとⅣが終わっていたタイミングだったのだろう。学んだ文を実際のシーンで活用するトークのシナリオをチームで創作する作業にはいった。
★そのシーンを構築するシチュエーションも、山口先生が決めるというのではなく、生徒と問答しながら生徒からの想像力を応用できるような環境設定をしていった。
★全体との問答の時だけでなく、グループワークもみな英語で対話が進んでいった。インターナショナルクラスではないはずだが、ずいぶんナチュラルだ。山口先生は、使える英語それ自体のストーリーを生徒が創造する手法を使ったわけであるが、すべてのクラスで同じことをやるわけではないという。私が見学したクラスは、クリエイティブな表現系が得意だから、その手法をとったけれど、もっと論理的な文章を書くことが好きなクラスには、エッセイライティングを行ったりすると。
★しかし、いずれにしても実用的であることを心掛けているという。オーセンティックというコトなのだろう。山口先生の表情はとても豊かで、対話の質の高い雰囲気が、教室に充満していた。感情と知性のバランスがとれているのだ。しかし、一方で、極めてプラグマティックなデザインがされていてオリジナリティとユニバーサルのバランスもとれている。
★このようなすてきな授業が展開していることを世間の誰が知るのだろうか?たしかに生徒が知れば、教師はそれが一番ということなのだろうが、あまりにもったいない。教師は、いろいろな研修で勤勉に学ぶが、このような授業を体験することはできないだろう。学校の文化に隠れているすばらしい授業にメディアが入らないのは日本の教育が本質的に変わることを遠くする機会損失だとしみじみ思った。
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